<サラエボの花> 

2006年 ボスニア・ヘルツェゴビナ オーストリア ドイツ クロアチア 95分
原題 Grbavica
監督 ヤスミラ・ジュバニッチ
脚本 ヤスミラ・ジュバニッチ
撮影 クリスティーン・A・メイヤー
出演 ミリャナ・カラノヴィッチ  ルナ・ミヨヴィッチ  レオン・ルチェフ
   ケナン・チャティチ  ヤスナ・オルネラ・ベリー

エスマ(ミリャナ・カラノヴィッチ)は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボのグルバヴィッツァ地区で、娘のサラ(ルナ・ミヨヴィッチ)と二人で暮らしています。 昼は服の直しをし、夜遅くまでナイトクラブで働くというギリギリの生活でしたが、それでも穏やかで幸せな毎日を送っていた。 サラは活発な女の子で、父親はボスニア紛争で祖国のために戦って亡くなった殉教者=シャヒードだと誇りを持っていて、サッカーをしていて喧嘩になったサミル(ケナン・チャティチ)とも同じシャヒードの遺児同士ということで仲良くなっていくのでした。 そんなある日、サラたちは修学旅行に行くことになり、学校からシャヒードの遺児は旅行の費用が免除になるから証明書を出すようにと言われます。 証明書を用意して欲しいと母に言っても用意しようともせず、必死になって修学旅行の費用を作り出そうとしている様子を見て父親について問い質すのですが、母は何も応えずただシャヒードだとしか言いません。 母に怒りをぶつけ銃を持って詰問すると、思いがけない事実を知ることになるのでした。

過去にも戦争で男性を殺して女性をレイプするという民族浄化が数多くありましたが、こんなに年月が経っても苦しみが続くのかと思うと何ともいえない気持ちにさせられます。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの民族戦争から十余年経ち、思い出したくない過去を忘れようと集団セラピーに通いながら女手一つで必死に娘を育てている母。 エスマは何気なく娘とふざけている時や、近くにいる男性の毛深い胸毛を見ただけで過剰に反応してしまう様子が哀れでしたし、娘に吐き出すように哀しい過去を告白した時の迫力が凄かったです。 
また、父は祖国の英雄と聞かされていた少女サラ。 母が父親と髪の色が似ていると言った時のサラの嬉しそうな笑顔が忘れられません。 自分は母が捕虜収容所で敵の兵士たちに犯されて生まれた子と知り絶望に陥ってしまったようですが、修学旅行に行くバスの窓から手を振る様子は、それまでの自由奔放なわがまま娘から少し大人になって、母へのいたわりの気持ちまで持てるようになったかのようでした。 泣き崩れそうに手を振るエスマも、サラへの愛情が伝わってきて感動的でした。
エスマは決して娘には話したくなかったと思いますが、真実を話すことで母娘の愛情が深まったのではと感じました。

ミリャナ・カラノヴィッチは熱演でしたが、ストーリーは始めから何となく予想していた通りでしたし、母の今も忘れられない心の奥底にある部分や母と娘の関係に集約されているのでとても良くまとまった秀作だとは思いますが、ドラマチックなものがなかったので、何か心に強く訴えてくる感じにはなれませんでした。 
B C

P.S. 同じ戦争を描いたデニス・クエイド主演の<セイヴィア>を思い出し、もう一度観たいと思いました。
捕虜になり敵の子を産んで自分の村に帰っても追い出されてしまった女性の歌う子守唄が印象的で、ドラマチックで強い衝撃を受けた作品です。

<サルバドールの朝> 

2006年 スペイン・イギリス 128分
原題 Salvador
監督 マヌエル・ウエルガ
原作 フランセスク・エスクリバノ
脚本 ルイス・アルカラーソ
撮影 ダビ・オメデス
音楽 ルイス・リャック
出演 ダニエル・ブリュール  トリスタン・ウヨア  レオナルド・スバラグリア
   ホエル・ホアン  セルソ・ブガーリョ  メルセデス・サンピエトロ

1970年代初頭のフランコ独裁政権下のスペインで、サルバドール・ブッチ・アンティック(ダニエル・ブリュール)は、フランコ独裁政権に反撥して、労働者階級を豊かにし、自由な世界を作ろうと友人たちと無政府主義グループに加わり、反体制運動を始めます。 活動資金を得るために銀行強盗をし、家族からも遠ざかって様々な活動をしていくうち、警察にマークされるようになります。 ある日、仲間と待ち合わせた場所で待ち伏せされ、逃げようとして銃撃され、その混乱の中で警官を撃ってしまい、その警官は死亡、自身も瀕死の重傷を負い捕まってしまいます。 軍事法廷に掛けられますが、弁護側の証人は証言を拒否させられ、弾道検査もなく、検死もずさん。 一方的に裁判が進行し、死刑判決が言い渡されるのでした。 
死刑執行の時間が迫る中、家族が減刑の嘆願書を出したり、弁護士のアラウ(トリスタン・ウヨア)が弁護士協会にこの問題を持ち込み、世論も騒ぐのですが、なかなか恩赦が得られず、1974年3月2日、サルバドールは僅か25歳の若さで死刑に処せられるのでした。

この時代のことを歴史としてほんの少し知っているくらいで、感覚として分かっていないからなのかもしれないのですが、この映画よく分からなかったです。 実話だというのですが、サルバドールを描くなら、もっとサルバドールをカッコ良くというのが本当だと思うのに、そんなふうではないですし、当時の社会問題として描くのだとしたらもっと鋭い切り口があってもと思います。 描き方が軽すぎたので中途半端な印象を受け、何に対して感情移入していいのか分からないまま終わってしまったのです。
活動資金を得るためにだからといって、銀行強盗をしていいものなのか、いくら自分の生命に危険を感じたからといって警官を殺していいものなのか、鉄環絞首刑という死刑の方法は残酷すぎるし、理不尽な面は多々あるとか思いますが、かなり死刑に近い犯罪のようにも思えてしまったのです。 
フランコ独裁政権の弾圧の凄まじさをもっと描いてくれると、サルバドールの行った活動の必然性が少しは理解できたのではと思ったり、もっとヒーローとしてカッコ良く描けば、私たちが同情できたのではと思いました。
ヘスス(レオナルド・スバラグリア)という看守との交流、姉妹との家族愛は感動的でしたが、最後の時間が長過ぎて間延びした感じでした。
B C

<北極のナヌー> 

2007年 アメリカ 84分
原題 Arctic Tale
監督 アダム・ラヴェッチ  サラ・ロバートソン
脚本 リンダ・ウールヴァートン  モース・リチャーズ  クリスティン・ゴア
撮影 アダム・ラヴェッチ
音楽 ジョビー・タルボット
ナレーション クイーン・ラティファ
日本語版 稲垣吾郎

