<シルク> 

2007年 カナダ・フランス・イタリア・イギリス・日本 109分 
原題 Silk
監督 フランソワ・ジラール
原作 アレッサンドロ・バリッコ「絹」
脚本 マイケル・ゴールディング  フランソワ・ジラール
撮影 アラン・ドスティエ
音楽 坂本龍一
出演 マイケル・ピット  キーラ・ナイトレイ  アルフレッド・モリーナ
   役所広司  芦名星  中谷美紀  ケネス・ウェルシュ  國村隼

19世紀のフランスで、戦争から戻ってきたエルヴェ(マイケル・ピット)は、エレーヌ(キーラ・ナイトレイ)と恋に落ちて結婚し、しあわせに暮らしていました。 その頃、村では蚕の病気が発生し、村の産業である製糸工場を営んでいるバルダビュー(アルフレッド・モリーナ)に頼まれて、エルヴェは世界で最も美しい絹糸が採れるという遠い東の方にある、日本に蚕の卵を買い付けに行くことになるのでした。 エルヴェは遠く困難な旅の末、日本に辿り着き、銃の取引もしている闇の実力者の原十兵衛(役所広司)と取引し、無事に蚕の卵を買い付け、帰国することが出来ました。 二度目に日本に行き、国に戻ってからは、エルヴェは十兵衛の傍らにいた少女(芦名星)の面影を忘れることが出来ず、次の買い付けの頃は日本は幕末の混乱期で政情不安な時期であったにも拘らず、他の人の反対を押し切って日本へと向うのですが…。

フランスの場面も日本の場面も風景の美しさに堪能できました。 また、こんな時代に蚕の卵の取引が行われていたことに驚きました。 マイケル・ピットはガッチャンコでしたが、女優さんたちは美女ばかりだし、映像が幻想的で美しいのでステキでしたが、ジメジメした雰囲気が好みではなかったので眠気を抑えるのが大変でした。 でも最後にエルヴェがエレーヌの気持ちの切なさを理解し、本当に愛していたのはエレーヌだとやっと気付くところは、今さらと思いながらも温かい気持ちになれるのではないでしょうか。 妻と一緒に作り上げた庭園の中にお墓を建て、庭園を見つめるエルヴェの中には後悔と妻を愛おしむ心が感じられました。 
女性たちの手の動かし方が変だったのと、個人的には日本人は日本語で話して欲しいので、幕末の人があんなにペラペラと英語を話すのには違和感を持ってしまい、あまりいい気持ちにはなれませんでした。 
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<図鑑に載ってない虫> 

2007年 日本 103分
監督 三木聡
脚本 三木聡
撮影 小松高志
音楽 坂口修
出演 伊勢谷友介  松尾スズキ  菊地凛子  岩松了
   ふせえり  水野美紀  松重豊  笹野高史

フリーライターの俺(伊勢谷友介)は、月刊黒い本の美人編集長(水野美紀)から“死にモドキ”というものを探して臨死体験をして、その記事を書くようにと命じられます。 以前その取材をカメラマンの真島(松重豊)に依頼したが、行方不明になってしまったというのです。 俺は相棒のエンドー(松尾スズキ)と一緒に、まずは臨死するために必要な死にモドキについての手掛かりを探るため、真島の家を訪ねると、ヤクザの目玉のおっちゃん(岩松了)に出会います。 その後も死にモドキを捜す途中でリストカットマニアのサヨコ(菊地凛子)や、チョロリ(ふせえり)と出会い、賑やかながら命がけの冒険をし、遂に死にモドキなる虫を採集し、臨死実験をするのですが…。

<亀は意外と速く泳ぐ>も、<転々>も好きなので、同じ監督の作品ということで楽しみにしていました。 相変わらずバカバカしいことを必死に実行し、クスッと笑えるギャグが満載で、最後までどうなることやらと楽しませてもらえました。
尤も題名に惹き付けられて、途中でやっぱりそんなものかと退席する真面目な人には向かなそうです。
B B

<傷だらけの男たち> 

2006年 香港 114分
原題 Confession of Pain
監督 アンドリュー・ラウ  アラン・マック
脚本 フェリックス・チョン  アラン・マック
撮影 アンドリュー・ラウ  ライ・イウファイ
音楽 コンフォート・チャン
出演 トニー・レオン  金城武  スー・チー  シュー・ジンレイ
   チャップマン・トー  ユエ・ホア  ヴィンセント・ワン  エム・ウォン

2003年のクリスマスにポン刑事(金城武)は上司のラウ・チンヘイ警部(トニー・レオン)と共に、かねてから追っていた連続殺人犯を逮捕。 しかしポンが疲れて家に戻ると同棲していた恋人のレイチェル(エム・ウォン)はベッドで自殺していました。 それから三年、ポンは私立探偵になっていましたが、未だに恋人の死から立ち直れず、アルコールに依存する毎日でしたが、ビール会社のキャンペーンガールで酒場で働くフォン(スー・チー)と付き合っていました。 一方ラウは、香港の億万長者チャウ(ユエ・ホア)の一人娘で写真家のスクツァン(シュー・ジンレイ)と結婚し、幸せな生活を送ろうとしていましたが、ある日スクツァンの父チャウと執事のマン(ヴィンセント・ワン)が何者かによって殺され、多額の現金が奪われるという事件が起きてしまいます。 警察は強盗殺人事件として取り組み、二人組の犯人が仲間割れして殺し合いをして死体で発見されたとしてこの事件を解決したのですが、スクツァンは用心深かった父が容易なことで見ず知らずの人を家の中に入れるはずがないと、事件に不審を持ち、私立探偵のポンに捜査の依頼をするのでした。 ラウの口利きで担当刑事のチョイ(チャップマン・トウ)から資料を提供されたポンは、捜査を始めるのですが…。

観ている人は、始めから犯人はラウだと判ると思うのですが、ラウとポンの友情やそれぞれの過去を描き、スリリングに展開していきます。 ポンの心の傷は現在の事件に絡めて描かれていて、その描かれ方が素晴らしかったので、過去を引きずっている翳のようなものを感じ素晴らしかったと思います。 それに対しラウの方は、計画の一部にされてしまうストーカーの存在が解り難かったですし、ラウのスクツァンに対する心情がハッキリ分からなかったし、最後の方でラウに関してのConfession of Painが一気に語られてしまうので、内容はかなり大変なものであるにも関わらず、手短で簡単に明かされてしまった感じが否めませんでした。 スー・チーの演じたフォンに至っては、人物造形が全く描かれて無く、画面を華やかにするために配置したというだけの印象を受けました。  
C B

<フォーガットン> 

2004年 アメリカ 91分
原題 The Forgotten
監督 ジョゼフ・ルーベン
脚本 ジェラルド・ディペゴ
撮影 アナスタス・N・ミコス
音楽 ジェームズ・ホーナー
出演 ジュリアン・ムーア  ドミニク・ウェスト  ゲイリー・シニーズ
   アルフレ・ウッダード  ライナス・ローチ  ロバート・ウィズダム

14ヵ月前に飛行機事故で9歳の息子サムを失ったテリー・パレッタ(ジュリアン・ムーア)は、悲しみに打ちひしがれ、精神科のマンス医師(ゲーリー・シニーズ)の診療を受けていましたが、息子の思い出に浸る毎日を過ごしていました。 そんなある日、テリーは夫ジム(アンソニー・エドワーズ)とサムの三人が写っているはずの写真からサムの姿が消えていることに気付きます。 そればかりでなく大切にしていたビデオやアルバムからサムの姿が消えてしまったのでした。 ジムは始めから子供はいなかったと言うし、マンス医師は流産したショックで息子を創り出したのだと言うのです。 強い衝撃を受けたテリーは、サムの存在を立証しようと、同じ飛行機に乗って娘ローレンを失った元プロ・ホッケー選手アッシュ(ドミニク・ウェスト)を訪ねるのですが、アッシュは娘などいないと言い、警察に通報するのでした。 警察が来てテリーを連れ去った直後、アッシュはテリーの剥がした壁紙の下から現れた絵から娘ローレンを思い出し、警察に事情を説明しテリーを解放してもらおうとするのですが、テリーは既に安全保障局のデイトン(ロバート・ウィズダム)が引き取った後でした。 アッシュは、安全保障局のデイトンにテリーの釈放を要求しますが、聞き入れないので無理矢理テリーを逃がすのでした。 このため二人は警察からも安全保障局からも追われることとなります。 そんな中、ただ一人ニューヨーク市警のアン・ホープ刑事(アルフレ・ウッダード)は安全保障局の動きを不審に思い、テリーに接触しようとするのですが…。

子供を亡くしたと思っていたのはもしかしたらテリーの妄想なのか、あるいは何か陰謀に巻き込まれたのかと思わせ、誰もテリーを信じようとしないのだが、という最初の設定は秀逸だったのですが、たった一人彼女に理解を示していたホープ刑事が突然宇宙の彼方に飛んでいってしまった時には、何だか訳がわからず呆気にとられてしまいました。 せっかく面白そうと思っていたのに、犯人は宇宙人(ライナス・ローチ)で、目に見えない生体組織(母と子の絆)を調べていただなんて幻滅です。 どうやらテリーがいつまでも息子のことを忘れられなかったというテリーの母性愛の強さによって実験が失敗とみなされ、宇宙人は絆を断ち切ることが出来なかったことの責任を取らされ、いなくなった子供たちは全員親の元に戻って来たようです。 当然ホープ刑事も戻ってきたと思うのですが、そこは描かれていませんでした。
C C

<呪怨 パンデミック> 

2006年 アメリカ 102分
原題 The Grudge 2
監督 清水崇
脚本 スティーヴン・サスコ
撮影 柳島克己
音楽 クリストファー・ヤング
出演 アンバー・タンブリン  アリエル・ケベル  ジェニファー・ビールス
   エディソン・チャン  宇野実彩子  藤貴子  石橋凌

インターナショナル・スクールに通っているアリソン(アリエル・ケベル)は友人のヴァネッサとみゆきにそそのかされ、幽霊屋敷といわれている家に入り押入れに閉じこもっているようにといわれるのですが、そこで何か不思議な感覚に襲われます。 その家はかつて佐伯伽椰子(藤貴子)という女性が夫に殺され息子はお風呂場で溺死し、飼っていた黒猫も殺され、夫は自殺したという家なのでした。
同じ頃、日本に留学していた姉カレン(サラ・ミシェル・ゲラー)が何かの事件に巻き込まれて入院したことを知ったオーブリー(アンバー・タンブリン)は、パサディナに住んでいる病気の母の代わりに東京にやって来ます。 オーブリーは、姉がうわごとのようにあの家に近づいてはいけないと言い、何かに怯えている様子に困惑しますが、その後姉は病院の屋上から投身自殺をしてしまうのでした。 香港の記者イーソン(エディソン・チャン)から姉に起きた事件の概要を聞いたオーブリーは、廃墟となっている家に行ってみるのでした。
シカゴで暮らしている母を亡くした少年ジェイクは、父がトリッシュ(ジェニファー・ビールス)という女性と再婚したのですが、なかなか継母に馴染めずにいました。霊感の強いジェイクは、アパートの隣の部屋に引っ越してきたばかりのフレミング家から変な音がすると気になってしかたありません…。

ハリウッド版<THE JUON/呪怨>の第二弾。 佐伯伽椰子(藤貴子)の母が病んだ人の治療をしていて、その悪霊を毎日伽椰子に食べさせていたなど、アメリカにまで広まってしまった呪いの源が明かされたものの、止める事はできずますます怨念はエスカレートしていきます。 なかなか雰囲気はあるし、呪怨のシリーズもこなれてきた感じはするのですが、呪いの源が分かったとはいえ何か釈然としません。 相変わらずドンドン人が変死するのですが、慣れてしまったせいか怖くないというのが不思議な映画でした。 
D D 