地球温暖化で30年後には氷が無くなってしまうかもしれないといわれている北極圏。 10年以上に亘ってアダム・ラヴェッチとサラ・ロバートソンが撮影した映像を素材にして、そこに生きる動物たちの生態を綴ったドキュメンタリーです。
北極圏で懸命に生きている北極熊のナヌーの家族とセイウチのシーラの家族を中心にして動物たちの過酷な環境の中での生活を分かり易くドラマチックに描かれていました。
生まれて間もない白い北極熊のナヌーは、双子の弟と氷の穴から顔を出し、母グマに厳しい環境を生き抜いていく術を教育されながら育ちます。 セイウチの子供のシーラは、母と子守役をしてくれるセイウチに守られながら教育されていくのでした。 

ナショナル・ジオグラフィックは写真が美しいので、何年かに亘って雑誌をとっていました。 この作品もナショナル・ジオグラフィック協会が制作に関わっているというので楽しみだったのですが、さすがに素晴らしい映像でとても見応えのあるものでした。 ドラマ仕立てにしたことで解りやすくメッセージが伝わってきたのではないでしょうか。 
B B 

<GONIN2> 

1996年 日本 108分
監督 石井隆
脚本 石井隆 
撮影 佐々木原保志 
音楽 安川午朗 
出演 緒形拳  大竹しのぶ  余貴美子  喜多嶋舞  夏川結衣
   西山由海  片岡礼子  松岡俊介  多岐川裕美  鶴見辰吾  

借金の取立てで立ち退きを迫られていた外山(緒形拳)は、妻(多岐川裕美)が野崎組の傘下の中嶋組のチンピラに輪姦されて自殺したことで収まらなくなり、組を襲って組長を斬り捨て現金500万を奪って、妻が欲しがっていた498万の猫目石の指輪を買おうと宝石店に出かけます。 その少し前、宝石店では中嶋組傘下のチンピラの梶(松岡俊介)率いる宝石強盗グループが宝石を強奪している現場で、フィットネスクラブの経営に行き詰った蘭(余貴美子)、変な夢に怯えてたまたま寄った銃砲店でスタンガンを手に入れる蘭を見て後を追っていた早紀(夏川結衣)、セーラー服での売春に行き詰まりを感じ始めたサユリ(大竹しのぶ)、夫の浮気現場に踏み込み絶望し、抜けなくなった指輪を外してもらいに来ていた志保(西山由海)、宝石強盗の手引きをしていた宝石店の店員のちひろ(喜多嶋舞)の五人が出会うのでした。 蘭は銃を持った強盗に殺されそうになってとっさに持っていたスタンガンで逆襲します。これを見ていた早紀が応戦し、続いてサユリと志保がこれに加わるのでした。 奥の部屋にいた梶は何事が起きたのかと愛人のちひろを楯に出て行きますが、蘭たちがちひろを救って宝石を持ってその場を出て行くのでした。 外山はこの五人の女性や強盗グループが出てくるのとすれ違いますが、店に入って目当ての猫目石がないと知るや、強盗グループを追うのでした。 

<GONIN>の女性版で、妻の復讐に燃える男と、たまたま宝石強盗事件に巻き込まれて元気になってしまった五人の女性の物語でした。 暴力団員の強盗たちから宝石を奪って暴力団から狙われる羽目になりますが、とても元気で活き活きとした女性たちが魅力的。 緒形拳さんの壮絶な最期も凄かったですが、半年後に死んでしまったかと思っていた、蘭と早紀とちひろが、野崎組組長たちを撃ち殺したは気分爽快でした。 でも犯罪に参加する動機が男性がらみというのはつまらないですね。 
C B 

<GONIN> 

1995年 日本 109分
監督 石井隆
脚本 石井隆 
撮影 佐々木原保志 
音楽 安川午朗
出演 佐藤浩市  本木雅弘  根津甚八  竹中直人  椎名桔平
   永島敏行  鶴見辰吾  ビートたけし  室田日出男

ディスコのオーナー万代(佐藤浩市)は、かつては成功者として雑誌にも紹介されたこともありしたが、今はバブル崩壊により多額の借金を抱え、大越組組長(永島敏行)の配下、久松(鶴見辰吾)の取立てに苦しんでいました。 万代は起死回生に大越組の金庫にあるお金1億5千万を強奪しようと計画し、元刑事の氷頭(根津甚八)、凄腕の美青年三屋(本木雅弘)、タイ人売春婦ナミィー(横山めぐみ)の借金を心配するジミー(椎名桔平)、リストラされた会社員の萩原(竹中直人)の5人で実行するのでした。 手筈通りにはいかなかったものの、まんまと大金を強奪し山分けするのですが、荻原が大金と一緒にナミィーのパスポートを盗んだため、ジミーが疑われ大越組はジミーを拉致して拷問し殺すのでした。 主犯が万代らしいと察知した大越組は万代の事務所を襲い、名簿から襲撃犯の目星をつけます。 総長(室田日出男)は大越に任せておけず、二人組の殺し屋(ビートたけし、木村一八)を雇って執拗に付け狙わせるのでした。 

個性的な俳優たちがそれぞれ魅力的でした。 誰も幸せになれなかったし、次々に5人も暴力団の人たちも殺されていくので切なかったですが、ビートたけしの薄気味悪い殺し屋だけは最後まで死んでないような気がして本当に相打ちなのかと思うほど怪物的でした。 
C B

<GONIN2>

<コマンダンテ> 

2003年 アメリカ・スペイン 100分
原題 Comandante
監督 オリヴァー・ストーン
撮影 ロドリゴ・プリエト  カルロス・マルコヴィッチ
音楽 アルベルト・イグレシアス  ポール・ケリー
出演 フィデル・カストロ  オリヴァー・ストーン  (通訳):フアニタ・ベラ

オリヴァー・ストーン監督がキューバの最高司令官“コマンダンテ”フィデル・カストロに3日間に亘るインタビューをし、歴史的な出来事を別の角度から捉えたドキュメンタリーです。 
カストロは、30時間ものフィルムに、一切削除を求めなかったのだとか…。
キューバ危機時のフルシチョフ首相とのことや、ゴルバチョフ首相、エリツィンについて、ケネディ暗殺について感じたこと、共にバティスタ政権を倒した同志ゲバラのこと、ベトナムでのリンチ事件に関与していたかについてなど、質問されたら気分の赴くまま、滞ることなく自分のペースで応えています。 
国民にも大人気のようで、気軽に握手したり抱き合ったりして今まで感じていたカストロとは違って気さくで親しみやすい感じを受けました。 自分のイメージしていたカストロとはずいぶん違うな~と面白かったです。
B B

<勇者たちの戦場> 

2006年 アメリカ 106分
原題 Home of the Brave
監督 アーウィン・ウィンクラー
原案 マーク・フリードマン  アーウィン・ウィンクラー
脚本 マーク・フリードマン
撮影 トニー・ピアース=ロバーツ
音楽 スティーヴン・エンデルマン
出演 サミュエル・L・ジャクソン  ジェシカ・ビール  カーティス・ジャクソン
   ブライアン・プレスリー  クリスティナ・リッチ  チャド・マイケル・マーレイ

イラク戦争で泥沼の体験をし、心身ともに傷ついたアメリカの兵士たちが、祖国に帰還しても前線での体験が重く圧し掛かり、日常生活に順応することが出来ず、苦悩している姿を綴っています。
イラクで最後の任務を命じられたウィル・マーシャル軍医(サミュエル・L・ジャクソン)と同じ部隊のトミー(ブライアン・プレスリー)、ヴァネッサ(ジェシカ・ビール)、ジャマール(カーティス・ジャクソン)、ジョーダン(チャド・マイケル・マーレイ)は、武装した集団に襲撃され、トミーは目の前で親友のジョーダンが殺され、ヴァネッサは隣に乗っていた兵隊が即死し、自分も右腕を負傷し切断、ジャマールは戦渦に巻き込まれ、誤って民間人を殺してしまいます。 各々心身共に深い傷を負い祖国に戻りますが、彼らを受け入れる社会は非情で、本人たちの社会復帰には困難が待ち受けているのでした。

ウィルはイラクで次々に運ばれてきた負傷兵のことや慌しい治療のことが頭を離れず、病院に戻って患者を治療していても、不意にイラクでのことがフラッシュバックし、不安定な気持ちになっているのですが、反戦派の息子が戦争に行った父親に対して反抗的になり、学校で問題を起こしたことでさらに苦悩を深めます。
トミーは親友が目の前での死んだことで心身が不安定になっているというのに、召集される前に働いていた職場に不況を理由にされ復職することが出来ず、周りからはイラクで人を殺したのかなどと心無い質問をされ夜眠れなくなります。 父親がそんなトミーを心配していろいろ励ますのですが反ってそれがかえって負担になるのでした。 
ヴァネッサは体育の教師として復職しますが、右腕を失ったことのハンディに苛立ち、やんちゃ盛りの子供を抱きしめることも容易ではなく、それまで付き合っていた恋人のレイを遠ざけようになります。 
ジャマールは武装してない民間女性を誤射したことで病んでいき、愛している女性キーシャーに想いを伝えることが出来ず、キーシャーと話したいというだけの理由でファーストフードのお店に立てこもって騒ぎを起こし、警官に射殺されてしまいます。

家族や周囲の人に自分の苦しみを解ってもらえ、なんとか元の平穏な生活に戻れそうな人はよかったですが、せっかく戦争から戻ったというのに、戦争に行くことで傷つくが行かないと戦友たちを裏切ることになる、必要とされる仲間がいるから戦争に行くことで一日も早く全面撤退できれば…と考えて再び戦場に行く人たちの姿は、痛ましくてしかたがありませんでした。
C B

<臨死> 

2007年 アメリカ 103分
原題 The Invisible
監督 デヴィッド・S・ゴイヤー
原作 マッツ・ヴォール
脚本 ミック・デーヴィス  クリスティーン・ルーム
撮影 ガブリエル・ベリスタイン
音楽 マルコ・ベルトラミ
出演 ジャスティン・チャトゥイン  マルガリータ・レヴィエヴァ  クリス・マークエット
   マーシャ・ゲイ・ハーデン  アレックス・オローリン  カラム・キース・レニー

父が亡くなり母一人子一人ではありますが、豊かな家庭に育った成績優秀な高校生のニック(ジャスティン・チャトゥイン)は、ライターになりたくてロンドンに留学したいと思い、母が反対しているので、友人たちに自分の書いた作文を売って資金を貯めていました。 ある日不良グループに苛められていた親友のピート(クリス・マークエット)を助けたことでグループのボスのアニー(マルガリータ・レヴィエヴァ)に目を付けられてしまいます。 アニーが犯した宝石強盗を密告したと誤解を受け、瀕死の重傷を負わされ、マンホールの中に棄てられてしまうのでした。 やがて目覚めたニックはいつものように学校に行きますが、誰もニックの存在に気付きません。 自分が臨死状態にあると気付いたニックは死が迫っていく中、助けを求めて彷徨うのでした。 

刻一刻と死が近づく中でまだ自分が生きているということをどう伝えようかとする様子がスリリングに描かれていましたが、ニックの肉体が見えないので、友人たちがニックに付いて日頃どう思っているかを勝手に発言する場面は、あんな風にいわれたらと、ちょっと怖くなりました。 そこにいくと母親の愛は絶対でした。 マーシャ・ゲイ・ハーデンは愛情豊かで金持ちの家庭の保守的な母というのがピッタリした雰囲気でステキでした。 
C C

<エンゼル・ハート> 

1987年 アメリカ 113分
原題 Angel Heart
監督 アラン・パーカー
原作 ウィリアム・ヒョーツバーグ「堕ちる天使」
脚本 アラン・パーカー
撮影 マイケル・セレシン
音楽 トレヴァー・ジョーンズ
出演 ミッキー・ローク  ロバート・デ・ニーロ  リサ・ボネット
   シャーロット・ランプリング  ストッカー・ファウンテリエ  ブラウニー・マッギー  マイケル・ヒギンズ

1955年ブルックリンで私立探偵をしているハリー・エンゼル(ミッキー・ローク)は、弁護士に紹介されたというルイス・サイファー(ロバート・デ・ニーロ)から、戦前活躍していた人気歌手のジョニー・フェイバー、本名リーブリングを探してほしいという依頼を受けます。 1943年に北アフリカに慰問に行き、頭と顔に受けた傷で記憶喪失になり、戦争神経症の治療のため入院していたが、誰かが連れ去ったらしいので生死の確認をして欲しいというのです。 早速病院の記録を調べ、主治医だったというファウラー医師(マイケル・ヒギンズ)に事情を聞きに行きますがファウラーはケリーという男と若い女に連れられ退院したと言うのでした。 そしてその直後ファウラーは何者かに殺されていたのでした。 その後ニューオリンズにいるジョニーの友人でギター弾きのトゥーツ・スイート(ブラウニー・マッギー)や富豪の娘で恋人だったという占い師をしているマーガレット(シャーロット・ランプリング)を訪ねたり、秘密の恋人だったという女性を訪ね娘のエピファニー(リサ・ボネット)に話を聞くのですが、ハリーが訪ねていった人たちは、次々に奇怪な殺され方をしていきます。 

50年代のニューヨークやニューオリンズを舞台に、ジャズ・ミュージシャンやヴードゥ教の巫女が出てきたりして、スタイリッシュで重厚な映像美を見せてくれるオカルト・ミステリーで、謎めいた雰囲気が魅力的です。 最近のホラーを見慣れているせいで、然程残酷さは感じないですみましたが、ジョニーが魔王ルシファーと契約していたり、ハリーはジョニーに殺されていたなど、当時としては衝撃の作品なのではと思いました。 心臓の鼓動が効果的に使われていたましたし、ヴードゥ教の儀式に使う、鶏の足や抉られた心臓、切り取った手などという奇怪なものも、訳が解らないので神秘的に感じてしまいました。 最後に子供の目が黄色く光ったのは怖かったです。 悪魔になってしまったのでしょうか? 
B B 