<最高の人生の見つけ方> 

2007年 アメリカ 97分
原題 The Bucket List
監督 ロブ・ライナー
脚本 ジャスティン・ザッカム
撮影 ジョン・シュワルツマン
音楽 マーク・シェイマン
出演 ジャック・ニコルソン  モーガン・フリーマン  ショーン・ヘイズ
   ビヴァリー・トッド  ロブ・モロー  アルフォンソ・フリーマン  ロイナ・キング

家族に愛され、物知りでクイズが得意、TVのクイズ番組で答えを当てるのが唯一の楽しみという真面目で実直な自動車整備工カーター・チェンバーズ(モーガン・フリーマン)。 一代で莫大な富を築いたもののその傲慢さから家族に棄てられ、仕事だけが命という実業家のエドワード・コール(ジャック・ニコルソン)。 たまたま二人部屋の病室で一緒になった二人は、共に末期癌と診断され、余命5ヶ月と宣告されたのでした。 カーターは大学時代の恩師に教えられた死ぬまでに叶えたいと思うバケットリストを書き出してみるのですがゴミ箱に棄ててしまいます。 これを拾い読んだエドワードは、二人で死ぬ前に遣り残したことのリストを作り、それを順番に実現させていこうと提案します。 二人で病院を抜け出し、書き出した内容を順番に実現させていくのですが…。

治療の副作用でトイレで吐いてしまったり、寝ている時も苦しくて体を震わせてしまう様子なども描かれてはいましたが、至って健康そうに病院を脱走し、スカイダイビングをしたり、自動車レースをしたり、アフリカの国立公園のようなところをジープで走ったりと、至極元気に振舞っています。 二人とも生活環境は異なっていても世間から見れば恵まれた人たちで、死ぬ前にやっておきたい事にしてはリアリティーがなさ過ぎるとは思いますが、とてもステキなファンタジーでした。 
冒頭のチョモランマ登山は、モーガン・フリーマンの声で語られていたので、余命を言い渡されている人が登山するなんて凄すぎると思っていたのですが、最後に登山したのはエドワードの秘書トマス(ショーン・ヘイズ)だと分かります。 エドワードの遺灰の埋められたところに、カーターの遺灰を持って来て、荘厳な景色を見るという最後の項目に達成の印をつけ、その全てクリアしたバケットリストと共に、埋葬しに来たのだと分かると、何だか温かい気持ちになれしみじみとさせられてしまいました。 二人の計画の日程を淡々と決めていくエドワードの秘書(ショーン・ヘイズ)は、出番は少ないものの、エドワードへ憎まれ口を言いながらも上司思いの感じのする会話が楽しく、とても印象的でした。 
最高の人生の見つけ方という題名の意味はよく分からなかったですが、“コピ・ルアク”ってコーヒー、ちょっと気持ち悪いような気がしますが、一度飲んでみたいと思いました。
C B

<ヴィーナス> 

2006年 イギリス 94分
原題 Venus
監督 ロジャー・ミッチェル
脚本 ハニフ・クレイシ
撮影 ハリス・ザンバーラウコス
音楽 コリーヌ・ベイリー・レイ
出演 ピーター・オトゥール  レスリー・フィリップス  ジョディ・ウィッテカー
   リチャード・グリフィス  ヴァネッサ・レッドグレーヴ  ブロンソン・ウェッブ

若き日には数々の浮名を流した往年の人気スターのモーリス(ピーター・オトゥール)でしたが、今は70代になり端役や死体の役などが多くなり、妻ヴァレリー(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)とも別居し、一人暮らしで、老優仲間のイアン(レスリー・フィリップス)やドナルド(リチャード・グリフィス)とダイナーで食事するのが楽しみの毎日になっていました。 そんな折、イアンが姪の娘ジェシー(ジョディ・ウィッテカー)をあずかる事になり、ジェシーの使うものなどを買い込んで一緒に生活するのを楽しみにしていた。 しかしイアンのところに姪が来て間もなく、モーリスは助けを求められます。 料理が全然出来ず、乱暴な言葉遣いで無作法だからどう付き合ってよいか分からないと言うのです。 モーリスは、若くてはつらつとしたジェシーを見ているだけでウキウキし心ときめかせます。 何かとジェシーにちょっかいを出し、お節介を焼いてジェシーを誘うようになるのですが、ジェシーは同じ年頃の男性(ブロンソン・ウェッブ)に夢中で、そんなモーリスをおちょくってしまうのですが…。

孫ほども年の離れた女性にどうしようもなく惹かれ、無邪気に心ときめかしてしまう男性を演じるピーター・オトゥールが愉快で、まるでピカソの晩年の絵を見ているような感覚になり、年取ると若ければどんなアバズレでも良くなるのかな~とか、老いるとますますエロくなっていくのかなんて思いながら楽しく観賞しましたが、また心温まるドラマでもありました。 どんな人でも齢には勝てないという悲哀や、老いても生に執着する様子、どんなにコケにされても優しくなれ、何かあると老いた妻という我儘さやそれを半ば呆れながらも優しく見守っている妻のおおらかさがステキでした。   
A A

<チャプター27> 

2007年 カナダ アメリカ 84分
原題 Chapter 27
監督 J・P・シェファー
原案 ジャック・ジョーンズ「ジョン・レノンを殺した男」
脚本 J・P・シェファー
撮影 トム・リッチモンド
音楽 アンソニー・マリネリ
出演 ジャレッド・レト  リンジー・ローハン  ジュダ・フリードランダー
   アーシュラ・アボット  マーク・リンゼイ・チャップマン

1980年12月8日にジョン・レノンが何故暗殺されてしまったのかを、犯行に至るまでの犯人の三日間の心の闇を描こうとしたドラマです。
12月6日、ジョン・レノンのファンで「ライ麦畑でつかまえて」に心酔するマーク・デヴィッド・チャップマン(ジャレッド・レト)は、ジョンに会いたいとはるばるハワイからニューヨークにやって来るのでした。 空港からタクシーでジョンの住むダコタ・ハウスの前まで直行し、そこでジョンに会うチャンスをひたすら待ち受けるのでした。 そこには彼と同様にジョンを待ち受けるファンやマスコミに写真を売ろうとするカメラマンたちで賑わい、いろいろジョンについて噂しながら待っていました。 マークがちょっと席を外した時にジョンが通り過ぎたりもするのですが、それでも次のチャンスをと待っていて、ニューヨーカーのジュード(リンゼイ・ローハン)やカメラマンのポール(ジュダ・フリードランダー)と知り合い、ファン同士会話しながら待つのでした。 長い時間待って、やっとジョンを間近に見ることが出来、声を掛けてもらってレコードのジャケットにサインをもらうのですが…。 

事件当時ニュースを聞いてビックリしたのを今でもよく覚えています。 マーク役をしているジャレッド・レトは、役作りのために30キロも体重を増やしたというのですが、はじめマークを演じているのがジャレッド・レトだとはとても思えませんでしたし、その成りきり振りが迫力ありました。 マークの心の中を話している語りの部分や他の人に対してのしつこさがとても怖ろしく、観ている者までストーカーされている気分になってしまいます。 どうして殺されなければならなかったのかについては全然解りませんでしたが、こんな人に狙われてしまったらどうすることも出来ないと思わせられる作品でした。 監督は事件当時一歳だったというのですから、時の経つのは早いものだと思いました。 
B C

<サバイバル・アイランド> 

2006年 アメリカ イギリス ルクセンブルク 95分
原題 Three
監督 スチュワート・ラフィル
脚本 スチュワート・ラフィル
撮影 トニー・イミ
音楽 リチャード・ハーヴェイ
出演 ビリー・ゼイン  ケリー・ブルック  フアン・パブロ・ディ・パセ

実業家のジャック・マドセン(ビリー・ゼーン)と妻のジェニファー(ケリー・ブルック)は、友人のビル(トッド・コリンズ)とゲイル(ガブリエル・ジョーダン)と共にリチャーズ船長(グレイ・ブロケット)の船に乗って、カリブ海のクルージングに出掛け、楽しんでいました。 ところが、乗務員のマニュエル(フアン・パブロ・ディ・パセ)の態度が悪いと船長がマニュエルをクビにすると、マニュエルは腹を立てて海に飛び込むのでした。 飛び込む際、持っていたタオルを火の点いているガスコンロに投げ捨てたため、船は火事になり沈没してしまい、乗っていた人たちは海の真ん中に投げ出されてしまうのでした。 ジェニファーは泳ぎながら何処とも分からない無人島に流れ着き、船長の死体を発見します。 そしてしばらくするとマニュエルが流れ着いているのを発見し、二人で互いに力を合わせ、とりあえずその辺にあるもので日差しを避ける小屋を作り、漁をしたりしてサバイバル生活を始めるのでした。 そんな生活に慣れてきた頃、マニュエルは漁をしに行った先で、ジャックが気を失っているのを見つけ、連れ帰ります。 再会したジャックとジェニファーは喜び合うのですが、ジャックは傷が癒えると共に、マニュエルが火災の時にシュノーケルを持って逃げたことに不審を抱き始め、ジェニファーに話すのですが、ジェニファーはジャックの言うことを聞き入れずマニュエルと親しそうな態度をとるため、ジャックは妻とマニュエルの関係を疑い始めるのでした。 そして次第に三人の関係がギクシャクして行き…。

無人島に流れ着いてからの三人のスリリングな関係もそれなりに面白いですが、ケリー・ブルックの美しさやセクシーな感じが見どころの作品のようでした。 クルージングに出かける前にマニュエルが地元の女性に手酷く当たったため、その女性がマニュエルやクルージング客を呪術によって呪ったということのようですが、最後の辺りで呪術の様子と共に起こっていくジャックとマニュエルの闘争は、とても迫力があって楽しめるのではと思いました。 でも最後に大きな船が来た時、ジェニファーは何故ジャックが居る事を言わなかったのでしょう。 一人だけ助かっても、その後の人生楽しいかな~って思いました。 
C D

<ウェイトレス ~おいしい人生のつくりかた> 

2007年 アメリカ 108分
原題 Waitress
監督 エイドリアン・シェリー
脚本 エイドリアン・シェリー
撮影 マシュー・アーヴィング
音楽 アンドリュー・ホランダー
出演 ケリー・ラッセル  ネイサン・フィリオン  シェリル・ハインズ
   エイドリアン・シェリー  ジェレミー・シスト  アンディ・グリフィス

アメリカ南部の田舎町のダイナー“ジョーズ・パイ”でウエイトレスとして働いているジェナ(ケリー・ラッセル)は、美味しいパイを作る天才的な女性で、その時々の自分の気分を表現した彼女の作るパイは人気メニューでしたが、家庭では嫉妬深く暴力的な夫アール(ジェレミー・シスト)に悩まされていました。 同じ職場で働く友人のベッキー(シェリル・ハインズ)とドーン(エイドリアン・シェリー)に相談して、隣町で開かれるパイ・コンテストに出場して優勝し人生を変えたいと、家出を決意するのですが、直ぐに夫に見つかり連れ戻されてしまいます。 その上望んでいない妊娠に気付き、産婦人科に行きますが、そこで出会った産婦人科医ポマター先生(ネイサン・フィリオン)に心惹かれ、ポマター先生も婦人科の研修医の妻がいたのですが、二人は次第に愛し合うようになってしまうのでした。 
出産の日、アールは出産のビデオを撮ろうと大喜びだったのですが、ジェナは子供を産み終えると、アールに別れを告げるのでした。 同じ日に手術したオーナーのジョー(アンディ・グリフィス)は手術の経過が思わしくなく亡くなってしまいます。 ジェナはジョーから手術前に渡された封筒を思い出し開けてみると、ジョーが描いたジェナの笑顔の絵と、お店をジェナに引き継いでという手紙が入っているのでした。 ジェナは娘にルル(ソフィ・オストロイ)と名付け、パイのコンテストに出場し優勝して、子育てをしながら今まで以上に美味しいパイを作ってお客に振舞うのでした。  