<プロポジション-血の誓約-> 

2005年 オーストラリア・イギリス 104分
原題 The Proposition
監督 ジョン・ヒルコート
脚本 ニック・ケイヴ
撮影 ブノワ・ドゥローム
音楽 ニック・ケイヴ
出演 ガイ・ピアース  レイ・ウィンストン  エミリー・ワトソン
   ダニー・ヒューストン  リチャード・ウィルソン  ノア・テイラー

19世紀末のオーストラリアの開拓時代。 先住民アポリジニと入植してきた開拓民の対立や残酷な殺し合いが日々行われていました。 そんなある日、悪名高いバーンズ三兄弟の次男チャーリー(ガイ・ピアース)と三男のマイク(リチャード・ウィルソン)が警察隊に捕まってしまいます。 チャーリーは、スタンリー隊長(レイ・ウィンストン)に、弟を死刑から助けたければ、兄のアーサー(ダニー・ヒューストン)を9日以内に殺して来いと言われるのでした。 しばらく会っていない兄を探しに荒野に旅立ち岩山に隠れ住んでいたアーサーを見つけるのですが…。

先住民と入植者の対立、兄弟の確執を描いているのですが、兄弟が確執を持つに至る状況がつかめないので、チャーリーの心の葛藤がいまひとつ解りませんでした。 地味で味気ない感じはしますが、存在感のある俳優たちのそれぞれの曲者振りが素晴らしく、見応えのある作品でした。   
B C

<インベージョン> 

2007年 アメリカ 98分
原題 The Invasion
監督 オリヴァー・ヒルシュビーゲル
原作 ジャック・フィニイ「盗まれた街」
脚本 デヴィッド・カイガニック
撮影 ライナー・クラウスマン
音楽 ジョン・オットマン
出演 ニコール・キッドマン  ダニエル・クレイグ  ジェレミー・ノーサム
   ジャクソン・ボンド  ジェフリー・ライト

ジャック・フィニイ原作「盗まれた街」の4度目の映画化作品です。
スペースシャトルが原因不明の事故で墜落し、その残骸に付いていた謎の生命体が人間に取り憑き、姿は同じでも感情を失った無表情な人間へと変貌させていました。 
ワシントンで精神科医をしているキャロル(ニコール・キッドマン)は、患者たちから自分の身近な人が見た目は同じだが違う人になってしまったというような事を聞かされ、彼女自身もその異変に気付いていくのでした。 そんな時、元夫のタッカー・カウフマン(ジェレミー・ノーザム)から息子のオリバー(ジャクソン・ボイド)と面会したいと連絡がきます。 今までそんなことがなかっただけに警戒しますが、しばらく息子との時間を許すことにするのでした。 
やがてキャロルは息子の友だちが残したドロドロした透明な粘着性の液体を見つけ、同僚のベン・ドリスコル(ダニエル・クレイグ)に渡します。 ベンは学者仲間で遺伝子や細菌に詳しいスティーヴン・ガレアーノ(ジェフリー・ライト)に、分析を頼むのでした。 分析の結果、その生命体は地球上のものではないこと、人体に浸入すると睡眠中に遺伝子を書き換え、人体を乗っ取ってしまうのだというのです。 その後偶然に、脳炎に罹って免疫を持っている人は、ウイルスに侵されても発症しないことが分かるのでした。 キャロルは、夫にあずけた息子オリバーのことが心配になり、返してもらおうと迎えに行きますが、そこにオリバーの姿はなく、すっかり様子の変わってしまった夫から感染させられてしまうのでした。 
キャロルは眠ったら自分でなくなってしまうからと眠らないように薬を飲み、行方が分からなくなってしまったオリバーを必死に探します。 免疫を持っている人の協力を得られれば、直ぐにワクチンが作れるし、患者を治すこともできるかもしれないとスティーヴンから教えられ、オリバーが免疫を持っていることを夫が知ったらどうなるかも心配だったのです。
  
<e s[エス]><ヒトラー~最期の12日間~>のオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の作品にニコール・キッドマンが主演、ダニエル・クレイグやジェフリー・ライトが共演するというので楽しみに観賞しました。 ニコール・キッドマンがとっても綺麗で、観ているだけで楽しかったし、母性愛の強さには感動しましたが、それだけという印象でした。
感染の方法も気持ち悪いし、あれだけ感染者から逃げ回ったというのに最後はあっけなく終わってしまいましたし、パーティーでのとても良いことのように描かれているキャロルの発言も変でしたし、何よりドラマの中で、しきりにTVニュースが流れていて、イラク問題や北朝鮮問題が何だかあっという間に解決してしまったように報道されていましたが、人間で無くなった人が多くなると平和になり、ワクチンが完成するとまた元に戻ってしまうというのは単純で面白くない発想だと思いました。 
それにしても、心臓に注射するのを頼まれたくないですね。 もし自分の子も謎の生命体に取り憑かれていたなら、自分もそのまま取り憑かれても良かったのではと自棄にさせられる映画でした。 最近私の周辺では、認知症になるのではないかと恐れている人が多いようなのですが、みんなが認知症になったらそれはそれで楽しいかもと思わされました。
C C

<題名のない子守唄> 

2006年 イタリア 121分
原題 La Sconosciuta
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ  マッシモ・デ・リタ
撮影 ファビオ・ザマリオン
音楽 エンニオ・モリコーネ
出演 クセニア・ラパポルト  ミケーレ・プラチド  クラウディア・ジェリーニ
   ピエラ・デッリ・エスポスティ  アレッサンドロ・ヘイベル  クララ・ドッセーナ

バスに乗って北イタリアのトリエステにやって来たイレーナ(クセニア・ラパポルト)は、偶然を装って高級住宅地に住む貴金属会社を営むアダケル家の家族に近づいていきます。 アダケル家の家政婦になることに成功したイレーナは、夫妻の一人娘で気難しい5歳のテア(クララ・ドッセーナ)と心を通わせ、家族の信頼を得ていくのでした。
ウクライナ出身のイレーナは女衒のムッファ“黒カビ”(ミケーレ・プラチド)に、娼婦として働かされ、子供の出来ない女性の変わりにその女性の夫の子供を作り、12年間に9人の子供を産まされ養子縁組させられていたという衝撃の過去があるのでした。 しかし9人目の子は自分の愛した男性の子供だったため、自分で育てたかったのですが、愛した男性を殺され子供を取り上げられてしまいました。 イリーナは、黒カビを殺して黒カビのお金を盗んで逃亡したつもりだったのですが、黒カビは簡単には死なず、お金を取り戻してイリーナを殺そうと、追いかけて来たのでした。 イリーナは、9人目の子がアダケル家の娘テアだと思って、家政婦として入り込んだのです。 そしてやっとアダケル家の人たちの信頼を得られたと思う頃、黒カビが現れ悲劇が起こります…。

物語の冒頭で人身売買のような衝撃的な場面が映し出され、その映像がそれ以降の物語にどう繋がっていくのか、イレーナの謎めいた行動はどういうことなのかと思っていると、イレーナの過去の辛い出来事が事ある毎にフラッシュバックされ、その頻度が多くなり長くなって、次第に過去と現在が繋がって真相が明かされていきます。 サスペンス風でミステリアスに進行するのでスリリングですが、主人公の行動の意味が解るにつれ、ドラマが大きく膨らんで観ている人の気持ちが盛り上がっていくのではないでしょうか。 イタリアの裏社会では本当にこのような養子縁組をしているのだろうかとは思いましたが、重苦しい雰囲気が伝わってきました。 そして、あんなに自分の子だと思いつめていたテアがDNA鑑定で母娘ではないことが判ると何だか物悲しくなってしまいます。 イリーナさえ激しい思い込みや哀しい思い違いをしなければ、アダケル家は平穏な家族だったはずだし、老家政婦ジーナ(ピエラ・デッリ・エスポスティ)も老後を楽しく過ごせたのにと、そのこともとても哀しくなりました。 哀愁漂う美しい映像でしたが、エンニオ・モリコーネの音楽も、イリーナの気持ちを奏でているようでした。 
B A

<グッド・シェパード> 

2006年 アメリカ 167分
原題 The Good Shepherd
監督 ロバート・デ・ニーロ
脚本 エリック・ロス
撮影 ロバート・リチャードソン
音楽 ブルース・フォウラー  マーセロ・ザーヴォス
出演 マット・デイモン  アンジェリーナ・ジョリー  アレック・ボールドウィン
   タミー・ブランチャード  ジョン・タートゥーロ  ロバート・デ・ニーロ  

1939年、イエール大学に通うエドワード・ウィルソン(マット・デイモン)は、優秀な学生でスカル&ボーンズという秘密結社の会員に選ばれ、そこでFBIの手伝いをしていましたが、ビル・サリヴァン将軍(ロバート・デ・ニーロ)に認められ諜報活動に携わるようになります。 その頃大学の図書室で、耳の不自由な女性ローラ(タミー・ブランチャード)と出会い、一目惚れしますが、パーティで友人(ガブリエル・マクト)の妹クローバー(アンジェリーナ・ジョリー)と出会い、強引に迫られクローバーが妊娠したので結婚するのでした。 結婚して直ぐ、戦略事務局OSSからロンドンに派遣され、諜報活動の研修を受けることとなり、その後密接な関係になるアーチ・カミングス(ビリー・クラダップ)やリチャード・ヘイズ(リー・ペイス)と知り合い、一緒に仕事をするようになります。 1946年、久しぶりに家族の元に戻り、長い時間を埋め合わせ、幸せな家庭を築こうとするのですが、OSSが発展して創設された米中央情報局CIAの仕事が忙しくなり、家族を顧みる余裕がありません。 やがて成長した息子のエドワード・ウィルソン・ジュニア(エディ・レッドメイン)もCIAに入るのですが、1961年、冷戦下におけるCIAを揺るがす漏洩事件が発生し…。

このCIAを揺るがす漏洩事件の機密事項を流したのは誰なのかをサスペンス風に全編に亘って流し、上に書いたような事柄をシャッフルしながら描いていますので、パズルを紐解いていくような感じで興味深く進行します。 結構長いし淡々と進行するのですが、スリリングで緊張感があるので、あっという間に終わってしまいました。 ちょっと乱暴かもしれませんが、CIAも<ゴッドファーザー>に描かれていることと同じなんだな~と思ってしまいました。 親友の妹でなかったら妊娠したぐらいで結婚することもないし、フレデリックス教授(マイケル・ガンボン)が殺される前にアドバイスしたようにOSSから足を洗って、ローラと結婚して大学に残ればもっと違った人生だっただろうになどと観終った後で関係ないことばかりを考えてしまいました。 私は絶対に成れないだろうけど、諜報部員になんてなるものではないというのがテーマではなかったでしょうが、そう思わせられる映画でした。 007は楽しいけどまがいもの、現実はそんなにカッコ良いものではないですね。
B B

<NY検事局> 

1997年 アメリカ 113分
原題 Night Falls on Manhattan/サスペンス/ミステリー/1997年/アメリカ/113分
監督 シドニー・ルメット
原作 ロバート・デイリー
脚本 シドニー・ルメット
撮影 デヴィッド・ワトキン
音楽 マーク・アイシャム
出演 アンディ・ガルシア  リチャード・ドレイファス  レナ・オリン
   イアン・ホルム  ロン・リーブマン  ジェームズ・ガンドルフィーニ
   シーク・マハメッド=ベイ  ポール・ギルフォイル

正義感が強いショーン・ケイシー(アンディ・ガルシア)は、警官から検事補になったのですが、ある日父リアム(イアン・ホルム)が麻薬密売のボス、ジョーダンのアジトに相棒(ジェームズ・ガンドルフィーニ)と踏み込み、瀕死の重傷を負ってしまいます。 ケイシーは事件の担当を任され、検事に抜擢されるのですが、自首してきたジョーダンを尋問した際に、大規模な警官の汚職が発覚するのでした。 ベテラン弁護士ビゴダ(リチャード・ドレイファス)と渡り合い、ジョーダンを刑に処すことが出来たことで地方検事選挙に推薦され、見事地方検事に就任したショーンでしたが、父の相棒(ジェームズ・ガンドルフィーニ)が汚職をしていることを知り、父は汚職はしていないものの、ジョーダンを逮捕しようと踏み込んだ時、日にちは同じでも年次の違う過去の逮捕状持参だったことを知ってしまいます。

理想に燃える主人公をアンディ・ガルシアが好演。 父役のイアン・ホルムも真面目で苦労性な警官を、その相棒役のジェームズ・ガンドルフィーニも心ならずも汚職に手を染めてしまう弱さを、ほろ苦い人生を印象深く演じているリチャード・ドレイファスなど、それぞれにステキでした。 <十二人の怒れる男>、<狼たちの午後>、<セルピコ>とまではいかなくても、理想と現実の狭間で葛藤する様子を味わい深く描いています。
C B

<4分間のピアニスト> 

2006年 ドイツ 115分
原題 Vier Minuten
監督 クリス・クラウス
脚本 クリス・クラウス
撮影 ユーディット・カウフマン
音楽 アネッテ・フォックス
出演 モニカ・ブライブトロイ  ハンナー・ヘルツシュプルング  スヴェン・ピッピッヒ
   リッキー・ミューラー  ヤスミン・タバタバイ  シュテファン・クルト