女性が作った映画らしく、夫への不満、妊娠による不安や戸惑い、新たな出発など心優しく綴っています。 でもジェナの作るパイの色がどぎつ過ぎてあまり美味しそうに感じなかったのが難点でした。 体に良くなさそうで食べたくない感じがしたのですが、他の人はどう感じたのかな? それとアールってジェナを所有しているつもりでいて、常にジェナを支配しようとしているところが鬱陶しいのですが、暴力を振るったかと思ったら泣き出したりで、だいぶトロイ人のようです。 きちんと仕事はしているようだし、可愛いところもあるので、一概に悪い夫とは言えないところが面倒で、別れるって言い出しにくいよな~と思っていました。 だから別れると叫んだ時はよく言ったと拍手だったのですが、叫んだだけで本当に別れてくれたとは信じられない気がしました。 コメディにしてはちょっとテンポが重くて乗りにくかったのですが、ジェナとオーナーのジョーとの心温まるやりとりが楽しかったです。  
エイドリアン・シェリー監督の女性ならではの作品が楽しみでしたのに、見られなくなってとても残念です。 ご冥福をお祈りします。
C C

<魍魎の匣> 

2007年 日本 132分
監督 原田真人
原作 京極夏彦「魍魎の匣」
脚本 原田真人
撮影 柳島克己
音楽 村松崇継
出演 堤真一  阿部寛  椎名桔平  宮迫博之  田中麗奈  黒木瞳
   マギー  堀部圭亮  荒川良々  笹野高史  宮藤官九郎  柄本明

1952年、探偵の榎木津礼二郎(阿部寛)は、元有名女優の柚木陽子(黒木瞳)から、失踪した娘加菜子の行方を捜すよう依頼されます。 同じ頃、作家の関口巽(椎名桔平)はカストリ雑誌から連続美少女バラバラ殺人事件の記事を書くように言われ、中禅寺敦子(田中麗奈)と共に事件に関係していると思われる怪しげな新興宗教団体を調べ始めるのでした。 謹慎中の木場刑事(宮迫博之)の後輩の青木刑事(堀部圭亮)は、連続美少女バラバラ殺人事件を担当していましたが、柚木陽子の娘が失踪したことを知り、陽子の大ファンの木場刑事に声を掛け協力を求めるのでした。 そんな時、加菜子が駅のホームから突き落とされ瀕死の重傷を負った現場に青木刑事が遭遇、加菜子は病院に運び込まれますが、駆けつけた陽子は美馬坂幸四郎(柄本明)の経営する巨大な箱の形をした医学研究所に連れ去ってしまうのでした。 陰陽師で古本屋の主人、京極堂こと中禅寺秋彦(堤真一)もこれらの事件の相談を受け、事件に乗り出すのでした。 それぞれの事柄が繋がっていくに連れ、事件の全容が明らかになっていくのですが…。 

京極夏彦原作の<姑獲鳥の夏>に続く“憑物落とし”の京極堂が活躍(?)する“京極堂シリーズ”の第2弾です。
豪華な俳優陣でそれなりに面白いストーリーなのですが、面白い割には間延びして盛り上がらない感じを受けました。でもそれぞれの俳優さんの演技が楽しかったですし、悪役の宮藤官九郎さんや柄本明さんの怪演も面白かったです。 
C C

<転々> 

2007年 日本 101分
監督 三木聡
原作 藤田宜永「転々」
脚本 三木聡
撮影 谷川創平
音楽 坂口修
出演 オダギリジョー  三浦友和  小泉今日子  吉高由里子  平岩紙
   岩松了  ふせえり  松重豊  広田レオナ  岸部一徳

大学8年生の竹村文哉(オダギリジョー)は、84万円の借金が返せなくて、借金取りの福原愛一郎(三浦友和)に威されていたのですが、ある日文哉は福原に一緒に井の頭公園から霞が関まで東京散歩をしたら、100万円をあげると持ちかけられます。 変なことを言い出すものだと警戒する文哉でしたが、借金を返せる当てがないので話を受け入れることにし、二人の東京散歩が始まるのでした。 歩き始めて調布の飛行場に来た辺りで、福原は文哉に、カッとして殴ったら妻(宮田早苗)が死んでしまったので、これから桜田門の警視庁まで自主しに行くのだと旅の理由を話すのでした。 話を聞いた文哉は、殺人ではなく障害致死なのだし、自首するのなら死体が見つからないうちに早く最寄の警察にするべきと言います。 
一方、福原の妻が働いているスーパーざっくりでは、従業員の国松(岩松了)、仙台(ふせえり)、友部(松重豊)が、出勤してこない福原の妻の噂をし、三人で福原の家を訪ねたのですが、家の前で岸部一徳(岸部一徳)が出演する映画のエキストラにスカウトされ、撮影に同行してしまうのでした。

行く先々で面白いモチーフが散りばめられた、とぼけた雰囲気の楽しいロードストーリーでした。 
スーパーの従業員三人組が良いアクセントになってストーリーが進行していましたし、岸部一徳と出会うと良い事があるという都市伝説、偽親戚した時に知り合った絵描き(広田レオナ)や正直時計店店主など、個性的な脇役の人たちが愉快でしたし、スナック時効のママでイミテーションの妻麻紀子(小泉今日子)や麻紀子の姉の娘ふふみ(吉高由里子)との擬似家族は、良い雰囲気で何だかとても癒されました。 ただ単に桜田門の警視庁まで自首しに行くだけの話なのですが、ギャグの積み重ねのような感じが楽しかったです。 引っ越す前に住んでいた辺りや友達とよく歩いたりした場所が多く写っていたので、あと何年か経ったらもう一度この映画を見てみたいです。
B B

<スマイル 聖夜の奇跡> 

2007年 日本 124分
監督 陣内孝則
原作 陣内孝則「スマイル 聖夜の奇跡」
脚本 陣内孝則  金子茂樹
撮影 村埜茂樹
音楽 菅野祐悟
出演 森山未來  加藤ローサ  田中好子  綿貫智基  立花裕大  
   岡本杏理  谷啓  松重豊   

タップダンサーになることに挫折した佐野修平(森山未來)は、大学時代の恋人で地元北海道でフィギュア・スケートのコーチをしている山口静華(加藤ローサ)を訪ねます。 結婚の許しを請うため静華の実家を訪ねますが、父親の出した条件は自分の主催するアイスホッケーの弱小チーム“スマイラーズ”を勝利させることでした。 アイスホッケーなどしたことのない修平でしたが、大学で学んだ児童心理学やタップダンスのリズムを取り込んだ独自の練習法で少年たちのヤル気を引き出し勝利に導いていくのでした。 

それぞれの子供たちの家庭事情や、もともと実力はありそうなのに、人数が少ないので疲れてきてしまうからと個性的な子供たちを部員にスカウトしていく様子、チームのエース昌也とフィギュア・スケートをしている美少女との儚い恋の行方など、楽しく描いています。
試合のシーンは観ていてよく分からなかったのですが、迫力や雰囲気は十分伝わってきました。
<がんばれ!ベアーズ>のように、元気をもらえそうな作品でした。
C C

<銀色のシーズン> 

2008年 日本 108分
監督 羽住英一郎
脚本 坂東賢治
撮影 藤石修
音楽 佐藤直紀
出演 瑛太  田中麗奈  玉山鉄二  國村隼  青木崇高
   佐藤江梨子  田中要次  杉本哲太  

寂れたてしまった桃山町営スキー場では、町おこしのためにスキー場に教会を建てて結婚式を挙げるイベントを考え、その結婚式の第一号カップルとして三日後に式を控えた花嫁の綾瀬七海(田中麗奈)を迎えたところでした。 結婚式の時カップルでスキーをして招待客に挨拶することになっているのですが、七海はスキーが全然出来ず、花婿は当日にならないと来られないとのことで、偶然に出会った城山銀(瑛太)が指導することになるのでした。 銀は、スキー場で小鳩祐治(玉山鉄二)、神沼次郎(青木崇高)の三人でスキー指導や整備など、何でも屋として働いていましたが、賭けスキーやスキーにわざと当たって賠償金を要求する当たり屋まがいのことをしているので、町内では雪猿と呼ばれ、お騒がせ屋として周囲を困らせていたのでした。 銀は七海にも高いレッスン料を要求するにも拘らず教え方が乱暴で、七海はなかなか上達しません。 七海は北原エリカ(佐藤江梨子)から銀の過去を聞かされますが、七海もまた大きな心の傷を負っていたのでした。

19歳の時にはトップスキーヤーとしてモーグルの大会に出場する町内の期待の星だった銀。 大きな大会で頑張りすぎて怪我をしてから選手になることを諦めていました。 エリカばかりでなく、町内のまとめ役瀬戸(國村隼)や、パトロール隊長の宮部(杉本哲太)はそんな銀に早く立ち直って欲しい思っています。 結婚を約束した最愛の男性が突然事故死し、そのショックで心を病んでしまった七海。 もう結婚式になど誰も出席者がいないというのに結婚式のことを考えボンヤリしているのでした。 と、そこまでの設定は良いとしても、式の前日の夜に銀たち雪猿が悪ふざけして雪崩を起こしてしまい、式場が崩壊したことで町内は大騒ぎになりますが、七海は結婚式が出来なくなったのでホッとしたというのにはオドロキでした。 どちらもあまり反省していないようだし、そのことを桃山町の人たちは簡単に許してしまったようです。 その後、直ぐに立ち直った銀がモーグルの大会に出場することになると、町内上げての応援なのですから恐れ入りましたといった感じです。 こんな若者たちは大迷惑とは思うものの、雄大な白銀の映像が美しかったですし、スキーの技が素晴らしかったし、町内の人たちの優しさがステキなファンタジーでした。
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<中国の植物学者の娘たち> 

2005年 カナダ・フランス 98分 
原題 Les Filles du Botaniste
監督 ダイ・シージエ
脚本 ダイ・シージエ  ナディーヌ・ペロン
撮影 ギイ・デュフォー
音楽 エリック・レヴィ
出演 ミレーヌ・ジャンパノイ  リー・シャオラン  リン・トンフー
   グエン・ニュー・クイン  ワン・ウェイドン

三歳の時、1976年の大地震で両親を失い、身寄りがなく孤児院で育ったリー・ミン(ミレーヌ・ジャンパノイ)は、孤児院の院長(グエン・ニュー・クイン)の言い付けで、湖の中になる小島の植物園で暮らしている昆林医科大学の植物学者チェン教授(リン・トンフー)のところに1ヵ月半の予定で実習に訪れます。 教授の厳しい教えに耐えられなくなって孤児院に帰ろうかと思っているミンを、チェン教授の娘アン(リー・シャオラン)が慰めるのでした。 アンも10歳の時母を亡くし、父には召使のように使われ、寂しい想いをしていたので、境遇が似ているからと二人は直ぐに仲良くなるのですが、次第に友情以上の感情を持ち始め、互いに愛し合うようになってしまいます。 
そんなある日、軍人でチベットに駐留しているアンの兄タン(ワン・ウェイドン)が休暇で戻って来ます。 チェン教授はミンをタンの嫁にしようと思い、二人を近づけようとするのですが…。

同性愛をタブーとしている中国では撮影許可が下りなかったため、ベトナムでロケを行ったのだといいます。 
ロケ地の中国との国境、ベトナム北部の世界遺産にも登録されているハロン湾周辺の美しい風景と、艶やかな緑の中での二人の美しい女性にうっとりさせられます。 官能的な部分も上品で、エリック・レヴィの音楽に支えられ、しっとりとした美しい作品になったと思います。 でも同性愛がいけないこととは思いませんが、自分たちの欲望のために家族を利用し巻き込んだのですから、彼女たちの罪は重いと思います。 裁判で教授が心臓病ではなく同性愛という病気で亡くなったのだからといわれ、極刑を言い渡されても同情は出来ませんでした。
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<消えた天使> 

2007年 アメリカ 105分
原題 The Flock
監督 アンドリュー・ラウ
脚本 クレイグ・ミッチェル  ハンス・バウアー
撮影 エンリケ・シェディアック
音楽 ガイ・ファーレイ
出演 リチャード・ギア  クレア・デーンズ  アヴリル・ラヴィーン
   カディ・ストリックランド  レイ・ワイズ  ラッセル・サムズ  マット・シュルツ

18年間公共安全局で性犯罪登録者の監視を続けてきたエロル・バベッジ(リチャード・ギア)は、もうじき退職なので、後任のアリスン・ラウリー(クレア・デーンズ)に仕事の指導と引継を命じられました。 二人で担当地域を巡回しますが、アリソンはエロルが登録されている人の再犯を確信して動いている姿勢や強引で行き過ぎたやり方に反撥を覚えるのでした。 そんな時若い女性の行方不明事件が発生します。 家出の可能性もあるといわれる中、エロルは自分の監視している登録者の中に必ず犯人がいると確信を持って捜査に当たるのでした。

<インファナル・アフェア>三部作のアンドリュー・ラウ監督のハリウッド・デビュー作で、性犯罪の件数が多いアメリカでは性犯罪歴の登録や公開するという制度を背景に、再犯率が高いといわれている性犯罪者を監視するベテラン監察官と新人監察官を描いています。 過去に救えたかもしれない人を救えなかったことを苦悩する主人公の正義感の強さや信念が強いゆえに引き起こす暴走を、スタイリッシュな映像でスリリングに綴っていますし、始めはバベッジの行動に批判的だったアリスンが次第にバベッジを理解していく様子もよく描かれていました。 公共安全局の監視員というのは、過去に性犯罪を犯した人を監視するために面接して廻るという職業で、銃の携帯は認められていないようですし、警官とは違って行動は著しく制限されているようです。 そういうこともやりきれなさを感じてしまう一因になっているのかもしれません。 テーマの闇の深淵を覗いているとその深淵からも覗かれているのだという状況を、リチャード・ギアが熱演していたと思いました。
犯罪者の更正を全然信じていない主人公の行動は、人権を侵害するものですし許せないと思いますが、一方で同じ趣向の犯罪者がネットで知り合い、互いに惹かれあって新たな犯罪を引き起こすことなどが実際に起きているとは恐ろしいことと思いました。
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<サラエボの花> 

2006年 ボスニア・ヘルツェゴビナ オーストリア ドイツ クロアチア 95分
原題 Grbavica
監督 ヤスミラ・ジュバニッチ
脚本 ヤスミラ・ジュバニッチ
撮影 クリスティーン・A・メイヤー
出演 ミリャナ・カラノヴィッチ  ルナ・ミヨヴィッチ  レオン・ルチェフ
   ケナン・チャティチ  ヤスナ・オルネラ・ベリー

エスマ(ミリャナ・カラノヴィッチ)は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボのグルバヴィッツァ地区で、娘のサラ(ルナ・ミヨヴィッチ)と二人で暮らしています。 昼は服の直しをし、夜遅くまでナイトクラブで働くというギリギリの生活でしたが、それでも穏やかで幸せな毎日を送っていた。 サラは活発な女の子で、父親はボスニア紛争で祖国のために戦って亡くなった殉教者=シャヒードだと誇りを持っていて、サッカーをしていて喧嘩になったサミル(ケナン・チャティチ)とも同じシャヒードの遺児同士ということで仲良くなっていくのでした。 そんなある日、サラたちは修学旅行に行くことになり、学校からシャヒードの遺児は旅行の費用が免除になるから証明書を出すようにと言われます。 証明書を用意して欲しいと母に言っても用意しようともせず、必死になって修学旅行の費用を作り出そうとしている様子を見て父親について問い質すのですが、母は何も応えずただシャヒードだとしか言いません。 母に怒りをぶつけ銃を持って詰問すると、思いがけない事実を知ることになるのでした。

過去にも戦争で男性を殺して女性をレイプするという民族浄化が数多くありましたが、こんなに年月が経っても苦しみが続くのかと思うと何ともいえない気持ちにさせられます。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの民族戦争から十余年経ち、思い出したくない過去を忘れようと集団セラピーに通いながら女手一つで必死に娘を育てている母。 エスマは何気なく娘とふざけている時や、近くにいる男性の毛深い胸毛を見ただけで過剰に反応してしまう様子が哀れでしたし、娘に吐き出すように哀しい過去を告白した時の迫力が凄かったです。 
また、父は祖国の英雄と聞かされていた少女サラ。 母が父親と髪の色が似ていると言った時のサラの嬉しそうな笑顔が忘れられません。 自分は母が捕虜収容所で敵の兵士たちに犯されて生まれた子と知り絶望に陥ってしまったようですが、修学旅行に行くバスの窓から手を振る様子は、それまでの自由奔放なわがまま娘から少し大人になって、母へのいたわりの気持ちまで持てるようになったかのようでした。 泣き崩れそうに手を振るエスマも、サラへの愛情が伝わってきて感動的でした。
エスマは決して娘には話したくなかったと思いますが、真実を話すことで母娘の愛情が深まったのではと感じました。

ミリャナ・カラノヴィッチは熱演でしたが、ストーリーは始めから何となく予想していた通りでしたし、母の今も忘れられない心の奥底にある部分や母と娘の関係に集約されているのでとても良くまとまった秀作だとは思いますが、ドラマチックなものがなかったので、何か心に強く訴えてくる感じにはなれませんでした。 
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P.S. 同じ戦争を描いたデニス・クエイド主演の<セイヴィア>を思い出し、もう一度観たいと思いました。
捕虜になり敵の子を産んで自分の村に帰っても追い出されてしまった女性の歌う子守唄が印象的で、ドラマチックで強い衝撃を受けた作品です。

<サルバドールの朝> 

2006年 スペイン・イギリス 128分
原題 Salvador
監督 マヌエル・ウエルガ
原作 フランセスク・エスクリバノ
脚本 ルイス・アルカラーソ
撮影 ダビ・オメデス
音楽 ルイス・リャック
出演 ダニエル・ブリュール  トリスタン・ウヨア  レオナルド・スバラグリア
   ホエル・ホアン  セルソ・ブガーリョ  メルセデス・サンピエトロ

1970年代初頭のフランコ独裁政権下のスペインで、サルバドール・ブッチ・アンティック(ダニエル・ブリュール)は、フランコ独裁政権に反撥して、労働者階級を豊かにし、自由な世界を作ろうと友人たちと無政府主義グループに加わり、反体制運動を始めます。 活動資金を得るために銀行強盗をし、家族からも遠ざかって様々な活動をしていくうち、警察にマークされるようになります。 ある日、仲間と待ち合わせた場所で待ち伏せされ、逃げようとして銃撃され、その混乱の中で警官を撃ってしまい、その警官は死亡、自身も瀕死の重傷を負い捕まってしまいます。 軍事法廷に掛けられますが、弁護側の証人は証言を拒否させられ、弾道検査もなく、検死もずさん。 一方的に裁判が進行し、死刑判決が言い渡されるのでした。 
死刑執行の時間が迫る中、家族が減刑の嘆願書を出したり、弁護士のアラウ(トリスタン・ウヨア)が弁護士協会にこの問題を持ち込み、世論も騒ぐのですが、なかなか恩赦が得られず、1974年3月2日、サルバドールは僅か25歳の若さで死刑に処せられるのでした。

この時代のことを歴史としてほんの少し知っているくらいで、感覚として分かっていないからなのかもしれないのですが、この映画よく分からなかったです。 実話だというのですが、サルバドールを描くなら、もっとサルバドールをカッコ良くというのが本当だと思うのに、そんなふうではないですし、当時の社会問題として描くのだとしたらもっと鋭い切り口があってもと思います。 描き方が軽すぎたので中途半端な印象を受け、何に対して感情移入していいのか分からないまま終わってしまったのです。
活動資金を得るためにだからといって、銀行強盗をしていいものなのか、いくら自分の生命に危険を感じたからといって警官を殺していいものなのか、鉄環絞首刑という死刑の方法は残酷すぎるし、理不尽な面は多々あるとか思いますが、かなり死刑に近い犯罪のようにも思えてしまったのです。 
フランコ独裁政権の弾圧の凄まじさをもっと描いてくれると、サルバドールの行った活動の必然性が少しは理解できたのではと思ったり、もっとヒーローとしてカッコ良く描けば、私たちが同情できたのではと思いました。
ヘスス(レオナルド・スバラグリア)という看守との交流、姉妹との家族愛は感動的でしたが、最後の時間が長過ぎて間延びした感じでした。
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<北極のナヌー> 

2007年 アメリカ 84分
原題 Arctic Tale
監督 アダム・ラヴェッチ  サラ・ロバートソン
脚本 リンダ・ウールヴァートン  モース・リチャーズ  クリスティン・ゴア
撮影 アダム・ラヴェッチ
音楽 ジョビー・タルボット
ナレーション クイーン・ラティファ
日本語版 稲垣吾郎

地球温暖化で30年後には氷が無くなってしまうかもしれないといわれている北極圏。 10年以上に亘ってアダム・ラヴェッチとサラ・ロバートソンが撮影した映像を素材にして、そこに生きる動物たちの生態を綴ったドキュメンタリーです。
北極圏で懸命に生きている北極熊のナヌーの家族とセイウチのシーラの家族を中心にして動物たちの過酷な環境の中での生活を分かり易くドラマチックに描かれていました。
生まれて間もない白い北極熊のナヌーは、双子の弟と氷の穴から顔を出し、母グマに厳しい環境を生き抜いていく術を教育されながら育ちます。 セイウチの子供のシーラは、母と子守役をしてくれるセイウチに守られながら教育されていくのでした。 

ナショナル・ジオグラフィックは写真が美しいので、何年かに亘って雑誌をとっていました。 この作品もナショナル・ジオグラフィック協会が制作に関わっているというので楽しみだったのですが、さすがに素晴らしい映像でとても見応えのあるものでした。 ドラマ仕立てにしたことで解りやすくメッセージが伝わってきたのではないでしょうか。 
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<GONIN2> 

1996年 日本 108分
監督 石井隆
脚本 石井隆 
撮影 佐々木原保志 
音楽 安川午朗 
出演 緒形拳  大竹しのぶ  余貴美子  喜多嶋舞  夏川結衣
   西山由海  片岡礼子  松岡俊介  多岐川裕美  鶴見辰吾  

借金の取立てで立ち退きを迫られていた外山(緒形拳)は、妻(多岐川裕美)が野崎組の傘下の中嶋組のチンピラに輪姦されて自殺したことで収まらなくなり、組を襲って組長を斬り捨て現金500万を奪って、妻が欲しがっていた498万の猫目石の指輪を買おうと宝石店に出かけます。 その少し前、宝石店では中嶋組傘下のチンピラの梶(松岡俊介)率いる宝石強盗グループが宝石を強奪している現場で、フィットネスクラブの経営に行き詰った蘭(余貴美子)、変な夢に怯えてたまたま寄った銃砲店でスタンガンを手に入れる蘭を見て後を追っていた早紀(夏川結衣)、セーラー服での売春に行き詰まりを感じ始めたサユリ(大竹しのぶ)、夫の浮気現場に踏み込み絶望し、抜けなくなった指輪を外してもらいに来ていた志保(西山由海)、宝石強盗の手引きをしていた宝石店の店員のちひろ(喜多嶋舞)の五人が出会うのでした。 蘭は銃を持った強盗に殺されそうになってとっさに持っていたスタンガンで逆襲します。これを見ていた早紀が応戦し、続いてサユリと志保がこれに加わるのでした。 奥の部屋にいた梶は何事が起きたのかと愛人のちひろを楯に出て行きますが、蘭たちがちひろを救って宝石を持ってその場を出て行くのでした。 外山はこの五人の女性や強盗グループが出てくるのとすれ違いますが、店に入って目当ての猫目石がないと知るや、強盗グループを追うのでした。 