刑務所でピアノを教えているトラウデ・クリューガー(モニカ・ブライブトロイ)は、衝動的に暴力を振るってしまう若い囚人ジェニー・フォン・レーベン(ハンナー・ヘルツシュプルング)のピアノの才能に目を止め、彼女の才能を伸ばそうとレッスンをするようになるのでした。 ジェニーは養父にピアノの手ほどきを受け、ニューヨークやアムステルダムでコンサートをしたり、国際コンクールに出場して半分は入賞するという実力の持ち主でしたが、12歳の時、ピアノを辞めたいと言ったら養父に性的暴力を受け、以来暴力を振るうようになり、衝動的に生きるようになっていたのでした。 優勝を目指してコンクールに出場させようと熱心に指導するクリューガーに、ジェニーは心を開くようになるのですが…。

冷たい雰囲気の映像で、惹き付けられるものはあるのですが、ジェニーの過去も言葉で説明するだけで、暴力的になってしまわざるを得ない状況が伝わってこなかったし、クリューガー先生も有名なピアニストだったようですが、過去の女性の恋人との問題が現在にどう影響しているのか分かりづらかったです。
もともと上手だからなのか、あまりレッスンの厳しさは描かれていないようでしたし、練習して努力の結果上手になったという感じはありませんでした。 それとクリューガーが人の良さそうな看守ミュッツェ(スヴェン・ピッピッヒ)になんであんなに冷たく接したのか。 あれではミュッツェが可哀想だし、グレても仕方ないと思いました。  
本国では非常に評価の高い作品なのだといいますが、クリューガーにもジェニーにも共感できなかったので、あまり作品に入り込めませんでした。 わたしは才能はないけどピアノが大好きで、ちょっとトロイ感じのするミュッツェが好きでした。 これは私だけかもしれませんが、先生や生徒を選ぶ時、才能で選んだりしようとは考えませんし、多少能力が不足していたとしても性格の良い人が好きです。 もちろん先生から技術を学ぶことは重要でしょうが、先生の生き方を感じることのほうが勉強になると思いますし、最終的に自分の先生になるのは自分しかいませんよね。 だから生徒に教える時にも、その生徒が能力がなかったとしてもピアノを学ぶことによって幸せになって欲しいとか、いつか突然才能が花開くことがあると信じて教えるでしょう。 天才同士は別なのかもしれないですが、生徒が優れていると思ったからといってその子を特別扱いするのはどうかと思います。 それは先生としてのエゴですもの。 その生徒が自分で道を選び、自分を磨いていけばいいのです。 それと、好き嫌いは別として、本人が生き生き出来る演奏を、低俗な音楽と断言する先生にピアノを習うのはどんなものかとも感じました。 とはいうものの、それなりに楽しめましたし、最後まで我を通す頑固な二人がとっても似ているし、音楽が好きでピアノこそ命という部分は共通しているものの、その内容について接点は無い様に思われました。 相手を尊重しながらも決して交わることがなく分かり合えない関係というのも面白く感じました。 最後のほとばしるようなジェニーの演奏は、ジェニーが自分のために演奏しているというのが伝わってきたので、観る者に希望を持たせてくれたのではないでしょうか。
B C 

<8 1/2> 

1963年 イタリア・フランス 140分 
原題 Otto e Mezzo
監督 フェデリコ・フェリーニ
製作 アンジェロ・リッツォーリ
脚本 フェデリコ・フェリーニ、トゥリオ・ピネッリ、エンニオ・フライアーノ、ブルネッロ・ロンディ
撮影 ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
音楽 ニーノ・ロータ
出演 マルチェロ・マストロヤンニ  アヌーク・エーメ  クラウディア・カルディナーレ
   サンドラ・ミーロ  ロッセラ・ファルク  ジャン・ルージュル  バーバラ・スティール

映画監督のグイド・アンセルミ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、新作映画のアイディアが思うように展開できず、スランプに陥り、精神的肉体的な疲れを癒すため療養がてら温泉地に出かけますが、そこでも仕事を忘れることが出来ずゆっくり休養できません。 彼の元に愛人のカルラ(サンドラ・ミーロ)が訪れ、映画関係者や不仲の妻ルイーザ(アヌーク・エーメ)まで押しかけてきてしまいます。 現実や差し迫った仕事から逃れることが出来ず、新作の構想を練っていると、グイドの頭の中に様々な過去の記憶や幻惑的な夢想がよぎり、ますます混乱していくのでした。

現在・過去・幻想の中を行き来して私たちを不思議な世界に招待してくれます。 <ビッグ・フィッシュ>でもそうでしたが、西洋人にとってサーカスは独自の心象風景を感じさせるもののようです。 久しぶりにこの作品を観て<オール・ザット・ジャズ>を思い出しましたが、最近では<TAKESHI’S>の北野武監督にも影響を与えているようです。 
構図が素晴らしく、絵画を鑑賞しているような気分になりました。
監督自身としては、いろいろな人々に囲まれ煩わしく思っていても、実はそれが本人の生き甲斐でもあったみたいな感じを受けました。
B B

<ライアンを探せ!> 

2006年 アメリカ 82分
原題 The Wild
監督 スティーヴ・“スパズ”・ウィリアムズ
脚本 マーク・ギブソン  フィリップ・ハルプリン  エド・デクター
   ジョン・J・ストラウス
音楽 アラン・シルヴェストリ
声の出演 キーファー・サザーランド  ジェームズ・ベルーシ  エディ・イザード
   ジャニーン・ガロファロー  ウィリアム・シャトナー  リチャード・カインド  

ニューヨーク動物園のライオン、サムソン(キーファー・サザーランド/平田広明)は逞しく力強い吠え声で人気者でしたが、動物園生まれの息子ライアン(グレッグ・サイプス/畠中祐)は、まだおチビさんなので、か細い声で弱弱しく吠えるので、周りからもからかわれ、父親がアフリカにいた野生時代の話を聞かされ父親に劣等感を抱いていました。 ある日いつものように上手く吼えられなかったとイジケている時、友だちがイタズラしようとしているのを止めようとたライアンは、ガゼルの集団を暴走させ、父たちのカーリングの試合を台無しにしてしまいます。 ますます落ち込み園内を歩いていると、野生の世界に行けるというコンテナが開いていたので中に入ると、突然そのコンテナが閉まり、トラックが走り出してしまうのでした。 サムソンは息子の鳴き声を聞きつけ、親友のリスのベニー(ジェームズ・ベルーシ/郷田ほづみ)と助けに行こうとすると、動物園の仲間のコアラのナイジェル(エディ・イザード/根本泰彦)、キリンのブリジット(ジャニーン・ガロファロー/岡寛恵)、蛇のラリー(リチャード・カインド/青山穣)たちもサムソンに協力しようと一緒に動物園を脱走してしまうのでした。 動物園のゴミ収集車に乗ったり、下水道を通ったりして、サムソンの行方を必死で追うのですが、コンテナは船に詰まれ、船は出港してしまいます。 サムソンたちもコンテナを運んでいる船を追って野生の王国に辿り着くのでした。