<GONIN>の女性版で、妻の復讐に燃える男と、たまたま宝石強盗事件に巻き込まれて元気になってしまった五人の女性の物語でした。 暴力団員の強盗たちから宝石を奪って暴力団から狙われる羽目になりますが、とても元気で活き活きとした女性たちが魅力的。 緒形拳さんの壮絶な最期も凄かったですが、半年後に死んでしまったかと思っていた、蘭と早紀とちひろが、野崎組組長たちを撃ち殺したは気分爽快でした。 でも犯罪に参加する動機が男性がらみというのはつまらないですね。 
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<GONIN> 

1995年 日本 109分
監督 石井隆
脚本 石井隆 
撮影 佐々木原保志 
音楽 安川午朗
出演 佐藤浩市  本木雅弘  根津甚八  竹中直人  椎名桔平
   永島敏行  鶴見辰吾  ビートたけし  室田日出男

ディスコのオーナー万代(佐藤浩市)は、かつては成功者として雑誌にも紹介されたこともありしたが、今はバブル崩壊により多額の借金を抱え、大越組組長(永島敏行)の配下、久松(鶴見辰吾)の取立てに苦しんでいました。 万代は起死回生に大越組の金庫にあるお金1億5千万を強奪しようと計画し、元刑事の氷頭(根津甚八)、凄腕の美青年三屋(本木雅弘)、タイ人売春婦ナミィー(横山めぐみ)の借金を心配するジミー(椎名桔平)、リストラされた会社員の萩原(竹中直人)の5人で実行するのでした。 手筈通りにはいかなかったものの、まんまと大金を強奪し山分けするのですが、荻原が大金と一緒にナミィーのパスポートを盗んだため、ジミーが疑われ大越組はジミーを拉致して拷問し殺すのでした。 主犯が万代らしいと察知した大越組は万代の事務所を襲い、名簿から襲撃犯の目星をつけます。 総長(室田日出男)は大越に任せておけず、二人組の殺し屋(ビートたけし、木村一八)を雇って執拗に付け狙わせるのでした。 

個性的な俳優たちがそれぞれ魅力的でした。 誰も幸せになれなかったし、次々に5人も暴力団の人たちも殺されていくので切なかったですが、ビートたけしの薄気味悪い殺し屋だけは最後まで死んでないような気がして本当に相打ちなのかと思うほど怪物的でした。 
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<GONIN2>

<コマンダンテ> 

2003年 アメリカ・スペイン 100分
原題 Comandante
監督 オリヴァー・ストーン
撮影 ロドリゴ・プリエト  カルロス・マルコヴィッチ
音楽 アルベルト・イグレシアス  ポール・ケリー
出演 フィデル・カストロ  オリヴァー・ストーン  (通訳):フアニタ・ベラ

オリヴァー・ストーン監督がキューバの最高司令官“コマンダンテ”フィデル・カストロに3日間に亘るインタビューをし、歴史的な出来事を別の角度から捉えたドキュメンタリーです。 
カストロは、30時間ものフィルムに、一切削除を求めなかったのだとか…。
キューバ危機時のフルシチョフ首相とのことや、ゴルバチョフ首相、エリツィンについて、ケネディ暗殺について感じたこと、共にバティスタ政権を倒した同志ゲバラのこと、ベトナムでのリンチ事件に関与していたかについてなど、質問されたら気分の赴くまま、滞ることなく自分のペースで応えています。 
国民にも大人気のようで、気軽に握手したり抱き合ったりして今まで感じていたカストロとは違って気さくで親しみやすい感じを受けました。 自分のイメージしていたカストロとはずいぶん違うな~と面白かったです。
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<勇者たちの戦場> 

2006年 アメリカ 106分
原題 Home of the Brave
監督 アーウィン・ウィンクラー
原案 マーク・フリードマン  アーウィン・ウィンクラー
脚本 マーク・フリードマン
撮影 トニー・ピアース=ロバーツ
音楽 スティーヴン・エンデルマン
出演 サミュエル・L・ジャクソン  ジェシカ・ビール  カーティス・ジャクソン
   ブライアン・プレスリー  クリスティナ・リッチ  チャド・マイケル・マーレイ

イラク戦争で泥沼の体験をし、心身ともに傷ついたアメリカの兵士たちが、祖国に帰還しても前線での体験が重く圧し掛かり、日常生活に順応することが出来ず、苦悩している姿を綴っています。
イラクで最後の任務を命じられたウィル・マーシャル軍医(サミュエル・L・ジャクソン)と同じ部隊のトミー(ブライアン・プレスリー)、ヴァネッサ(ジェシカ・ビール)、ジャマール(カーティス・ジャクソン)、ジョーダン(チャド・マイケル・マーレイ)は、武装した集団に襲撃され、トミーは目の前で親友のジョーダンが殺され、ヴァネッサは隣に乗っていた兵隊が即死し、自分も右腕を負傷し切断、ジャマールは戦渦に巻き込まれ、誤って民間人を殺してしまいます。 各々心身共に深い傷を負い祖国に戻りますが、彼らを受け入れる社会は非情で、本人たちの社会復帰には困難が待ち受けているのでした。

ウィルはイラクで次々に運ばれてきた負傷兵のことや慌しい治療のことが頭を離れず、病院に戻って患者を治療していても、不意にイラクでのことがフラッシュバックし、不安定な気持ちになっているのですが、反戦派の息子が戦争に行った父親に対して反抗的になり、学校で問題を起こしたことでさらに苦悩を深めます。
トミーは親友が目の前での死んだことで心身が不安定になっているというのに、召集される前に働いていた職場に不況を理由にされ復職することが出来ず、周りからはイラクで人を殺したのかなどと心無い質問をされ夜眠れなくなります。 父親がそんなトミーを心配していろいろ励ますのですが反ってそれがかえって負担になるのでした。 
ヴァネッサは体育の教師として復職しますが、右腕を失ったことのハンディに苛立ち、やんちゃ盛りの子供を抱きしめることも容易ではなく、それまで付き合っていた恋人のレイを遠ざけようになります。 
ジャマールは武装してない民間女性を誤射したことで病んでいき、愛している女性キーシャーに想いを伝えることが出来ず、キーシャーと話したいというだけの理由でファーストフードのお店に立てこもって騒ぎを起こし、警官に射殺されてしまいます。

家族や周囲の人に自分の苦しみを解ってもらえ、なんとか元の平穏な生活に戻れそうな人はよかったですが、せっかく戦争から戻ったというのに、戦争に行くことで傷つくが行かないと戦友たちを裏切ることになる、必要とされる仲間がいるから戦争に行くことで一日も早く全面撤退できれば…と考えて再び戦場に行く人たちの姿は、痛ましくてしかたがありませんでした。
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<臨死> 

2007年 アメリカ 103分
原題 The Invisible
監督 デヴィッド・S・ゴイヤー
原作 マッツ・ヴォール
脚本 ミック・デーヴィス  クリスティーン・ルーム
撮影 ガブリエル・ベリスタイン
音楽 マルコ・ベルトラミ
出演 ジャスティン・チャトゥイン  マルガリータ・レヴィエヴァ  クリス・マークエット
   マーシャ・ゲイ・ハーデン  アレックス・オローリン  カラム・キース・レニー

父が亡くなり母一人子一人ではありますが、豊かな家庭に育った成績優秀な高校生のニック(ジャスティン・チャトゥイン)は、ライターになりたくてロンドンに留学したいと思い、母が反対しているので、友人たちに自分の書いた作文を売って資金を貯めていました。 ある日不良グループに苛められていた親友のピート(クリス・マークエット)を助けたことでグループのボスのアニー(マルガリータ・レヴィエヴァ)に目を付けられてしまいます。 アニーが犯した宝石強盗を密告したと誤解を受け、瀕死の重傷を負わされ、マンホールの中に棄てられてしまうのでした。 やがて目覚めたニックはいつものように学校に行きますが、誰もニックの存在に気付きません。 自分が臨死状態にあると気付いたニックは死が迫っていく中、助けを求めて彷徨うのでした。 

刻一刻と死が近づく中でまだ自分が生きているということをどう伝えようかとする様子がスリリングに描かれていましたが、ニックの肉体が見えないので、友人たちがニックに付いて日頃どう思っているかを勝手に発言する場面は、あんな風にいわれたらと、ちょっと怖くなりました。 そこにいくと母親の愛は絶対でした。 マーシャ・ゲイ・ハーデンは愛情豊かで金持ちの家庭の保守的な母というのがピッタリした雰囲気でステキでした。 
C C

<エンゼル・ハート> 

1987年 アメリカ 113分
原題 Angel Heart
監督 アラン・パーカー
原作 ウィリアム・ヒョーツバーグ「堕ちる天使」
脚本 アラン・パーカー
撮影 マイケル・セレシン
音楽 トレヴァー・ジョーンズ
出演 ミッキー・ローク  ロバート・デ・ニーロ  リサ・ボネット
   シャーロット・ランプリング  ストッカー・ファウンテリエ  ブラウニー・マッギー  マイケル・ヒギンズ

1955年ブルックリンで私立探偵をしているハリー・エンゼル(ミッキー・ローク)は、弁護士に紹介されたというルイス・サイファー(ロバート・デ・ニーロ)から、戦前活躍していた人気歌手のジョニー・フェイバー、本名リーブリングを探してほしいという依頼を受けます。 1943年に北アフリカに慰問に行き、頭と顔に受けた傷で記憶喪失になり、戦争神経症の治療のため入院していたが、誰かが連れ去ったらしいので生死の確認をして欲しいというのです。 早速病院の記録を調べ、主治医だったというファウラー医師(マイケル・ヒギンズ)に事情を聞きに行きますがファウラーはケリーという男と若い女に連れられ退院したと言うのでした。 そしてその直後ファウラーは何者かに殺されていたのでした。 その後ニューオリンズにいるジョニーの友人でギター弾きのトゥーツ・スイート(ブラウニー・マッギー)や富豪の娘で恋人だったという占い師をしているマーガレット(シャーロット・ランプリング)を訪ねたり、秘密の恋人だったという女性を訪ね娘のエピファニー(リサ・ボネット)に話を聞くのですが、ハリーが訪ねていった人たちは、次々に奇怪な殺され方をしていきます。 

50年代のニューヨークやニューオリンズを舞台に、ジャズ・ミュージシャンやヴードゥ教の巫女が出てきたりして、スタイリッシュで重厚な映像美を見せてくれるオカルト・ミステリーで、謎めいた雰囲気が魅力的です。 最近のホラーを見慣れているせいで、然程残酷さは感じないですみましたが、ジョニーが魔王ルシファーと契約していたり、ハリーはジョニーに殺されていたなど、当時としては衝撃の作品なのではと思いました。 心臓の鼓動が効果的に使われていたましたし、ヴードゥ教の儀式に使う、鶏の足や抉られた心臓、切り取った手などという奇怪なものも、訳が解らないので神秘的に感じてしまいました。 最後に子供の目が黄色く光ったのは怖かったです。 悪魔になってしまったのでしょうか? 
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<プロポジション-血の誓約-> 

2005年 オーストラリア・イギリス 104分
原題 The Proposition
監督 ジョン・ヒルコート
脚本 ニック・ケイヴ
撮影 ブノワ・ドゥローム
音楽 ニック・ケイヴ
出演 ガイ・ピアース  レイ・ウィンストン  エミリー・ワトソン
   ダニー・ヒューストン  リチャード・ウィルソン  ノア・テイラー

19世紀末のオーストラリアの開拓時代。 先住民アポリジニと入植してきた開拓民の対立や残酷な殺し合いが日々行われていました。 そんなある日、悪名高いバーンズ三兄弟の次男チャーリー(ガイ・ピアース)と三男のマイク(リチャード・ウィルソン)が警察隊に捕まってしまいます。 チャーリーは、スタンリー隊長(レイ・ウィンストン)に、弟を死刑から助けたければ、兄のアーサー(ダニー・ヒューストン)を9日以内に殺して来いと言われるのでした。 しばらく会っていない兄を探しに荒野に旅立ち岩山に隠れ住んでいたアーサーを見つけるのですが…。

先住民と入植者の対立、兄弟の確執を描いているのですが、兄弟が確執を持つに至る状況がつかめないので、チャーリーの心の葛藤がいまひとつ解りませんでした。 地味で味気ない感じはしますが、存在感のある俳優たちのそれぞれの曲者振りが素晴らしく、見応えのある作品でした。   
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<インベージョン> 

2007年 アメリカ 98分
原題 The Invasion
監督 オリヴァー・ヒルシュビーゲル
原作 ジャック・フィニイ「盗まれた街」
脚本 デヴィッド・カイガニック
撮影 ライナー・クラウスマン
音楽 ジョン・オットマン
出演 ニコール・キッドマン  ダニエル・クレイグ  ジェレミー・ノーサム
   ジャクソン・ボンド  ジェフリー・ライト

ジャック・フィニイ原作「盗まれた街」の4度目の映画化作品です。
スペースシャトルが原因不明の事故で墜落し、その残骸に付いていた謎の生命体が人間に取り憑き、姿は同じでも感情を失った無表情な人間へと変貌させていました。 
ワシントンで精神科医をしているキャロル(ニコール・キッドマン)は、患者たちから自分の身近な人が見た目は同じだが違う人になってしまったというような事を聞かされ、彼女自身もその異変に気付いていくのでした。 そんな時、元夫のタッカー・カウフマン(ジェレミー・ノーザム)から息子のオリバー(ジャクソン・ボイド)と面会したいと連絡がきます。 今までそんなことがなかっただけに警戒しますが、しばらく息子との時間を許すことにするのでした。 
やがてキャロルは息子の友だちが残したドロドロした透明な粘着性の液体を見つけ、同僚のベン・ドリスコル(ダニエル・クレイグ)に渡します。 ベンは学者仲間で遺伝子や細菌に詳しいスティーヴン・ガレアーノ(ジェフリー・ライト)に、分析を頼むのでした。 分析の結果、その生命体は地球上のものではないこと、人体に浸入すると睡眠中に遺伝子を書き換え、人体を乗っ取ってしまうのだというのです。 その後偶然に、脳炎に罹って免疫を持っている人は、ウイルスに侵されても発症しないことが分かるのでした。 キャロルは、夫にあずけた息子オリバーのことが心配になり、返してもらおうと迎えに行きますが、そこにオリバーの姿はなく、すっかり様子の変わってしまった夫から感染させられてしまうのでした。 
キャロルは眠ったら自分でなくなってしまうからと眠らないように薬を飲み、行方が分からなくなってしまったオリバーを必死に探します。 免疫を持っている人の協力を得られれば、直ぐにワクチンが作れるし、患者を治すこともできるかもしれないとスティーヴンから教えられ、オリバーが免疫を持っていることを夫が知ったらどうなるかも心配だったのです。
  
<e s[エス]><ヒトラー~最期の12日間~>のオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の作品にニコール・キッドマンが主演、ダニエル・クレイグやジェフリー・ライトが共演するというので楽しみに観賞しました。 ニコール・キッドマンがとっても綺麗で、観ているだけで楽しかったし、母性愛の強さには感動しましたが、それだけという印象でした。
感染の方法も気持ち悪いし、あれだけ感染者から逃げ回ったというのに最後はあっけなく終わってしまいましたし、パーティーでのとても良いことのように描かれているキャロルの発言も変でしたし、何よりドラマの中で、しきりにTVニュースが流れていて、イラク問題や北朝鮮問題が何だかあっという間に解決してしまったように報道されていましたが、人間で無くなった人が多くなると平和になり、ワクチンが完成するとまた元に戻ってしまうというのは単純で面白くない発想だと思いました。 
それにしても、心臓に注射するのを頼まれたくないですね。 もし自分の子も謎の生命体に取り憑かれていたなら、自分もそのまま取り憑かれても良かったのではと自棄にさせられる映画でした。 最近私の周辺では、認知症になるのではないかと恐れている人が多いようなのですが、みんなが認知症になったらそれはそれで楽しいかもと思わされました。
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<題名のない子守唄> 

2006年 イタリア 121分
原題 La Sconosciuta
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ  マッシモ・デ・リタ
撮影 ファビオ・ザマリオン
音楽 エンニオ・モリコーネ
出演 クセニア・ラパポルト  ミケーレ・プラチド  クラウディア・ジェリーニ
   ピエラ・デッリ・エスポスティ  アレッサンドロ・ヘイベル  クララ・ドッセーナ

バスに乗って北イタリアのトリエステにやって来たイレーナ(クセニア・ラパポルト)は、偶然を装って高級住宅地に住む貴金属会社を営むアダケル家の家族に近づいていきます。 アダケル家の家政婦になることに成功したイレーナは、夫妻の一人娘で気難しい5歳のテア(クララ・ドッセーナ)と心を通わせ、家族の信頼を得ていくのでした。
ウクライナ出身のイレーナは女衒のムッファ“黒カビ”(ミケーレ・プラチド)に、娼婦として働かされ、子供の出来ない女性の変わりにその女性の夫の子供を作り、12年間に9人の子供を産まされ養子縁組させられていたという衝撃の過去があるのでした。 しかし9人目の子は自分の愛した男性の子供だったため、自分で育てたかったのですが、愛した男性を殺され子供を取り上げられてしまいました。 イリーナは、黒カビを殺して黒カビのお金を盗んで逃亡したつもりだったのですが、黒カビは簡単には死なず、お金を取り戻してイリーナを殺そうと、追いかけて来たのでした。 イリーナは、9人目の子がアダケル家の娘テアだと思って、家政婦として入り込んだのです。 そしてやっとアダケル家の人たちの信頼を得られたと思う頃、黒カビが現れ悲劇が起こります…。

物語の冒頭で人身売買のような衝撃的な場面が映し出され、その映像がそれ以降の物語にどう繋がっていくのか、イレーナの謎めいた行動はどういうことなのかと思っていると、イレーナの過去の辛い出来事が事ある毎にフラッシュバックされ、その頻度が多くなり長くなって、次第に過去と現在が繋がって真相が明かされていきます。 サスペンス風でミステリアスに進行するのでスリリングですが、主人公の行動の意味が解るにつれ、ドラマが大きく膨らんで観ている人の気持ちが盛り上がっていくのではないでしょうか。 イタリアの裏社会では本当にこのような養子縁組をしているのだろうかとは思いましたが、重苦しい雰囲気が伝わってきました。 そして、あんなに自分の子だと思いつめていたテアがDNA鑑定で母娘ではないことが判ると何だか物悲しくなってしまいます。 イリーナさえ激しい思い込みや哀しい思い違いをしなければ、アダケル家は平穏な家族だったはずだし、老家政婦ジーナ(ピエラ・デッリ・エスポスティ)も老後を楽しく過ごせたのにと、そのこともとても哀しくなりました。 哀愁漂う美しい映像でしたが、エンニオ・モリコーネの音楽も、イリーナの気持ちを奏でているようでした。 
B A

<グッド・シェパード> 

2006年 アメリカ 167分
原題 The Good Shepherd
監督 ロバート・デ・ニーロ
脚本 エリック・ロス
撮影 ロバート・リチャードソン
音楽 ブルース・フォウラー  マーセロ・ザーヴォス
出演 マット・デイモン  アンジェリーナ・ジョリー  アレック・ボールドウィン
   タミー・ブランチャード  ジョン・タートゥーロ  ロバート・デ・ニーロ  

1939年、イエール大学に通うエドワード・ウィルソン(マット・デイモン)は、優秀な学生でスカル&ボーンズという秘密結社の会員に選ばれ、そこでFBIの手伝いをしていましたが、ビル・サリヴァン将軍(ロバート・デ・ニーロ)に認められ諜報活動に携わるようになります。 その頃大学の図書室で、耳の不自由な女性ローラ(タミー・ブランチャード)と出会い、一目惚れしますが、パーティで友人(ガブリエル・マクト)の妹クローバー(アンジェリーナ・ジョリー)と出会い、強引に迫られクローバーが妊娠したので結婚するのでした。 結婚して直ぐ、戦略事務局OSSからロンドンに派遣され、諜報活動の研修を受けることとなり、その後密接な関係になるアーチ・カミングス(ビリー・クラダップ)やリチャード・ヘイズ(リー・ペイス)と知り合い、一緒に仕事をするようになります。 1946年、久しぶりに家族の元に戻り、長い時間を埋め合わせ、幸せな家庭を築こうとするのですが、OSSが発展して創設された米中央情報局CIAの仕事が忙しくなり、家族を顧みる余裕がありません。 やがて成長した息子のエドワード・ウィルソン・ジュニア(エディ・レッドメイン)もCIAに入るのですが、1961年、冷戦下におけるCIAを揺るがす漏洩事件が発生し…。

このCIAを揺るがす漏洩事件の機密事項を流したのは誰なのかをサスペンス風に全編に亘って流し、上に書いたような事柄をシャッフルしながら描いていますので、パズルを紐解いていくような感じで興味深く進行します。 結構長いし淡々と進行するのですが、スリリングで緊張感があるので、あっという間に終わってしまいました。 ちょっと乱暴かもしれませんが、CIAも<ゴッドファーザー>に描かれていることと同じなんだな~と思ってしまいました。 親友の妹でなかったら妊娠したぐらいで結婚することもないし、フレデリックス教授(マイケル・ガンボン)が殺される前にアドバイスしたようにOSSから足を洗って、ローラと結婚して大学に残ればもっと違った人生だっただろうになどと観終った後で関係ないことばかりを考えてしまいました。 私は絶対に成れないだろうけど、諜報部員になんてなるものではないというのがテーマではなかったでしょうが、そう思わせられる映画でした。 007は楽しいけどまがいもの、現実はそんなにカッコ良いものではないですね。
B B

<NY検事局> 

1997年 アメリカ 113分
原題 Night Falls on Manhattan/サスペンス/ミステリー/1997年/アメリカ/113分
監督 シドニー・ルメット
原作 ロバート・デイリー
脚本 シドニー・ルメット
撮影 デヴィッド・ワトキン
音楽 マーク・アイシャム
出演 アンディ・ガルシア  リチャード・ドレイファス  レナ・オリン
   イアン・ホルム  ロン・リーブマン  ジェームズ・ガンドルフィーニ
   シーク・マハメッド=ベイ  ポール・ギルフォイル

正義感が強いショーン・ケイシー(アンディ・ガルシア)は、警官から検事補になったのですが、ある日父リアム(イアン・ホルム)が麻薬密売のボス、ジョーダンのアジトに相棒(ジェームズ・ガンドルフィーニ)と踏み込み、瀕死の重傷を負ってしまいます。 ケイシーは事件の担当を任され、検事に抜擢されるのですが、自首してきたジョーダンを尋問した際に、大規模な警官の汚職が発覚するのでした。 ベテラン弁護士ビゴダ(リチャード・ドレイファス)と渡り合い、ジョーダンを刑に処すことが出来たことで地方検事選挙に推薦され、見事地方検事に就任したショーンでしたが、父の相棒(ジェームズ・ガンドルフィーニ)が汚職をしていることを知り、父は汚職はしていないものの、ジョーダンを逮捕しようと踏み込んだ時、日にちは同じでも年次の違う過去の逮捕状持参だったことを知ってしまいます。

理想に燃える主人公をアンディ・ガルシアが好演。 父役のイアン・ホルムも真面目で苦労性な警官を、その相棒役のジェームズ・ガンドルフィーニも心ならずも汚職に手を染めてしまう弱さを、ほろ苦い人生を印象深く演じているリチャード・ドレイファスなど、それぞれにステキでした。 <十二人の怒れる男>、<狼たちの午後>、<セルピコ>とまではいかなくても、理想と現実の狭間で葛藤する様子を味わい深く描いています。
C B