<マダガスカル>と<ファインディング・ニモ>を合体させて作ったような感じの作品で、父と息子の絆を描いていてなかなか感動的でした。 スパイをしているコンビのカメレオンのクロークとカモが、部下と変幻自在にカムフラージュをしますが、クロークはいつも喋りすぎてカモに殴られとか、ナイジェルの人形がスイッチで声を出すのでヌーはナイジェルを神様と間違えたりとか、ヌーが肉食獣になってライオンを支配し復讐しようとするなんて面白いことを考えたものです。  
野生のライオンだったはずの父は、実はサーカスの落ちこぼれで動物園に追いやられてきたのだと知ったライアン。 親の弱い面を知り、それを許すことで成長するというようなお話でもありましたが、子供たちにも家族の絆の大切さを実感してもらえる作品なのではと思いました。
B C

<パーフェクト・ストレンジャー> 

2007年 アメリカ 109分
原題 Perfect Stranger
監督 ジェームズ・フォーリー
原案 ジョン・ボーケンキャンプ
脚本 トッド・コマーニッキ
撮影 アナスタス・N・ミコス
音楽 アントニオ・ピント
出演 ハル・ベリー  ブルース・ウィリス  ジョヴァンニ・リビシ
   ゲイリー・ドゥーダン  クレア・ルイス  リチャード・ポートナウ

政界の大物のゴシップを記事にしようとして土壇場で記事を揉み消されたロウィーナ(ハリー・ベリー)は、上司から少し休養するようにといわれ、町を歩いていると、幼馴染のグレース(ニッキー・エイコックス)に呼び止められます。 グレースは出会い系サイトで知り合った大物ハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)と付き合っているがうまくいっていないから相談に乗って欲しいといって、彼の資料を渡すのでした。 その後グレイスの溺死体が発見され、ロウィーナは、同僚でネット調査の達人マイルズ(ジョヴァンニ・リビッシ)の力を借り、名前を変えてヒルの会社に派遣社員として就職し、調査を始めるのでした。

ブルース・ウィルスやジョヴァンニ・リビッシが、ミステリアスな雰囲気であたかも真犯人であるかのように進行するのですが、ロウィーナの幼き日の幻想が至るところで流されるので何か変と思っていると、最後の7~8分で多少の伏線はあったものの唐突にマイルズによって真相が明かされ、どうするのかと思っているとその後の突然の行為。 その後はやりきれない気持ちでいっぱいにさせられます。 
スリリングでテンポよく進行しましたが、ハル・ベリーの新聞記者というのがとって付けた感じでした。 いつもと違って何だか嫌らしい感じのブルース・ウィルス、いつもながらの怪しく良い人っぽいけどちょっと変質者的な役柄のジョヴァンニ・リビッシはなかなか魅力的でした。 ストーリーはイマイチながら、オープニングのアートな映像や音楽が印象に残りました。
C B

<ディセント>

2005年 イギリス 99分
原題 The Descent
監督 ニール・マーシャル
脚本 ニール・マーシャル
撮影 サム・マッカーディ
音楽 デヴィッド・ジュリアン
出演 シャウナ・マクドナルド  ナタリー・メンドーサ  アレックス・リード
   サスキア・マルダー  マイアンナ・バリング  ノラ=ジェーン・ヌーン

一年前に交通事故で夫と娘を失ったサラ(シャウナ・マクドナルド)を励まそうと、ジュノ(ナタリー・メンドーサ)がアパラチア山脈奥地にある地下洞窟の探検を企画するのでした。 メンバーはサラとジュノ、ベス(アレックス・リード)、レベッカ(サスキア・マルダー)、サム(マイアンナ・バリング)、ホリー(ノラ=ジェーン・ヌーン)の6人。 始めは順調に進んでいたものの、突然洞窟が崩落し、今まで来た道が塞がってしまいます。 しかもジュノは地図の書いてある本を車に置いて来たり、洞窟探検の届け出もせず、しかもボアム洞窟を探検しているはずだったのに、前人未踏の別の洞窟に案内していたのでした。 捜索隊が来ることも期待できない6人は、壁に書かれた壁画から、出口がもう一つあるかもしれないと別の出口を探し始めるのですが、暗闇で目が見えないが音に反応して襲ってくる、人間のような形をした生物に行く手を阻まれ、壮絶な闘いが始まるのでした。

地下3000メートルの洞窟の中なので、真っ暗で閉塞感があり、中は広くなっている場所があったり、狭くて一人が通り抜けるのがやっとの場所もあったり、しかも地下水が流れていたりして、そんなところを探検しようだなんて考えただけでも恐ろしいです。 しかもそこには予期せぬ恐ろしい生物が棲んでいて襲ってくるし、サラの事故死した夫とジュノが浮気をしていたことが分かったり、そこで繰り広げられる冒険は何だかグチャグチャで混乱してきます。 
観光名所で洞窟を見学する時も出入り口が塞がったら如何しようと思ってしまうこともありますが、狭い穴に体が挟まってしまって動けなくなるというあたりから怖くなりはじめ、謎の生物や仲間同士の確執なんかなくても、狭くて暗くてべチョべチョな所に閉じ込められて逃げられないというだけで胃が痛くなってきて健康に悪い映画でした。
C C

<私のちいさなピアニスト> 

2006年 韓国 108分
原題 For Horowitz(Horobicheu-reul wihayeo)
監督 クォン・ヒョンジン
脚本 キム・ミンスク
撮影 ファン・ドングク
音楽 イ・ビョンウ
出演 オム・ジョンファ  パク・ヨンウ  シン・ウィジェ  チェ・ソンジャ
   ユン・イェリ  チョン・インギ  ジュリアス=ジョンウォン・キム

ホロヴィッツに憧れてピアニストになりたいと思っていたキム・ジス(オム・ジョンファ)ですが、種々の事情から留学できず、場末の町でピアノ教室を開き、子供たちに指導する毎日で、一緒に学んでいた友人がコンクールに出場したり音大で教えたりして活躍する中、日々満たされない想いを持っていました。 ある日、近所に住む7歳のいたずらっ子の少年キョンミン(シン・ウィジェ)が、メトロノームを盗んだことで少年の家を訪れます。 キョンミンの両親は既に亡くなり、祖母(チェ・ソンジャ)とつましく暮らしていることを知るのですが、その後もキョンミンは何かとジスの教室にいたずらに来のでした。 ある日いつものように遊びに来たキョンミンが、ふとしたことから絶対音感を持っていることに気付いたジスは、キョンミンにピアノを教えてコンクールで優勝させ、自分の果たせなかった夢を託そうと思うようになるのですが…。