<4分間のピアニスト> 

2006年 ドイツ 115分
原題 Vier Minuten
監督 クリス・クラウス
脚本 クリス・クラウス
撮影 ユーディット・カウフマン
音楽 アネッテ・フォックス
出演 モニカ・ブライブトロイ  ハンナー・ヘルツシュプルング  スヴェン・ピッピッヒ
   リッキー・ミューラー  ヤスミン・タバタバイ  シュテファン・クルト

刑務所でピアノを教えているトラウデ・クリューガー(モニカ・ブライブトロイ)は、衝動的に暴力を振るってしまう若い囚人ジェニー・フォン・レーベン(ハンナー・ヘルツシュプルング)のピアノの才能に目を止め、彼女の才能を伸ばそうとレッスンをするようになるのでした。 ジェニーは養父にピアノの手ほどきを受け、ニューヨークやアムステルダムでコンサートをしたり、国際コンクールに出場して半分は入賞するという実力の持ち主でしたが、12歳の時、ピアノを辞めたいと言ったら養父に性的暴力を受け、以来暴力を振るうようになり、衝動的に生きるようになっていたのでした。 優勝を目指してコンクールに出場させようと熱心に指導するクリューガーに、ジェニーは心を開くようになるのですが…。

冷たい雰囲気の映像で、惹き付けられるものはあるのですが、ジェニーの過去も言葉で説明するだけで、暴力的になってしまわざるを得ない状況が伝わってこなかったし、クリューガー先生も有名なピアニストだったようですが、過去の女性の恋人との問題が現在にどう影響しているのか分かりづらかったです。
もともと上手だからなのか、あまりレッスンの厳しさは描かれていないようでしたし、練習して努力の結果上手になったという感じはありませんでした。 それとクリューガーが人の良さそうな看守ミュッツェ(スヴェン・ピッピッヒ)になんであんなに冷たく接したのか。 あれではミュッツェが可哀想だし、グレても仕方ないと思いました。  
本国では非常に評価の高い作品なのだといいますが、クリューガーにもジェニーにも共感できなかったので、あまり作品に入り込めませんでした。 わたしは才能はないけどピアノが大好きで、ちょっとトロイ感じのするミュッツェが好きでした。 これは私だけかもしれませんが、先生や生徒を選ぶ時、才能で選んだりしようとは考えませんし、多少能力が不足していたとしても性格の良い人が好きです。 もちろん先生から技術を学ぶことは重要でしょうが、先生の生き方を感じることのほうが勉強になると思いますし、最終的に自分の先生になるのは自分しかいませんよね。 だから生徒に教える時にも、その生徒が能力がなかったとしてもピアノを学ぶことによって幸せになって欲しいとか、いつか突然才能が花開くことがあると信じて教えるでしょう。 天才同士は別なのかもしれないですが、生徒が優れていると思ったからといってその子を特別扱いするのはどうかと思います。 それは先生としてのエゴですもの。 その生徒が自分で道を選び、自分を磨いていけばいいのです。 それと、好き嫌いは別として、本人が生き生き出来る演奏を、低俗な音楽と断言する先生にピアノを習うのはどんなものかとも感じました。 とはいうものの、それなりに楽しめましたし、最後まで我を通す頑固な二人がとっても似ているし、音楽が好きでピアノこそ命という部分は共通しているものの、その内容について接点は無い様に思われました。 相手を尊重しながらも決して交わることがなく分かり合えない関係というのも面白く感じました。 最後のほとばしるようなジェニーの演奏は、ジェニーが自分のために演奏しているというのが伝わってきたので、観る者に希望を持たせてくれたのではないでしょうか。
B C 

<8 1/2> 

1963年 イタリア・フランス 140分 
原題 Otto e Mezzo
監督 フェデリコ・フェリーニ
製作 アンジェロ・リッツォーリ
脚本 フェデリコ・フェリーニ、トゥリオ・ピネッリ、エンニオ・フライアーノ、ブルネッロ・ロンディ
撮影 ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
音楽 ニーノ・ロータ
出演 マルチェロ・マストロヤンニ  アヌーク・エーメ  クラウディア・カルディナーレ
   サンドラ・ミーロ  ロッセラ・ファルク  ジャン・ルージュル  バーバラ・スティール

映画監督のグイド・アンセルミ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、新作映画のアイディアが思うように展開できず、スランプに陥り、精神的肉体的な疲れを癒すため療養がてら温泉地に出かけますが、そこでも仕事を忘れることが出来ずゆっくり休養できません。 彼の元に愛人のカルラ(サンドラ・ミーロ)が訪れ、映画関係者や不仲の妻ルイーザ(アヌーク・エーメ)まで押しかけてきてしまいます。 現実や差し迫った仕事から逃れることが出来ず、新作の構想を練っていると、グイドの頭の中に様々な過去の記憶や幻惑的な夢想がよぎり、ますます混乱していくのでした。

現在・過去・幻想の中を行き来して私たちを不思議な世界に招待してくれます。 <ビッグ・フィッシュ>でもそうでしたが、西洋人にとってサーカスは独自の心象風景を感じさせるもののようです。 久しぶりにこの作品を観て<オール・ザット・ジャズ>を思い出しましたが、最近では<TAKESHI’S>の北野武監督にも影響を与えているようです。 
構図が素晴らしく、絵画を鑑賞しているような気分になりました。
監督自身としては、いろいろな人々に囲まれ煩わしく思っていても、実はそれが本人の生き甲斐でもあったみたいな感じを受けました。
B B

<ライアンを探せ!> 

2006年 アメリカ 82分
原題 The Wild
監督 スティーヴ・“スパズ”・ウィリアムズ
脚本 マーク・ギブソン  フィリップ・ハルプリン  エド・デクター
   ジョン・J・ストラウス
音楽 アラン・シルヴェストリ
声の出演 キーファー・サザーランド  ジェームズ・ベルーシ  エディ・イザード
   ジャニーン・ガロファロー  ウィリアム・シャトナー  リチャード・カインド  

ニューヨーク動物園のライオン、サムソン(キーファー・サザーランド/平田広明)は逞しく力強い吠え声で人気者でしたが、動物園生まれの息子ライアン(グレッグ・サイプス/畠中祐)は、まだおチビさんなので、か細い声で弱弱しく吠えるので、周りからもからかわれ、父親がアフリカにいた野生時代の話を聞かされ父親に劣等感を抱いていました。 ある日いつものように上手く吼えられなかったとイジケている時、友だちがイタズラしようとしているのを止めようとたライアンは、ガゼルの集団を暴走させ、父たちのカーリングの試合を台無しにしてしまいます。 ますます落ち込み園内を歩いていると、野生の世界に行けるというコンテナが開いていたので中に入ると、突然そのコンテナが閉まり、トラックが走り出してしまうのでした。 サムソンは息子の鳴き声を聞きつけ、親友のリスのベニー(ジェームズ・ベルーシ/郷田ほづみ)と助けに行こうとすると、動物園の仲間のコアラのナイジェル(エディ・イザード/根本泰彦)、キリンのブリジット(ジャニーン・ガロファロー/岡寛恵)、蛇のラリー(リチャード・カインド/青山穣)たちもサムソンに協力しようと一緒に動物園を脱走してしまうのでした。 動物園のゴミ収集車に乗ったり、下水道を通ったりして、サムソンの行方を必死で追うのですが、コンテナは船に詰まれ、船は出港してしまいます。 サムソンたちもコンテナを運んでいる船を追って野生の王国に辿り着くのでした。

<マダガスカル>と<ファインディング・ニモ>を合体させて作ったような感じの作品で、父と息子の絆を描いていてなかなか感動的でした。 スパイをしているコンビのカメレオンのクロークとカモが、部下と変幻自在にカムフラージュをしますが、クロークはいつも喋りすぎてカモに殴られとか、ナイジェルの人形がスイッチで声を出すのでヌーはナイジェルを神様と間違えたりとか、ヌーが肉食獣になってライオンを支配し復讐しようとするなんて面白いことを考えたものです。  
野生のライオンだったはずの父は、実はサーカスの落ちこぼれで動物園に追いやられてきたのだと知ったライアン。 親の弱い面を知り、それを許すことで成長するというようなお話でもありましたが、子供たちにも家族の絆の大切さを実感してもらえる作品なのではと思いました。
B C

<パーフェクト・ストレンジャー> 

2007年 アメリカ 109分
原題 Perfect Stranger
監督 ジェームズ・フォーリー
原案 ジョン・ボーケンキャンプ
脚本 トッド・コマーニッキ
撮影 アナスタス・N・ミコス
音楽 アントニオ・ピント
出演 ハル・ベリー  ブルース・ウィリス  ジョヴァンニ・リビシ
   ゲイリー・ドゥーダン  クレア・ルイス  リチャード・ポートナウ

政界の大物のゴシップを記事にしようとして土壇場で記事を揉み消されたロウィーナ(ハリー・ベリー)は、上司から少し休養するようにといわれ、町を歩いていると、幼馴染のグレース(ニッキー・エイコックス)に呼び止められます。 グレースは出会い系サイトで知り合った大物ハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)と付き合っているがうまくいっていないから相談に乗って欲しいといって、彼の資料を渡すのでした。 その後グレイスの溺死体が発見され、ロウィーナは、同僚でネット調査の達人マイルズ(ジョヴァンニ・リビッシ)の力を借り、名前を変えてヒルの会社に派遣社員として就職し、調査を始めるのでした。

ブルース・ウィルスやジョヴァンニ・リビッシが、ミステリアスな雰囲気であたかも真犯人であるかのように進行するのですが、ロウィーナの幼き日の幻想が至るところで流されるので何か変と思っていると、最後の7~8分で多少の伏線はあったものの唐突にマイルズによって真相が明かされ、どうするのかと思っているとその後の突然の行為。 その後はやりきれない気持ちでいっぱいにさせられます。 
スリリングでテンポよく進行しましたが、ハル・ベリーの新聞記者というのがとって付けた感じでした。 いつもと違って何だか嫌らしい感じのブルース・ウィルス、いつもながらの怪しく良い人っぽいけどちょっと変質者的な役柄のジョヴァンニ・リビッシはなかなか魅力的でした。 ストーリーはイマイチながら、オープニングのアートな映像や音楽が印象に残りました。
C B

<ディセント>

2005年 イギリス 99分
原題 The Descent
監督 ニール・マーシャル
脚本 ニール・マーシャル
撮影 サム・マッカーディ
音楽 デヴィッド・ジュリアン
出演 シャウナ・マクドナルド  ナタリー・メンドーサ  アレックス・リード
   サスキア・マルダー  マイアンナ・バリング  ノラ=ジェーン・ヌーン

一年前に交通事故で夫と娘を失ったサラ(シャウナ・マクドナルド)を励まそうと、ジュノ(ナタリー・メンドーサ)がアパラチア山脈奥地にある地下洞窟の探検を企画するのでした。 メンバーはサラとジュノ、ベス(アレックス・リード)、レベッカ(サスキア・マルダー)、サム(マイアンナ・バリング)、ホリー(ノラ=ジェーン・ヌーン)の6人。 始めは順調に進んでいたものの、突然洞窟が崩落し、今まで来た道が塞がってしまいます。 しかもジュノは地図の書いてある本を車に置いて来たり、洞窟探検の届け出もせず、しかもボアム洞窟を探検しているはずだったのに、前人未踏の別の洞窟に案内していたのでした。 捜索隊が来ることも期待できない6人は、壁に書かれた壁画から、出口がもう一つあるかもしれないと別の出口を探し始めるのですが、暗闇で目が見えないが音に反応して襲ってくる、人間のような形をした生物に行く手を阻まれ、壮絶な闘いが始まるのでした。

地下3000メートルの洞窟の中なので、真っ暗で閉塞感があり、中は広くなっている場所があったり、狭くて一人が通り抜けるのがやっとの場所もあったり、しかも地下水が流れていたりして、そんなところを探検しようだなんて考えただけでも恐ろしいです。 しかもそこには予期せぬ恐ろしい生物が棲んでいて襲ってくるし、サラの事故死した夫とジュノが浮気をしていたことが分かったり、そこで繰り広げられる冒険は何だかグチャグチャで混乱してきます。 
観光名所で洞窟を見学する時も出入り口が塞がったら如何しようと思ってしまうこともありますが、狭い穴に体が挟まってしまって動けなくなるというあたりから怖くなりはじめ、謎の生物や仲間同士の確執なんかなくても、狭くて暗くてべチョべチョな所に閉じ込められて逃げられないというだけで胃が痛くなってきて健康に悪い映画でした。
C C

<私のちいさなピアニスト> 

2006年 韓国 108分
原題 For Horowitz(Horobicheu-reul wihayeo)
監督 クォン・ヒョンジン
脚本 キム・ミンスク
撮影 ファン・ドングク
音楽 イ・ビョンウ
出演 オム・ジョンファ  パク・ヨンウ  シン・ウィジェ  チェ・ソンジャ
   ユン・イェリ  チョン・インギ  ジュリアス=ジョンウォン・キム

ホロヴィッツに憧れてピアニストになりたいと思っていたキム・ジス(オム・ジョンファ)ですが、種々の事情から留学できず、場末の町でピアノ教室を開き、子供たちに指導する毎日で、一緒に学んでいた友人がコンクールに出場したり音大で教えたりして活躍する中、日々満たされない想いを持っていました。 ある日、近所に住む7歳のいたずらっ子の少年キョンミン(シン・ウィジェ)が、メトロノームを盗んだことで少年の家を訪れます。 キョンミンの両親は既に亡くなり、祖母(チェ・ソンジャ)とつましく暮らしていることを知るのですが、その後もキョンミンは何かとジスの教室にいたずらに来のでした。 ある日いつものように遊びに来たキョンミンが、ふとしたことから絶対音感を持っていることに気付いたジスは、キョンミンにピアノを教えてコンクールで優勝させ、自分の果たせなかった夢を託そうと思うようになるのですが…。

ピアノ教室の下の階のピザ屋の店主グァンホ(パク・ヨンウ)のジスへの一途な想いをコミカルに描いているのが面白かったですし、頑固でキョンミンにきつくあたる祖母が実は不治の病に罹っていて孫のこれからを心配してのことだったたなどは泣かされてしまいます。
コンクールの夢も一時はキョンミンのトラウマから失敗してしまったものの、ジスの友人ジョンウン(ユン・イェリ)に招かれたパーティでのキョンミンが弾いたピアノ演奏で才能を認められるのでした。 そして留学して世界的なピアニストに成長したキョンミン(ジュリアス=ジョンウォン・キム)。 
キョンミンの演奏するラフマニノフの「ピアノ協奏曲第二番」をグァンホと共に聞きに行ったジスの笑顔がステキでした。 

物語の内容は予想した範囲のものでしたが、ジスとキョンミンの心の繋がりが感動的で、なかなか心に響く作品でした。 
最後に立派に成長したキョンミンが大舞台で演奏するところなどは<リトル・ダンサー>のようでした。
B B

<初雪の恋 ヴァージン・スノー> 

2007年 日本・韓国 103分
監督 ハン・サンヒ
脚本 伴一彦
撮影 石原興
音楽 チャン・ジファン
出演 イ・ジュンギ  宮崎あおい  塩谷瞬  森田彩華
   柳生みゆ  乙葉  余貴美子

ソウルで暮らしていたキム・ミン(イ・ジュンギ)は、陶芸家の父が日本の大学で教えることになり、一緒に来日し、日本の高校に通うことになりました。 自転車に乗って京都を探検していたミンは、神社で巫女姿で働いている佐々木七重(宮崎あおい)と出会い、一目惚れするのでした。 その少女は同じ高校に通う生徒だったことから、二人は付き合うようになり、言葉が通じないながらも少しずつ心を通わせていくのでした。 そしていつかキムが形作った陶器に七重に絵付けをしてほしいと言ったり、初雪の日にデートした恋人は幸せになれるというソウルの若者たちの間に伝わる言い伝えを実行しようと約束するのでしたが…。 

イ・ジュンギと宮崎あおいのファンのための映画といった感じでしたが、見慣れた京都の風景が美しく、それだけでも雰囲気があってステキでした。 でもいつも韓国映画を見ていて思うのは、男性が突然カーッとなって暴れる場面が多くて怖いことです。 この映画でも二年ぶりに二人が再会した後、キム・ミンは七重が黙って姿を消したことを怒って、陶器をメチャクチャに割ったり、それまで大事にしていた七重の描いた水彩画を破り捨てたりしましたが、そういう場面を見るとそれまでのロマンチックな気分が何だか急に醒めてしまいます。 別れる前に七重からプレゼントされたお守りを病気だった祖母にあげるというのも信じられなかったです。 でも元気になった祖母のおかげでそのお守りの中に入っていた手紙が見つかり、事情が分かった訳ですからしかたないのかもしれません。 音楽は盛り上げよう盛り上げようとした大げさな感じはありましたが、親しみやすかったのではと思いました。
C C

<カジュアリティーズ> 

1989年 アメリカ 114分
原題 Casualties of War
監督 ブライアン・デ・パルマ
原作 ダニエル・ラング
脚本 デヴィッド・レーブ
撮影 スティーヴン・H・ブラム
音楽 エンニオ・モリコーネ
出演 マイケル・J・フォックス  ショーン・ペン  ドン・ハーヴェイ  
   ジョン・C・ライリー  ジョン・レグイザモ  テュイ・テュー・リー 

1974年、ベトナムから帰還した元兵士のエリクソン(マイケル・J・フォックス)は、電車に乗ってきたベトナム人留学生の少女(テュイ・テュー・リー)を見て、ベトナムに居た頃の悲惨な出来事を思い出すのでした。
1966年、戦場で一個小隊で敵の動向を偵察して移動する途中、エリクソンはべトコンの作ったトンネルに落ち、体半分はまってしまい身動きできない所を、小隊のリーダーのミザーヴ軍曹(ショーン・ペン)に助けられます。 その後しばらくして、平穏なひとときに突然銃声がし、もうじき除隊になる牧師で無線係のブラウン(エリック・キング)が狙撃を受け死亡してしまうのでした。 基地に戻って立て直しを図ることになり、ミザーヴ軍曹の小隊のメンバー、クラーク(ドン・ハーヴェイ)、ハッチャー(ジョン・C・ライリー)、ディアズ(ジョン・レグイザモ)とエリクソンは、今度は中央高地の偵察を命じられるのですが、出発前夜楽しみにしていた外出を中止にされたミザーヴ軍曹は、明日はベトナムの少女を調達してレイプしようと言い出すのでした。 冗談だと思っていたエリクソンですが、実際に村人が寝静まった時、一人の少女に目を付け、誘拐してしまうのでした。 エリクソンの反対も虚しく、山の中を偵察しながらその少女オアン(テュイ・テュー・リー)を連れまわし、小隊は集団でレイプしてしまいます。 エリクソンは仲間が居なくなった時、少女を逃がそうと思ったのですが、失敗してしまいます。 銃撃戦が始まろうとしている時、少女が咳をするのが煩くて敵に気付かれるし、もうじき基地から援軍が来るので、少女を誘拐してレイプしたことが軍に知られるとまずいと思ったミザーヴ軍曹は、小隊に少女を殺すことを命じるのでした。  
エリクソンは基地に戻ると、事件の内容を上官に話してみるのですが、上官は事件が明るみに出ることを恐れ、事件を闇に葬ろうとするのでした。 エリクソンは小隊の4人に命を狙われ、自棄になってお酒を飲んでいると、基地で活動していた牧師が悩みがあるのかと近づいてきます。 牧師に訴えたことで事件が明るみになり、ミザーヴ軍曹たちは軍法会議に掛けられそれぞれに刑を科せられるのでした。

この作品は実際に起きたことを基に映画化したものだといいますが、以前観た時には途中で観るのを止めようと思ったほどショックでした。 冷静になってみると違った観点から描いた戦争映画でいろいろ考えさせられることの多い作品だと思います。 “災いの谷を歩むとも、死は恐れない。俺こそ最悪の男だから”と言うくらいなのですからミザーヴ軍曹は頭が良くて充分自分の罪を知っていたはず。 この事件の前に部下で親友と思っていたブラウンの死があったからかもしれないのですが、戦争が狂気の中でしか生きていけない人に育ててしまったかのようでした。 
今にして思うと実力派の俳優さんばかり揃えたものと感心してしまいます。 戦争の悲惨さは伝わってきますが、あまり何度も観たいと思う作品ではありません。
B C

<ボディ・ダブル> 

1984年 アメリカ 114分
原題 Body Double
監督 ブライアン・デ・パルマ
原案 ブライアン・デ・パルマ
脚本 ブライアン・デ・パルマ  ロバート・J・アヴレッチ
撮影 スティーヴン・H・ブラム
音楽 ピノ・ドナッジオ
出演 クレイグ・ワッソン  メラニー・グリフィス  グレッグ・ヘンリー
   デボラ・シェルトン  デニス・フランツ

B級映画“吸血鬼のキス”に出演中の俳優ジェイク(クレイグ・ワッソン)は、撮影中に閉所恐怖症になり帰宅すると、同棲中の女性(バーバラ・クランプトン)が他の男性とセックスをしているのでした。 落ち込んだジェイクは次の仕事のためのオーディションに行き、サム(グレッグ・ヘンリー)と知り合い、サムが公演旅行の間の留守番を頼まれるのでした。 豪華な家で、しかも望遠鏡で覗くと遥か彼方の家の窓からゴージャスな美女の姿を見ることが出来ると教えてもらったのです。 その女性グロリア(デボラ・シェルトン)に魅せられたジェイクは毎晩のように彼女を観察するようになるのですが、グロリアが男性と喧嘩しているのを見たり、彼女をつけまわしている男の存在を知るのでした。 心配になったジェイクは、グロリアを尾行します。 するとグロリアを付回していた男が彼女のハンドバッグを盗んだのでジェイクは追いかけて取り戻すのですが、その男はバッグから何かを抜き取って逃げてしまいました。 その晩、昼間の男がグロリアの家に忍び込み、グロリアが殺されそうになったのを覗き見た時には、大急ぎで助けに行くのですが既に彼女は殺されていたのでした。 

警察に通報し、グロリアが大金持ちなのだということを知るジェイク。 警察は彼女の夫が彼女の財産を目当てに殺したのではと思ったようなのですが、ジェイクが昼間見たことや今まで望遠鏡で覗き見たことを話すと、昼間の男が持ち去ったのはカードキーだと言い、警察は犯人は夫ではないと確信したようでした。
警察の捜査が難航している中、ジェイクはポルノビデオを見ていて、その中の一つホリー(メラニー・グリフィス)というポルノ女優の踊りが、望遠鏡で覗き見たグロリアの踊りとそっくりなのに驚きます。 ホリーの出演するビデオに出演したいと言ってポルノ映画のオーディションに行き、ポルノ業界では有名なホリーに近づくのでした。 そして彼女が知らない男にグロリアの部屋で踊るようにと頼まれていたことを突き止めるのでした。 警察に電話をしてからホリーを追うのですが、ホリーは謎の男に連れ去られ貯水池の近くに埋められようとしていました。 必死で助けようとして自分も土の中に埋められそうになりますがやっとのことでホリーを助けることが出来たジェイク。 この夢を見ている間に、ジェイクの閉所恐怖症が完治し、映画はクランクアップするのでした。

アルフレッド・ヒッチコック監督に強い影響を受けたというブライアン・デ・パルマ監督が、ヒッチコックにオマージュを捧げ、ヒッチコック映画で使われた技法を駆使して作ったというエロチック度満点な娯楽サスペンスです。
どうしようもない映画で、主人公はあまりピンと来ないですが、メラニー・グリフィスやデボラ・シェルトンが魅力的でしたし、劇中で使われていたフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「リラックス」が良かったです。
C B