ピアノ教室の下の階のピザ屋の店主グァンホ(パク・ヨンウ)のジスへの一途な想いをコミカルに描いているのが面白かったですし、頑固でキョンミンにきつくあたる祖母が実は不治の病に罹っていて孫のこれからを心配してのことだったたなどは泣かされてしまいます。
コンクールの夢も一時はキョンミンのトラウマから失敗してしまったものの、ジスの友人ジョンウン(ユン・イェリ)に招かれたパーティでのキョンミンが弾いたピアノ演奏で才能を認められるのでした。 そして留学して世界的なピアニストに成長したキョンミン(ジュリアス=ジョンウォン・キム)。 
キョンミンの演奏するラフマニノフの「ピアノ協奏曲第二番」をグァンホと共に聞きに行ったジスの笑顔がステキでした。 

物語の内容は予想した範囲のものでしたが、ジスとキョンミンの心の繋がりが感動的で、なかなか心に響く作品でした。 
最後に立派に成長したキョンミンが大舞台で演奏するところなどは<リトル・ダンサー>のようでした。
B B

<初雪の恋 ヴァージン・スノー> 

2007年 日本・韓国 103分
監督 ハン・サンヒ
脚本 伴一彦
撮影 石原興
音楽 チャン・ジファン
出演 イ・ジュンギ  宮崎あおい  塩谷瞬  森田彩華
   柳生みゆ  乙葉  余貴美子

ソウルで暮らしていたキム・ミン(イ・ジュンギ)は、陶芸家の父が日本の大学で教えることになり、一緒に来日し、日本の高校に通うことになりました。 自転車に乗って京都を探検していたミンは、神社で巫女姿で働いている佐々木七重(宮崎あおい)と出会い、一目惚れするのでした。 その少女は同じ高校に通う生徒だったことから、二人は付き合うようになり、言葉が通じないながらも少しずつ心を通わせていくのでした。 そしていつかキムが形作った陶器に七重に絵付けをしてほしいと言ったり、初雪の日にデートした恋人は幸せになれるというソウルの若者たちの間に伝わる言い伝えを実行しようと約束するのでしたが…。 

イ・ジュンギと宮崎あおいのファンのための映画といった感じでしたが、見慣れた京都の風景が美しく、それだけでも雰囲気があってステキでした。 でもいつも韓国映画を見ていて思うのは、男性が突然カーッとなって暴れる場面が多くて怖いことです。 この映画でも二年ぶりに二人が再会した後、キム・ミンは七重が黙って姿を消したことを怒って、陶器をメチャクチャに割ったり、それまで大事にしていた七重の描いた水彩画を破り捨てたりしましたが、そういう場面を見るとそれまでのロマンチックな気分が何だか急に醒めてしまいます。 別れる前に七重からプレゼントされたお守りを病気だった祖母にあげるというのも信じられなかったです。 でも元気になった祖母のおかげでそのお守りの中に入っていた手紙が見つかり、事情が分かった訳ですからしかたないのかもしれません。 音楽は盛り上げよう盛り上げようとした大げさな感じはありましたが、親しみやすかったのではと思いました。
C C

<カジュアリティーズ> 

1989年 アメリカ 114分
原題 Casualties of War
監督 ブライアン・デ・パルマ
原作 ダニエル・ラング
脚本 デヴィッド・レーブ
撮影 スティーヴン・H・ブラム
音楽 エンニオ・モリコーネ
出演 マイケル・J・フォックス  ショーン・ペン  ドン・ハーヴェイ  
   ジョン・C・ライリー  ジョン・レグイザモ  テュイ・テュー・リー 

1974年、ベトナムから帰還した元兵士のエリクソン(マイケル・J・フォックス)は、電車に乗ってきたベトナム人留学生の少女(テュイ・テュー・リー)を見て、ベトナムに居た頃の悲惨な出来事を思い出すのでした。
1966年、戦場で一個小隊で敵の動向を偵察して移動する途中、エリクソンはべトコンの作ったトンネルに落ち、体半分はまってしまい身動きできない所を、小隊のリーダーのミザーヴ軍曹(ショーン・ペン)に助けられます。 その後しばらくして、平穏なひとときに突然銃声がし、もうじき除隊になる牧師で無線係のブラウン(エリック・キング)が狙撃を受け死亡してしまうのでした。 基地に戻って立て直しを図ることになり、ミザーヴ軍曹の小隊のメンバー、クラーク(ドン・ハーヴェイ)、ハッチャー(ジョン・C・ライリー)、ディアズ(ジョン・レグイザモ)とエリクソンは、今度は中央高地の偵察を命じられるのですが、出発前夜楽しみにしていた外出を中止にされたミザーヴ軍曹は、明日はベトナムの少女を調達してレイプしようと言い出すのでした。 冗談だと思っていたエリクソンですが、実際に村人が寝静まった時、一人の少女に目を付け、誘拐してしまうのでした。 エリクソンの反対も虚しく、山の中を偵察しながらその少女オアン(テュイ・テュー・リー)を連れまわし、小隊は集団でレイプしてしまいます。 エリクソンは仲間が居なくなった時、少女を逃がそうと思ったのですが、失敗してしまいます。 銃撃戦が始まろうとしている時、少女が咳をするのが煩くて敵に気付かれるし、もうじき基地から援軍が来るので、少女を誘拐してレイプしたことが軍に知られるとまずいと思ったミザーヴ軍曹は、小隊に少女を殺すことを命じるのでした。  
エリクソンは基地に戻ると、事件の内容を上官に話してみるのですが、上官は事件が明るみに出ることを恐れ、事件を闇に葬ろうとするのでした。 エリクソンは小隊の4人に命を狙われ、自棄になってお酒を飲んでいると、基地で活動していた牧師が悩みがあるのかと近づいてきます。 牧師に訴えたことで事件が明るみになり、ミザーヴ軍曹たちは軍法会議に掛けられそれぞれに刑を科せられるのでした。

この作品は実際に起きたことを基に映画化したものだといいますが、以前観た時には途中で観るのを止めようと思ったほどショックでした。 冷静になってみると違った観点から描いた戦争映画でいろいろ考えさせられることの多い作品だと思います。 “災いの谷を歩むとも、死は恐れない。俺こそ最悪の男だから”と言うくらいなのですからミザーヴ軍曹は頭が良くて充分自分の罪を知っていたはず。 この事件の前に部下で親友と思っていたブラウンの死があったからかもしれないのですが、戦争が狂気の中でしか生きていけない人に育ててしまったかのようでした。 
今にして思うと実力派の俳優さんばかり揃えたものと感心してしまいます。 戦争の悲惨さは伝わってきますが、あまり何度も観たいと思う作品ではありません。
B C

<ボディ・ダブル> 

1984年 アメリカ 114分
原題 Body Double
監督 ブライアン・デ・パルマ
原案 ブライアン・デ・パルマ
脚本 ブライアン・デ・パルマ  ロバート・J・アヴレッチ
撮影 スティーヴン・H・ブラム
音楽 ピノ・ドナッジオ
出演 クレイグ・ワッソン  メラニー・グリフィス  グレッグ・ヘンリー
   デボラ・シェルトン  デニス・フランツ

B級映画“吸血鬼のキス”に出演中の俳優ジェイク(クレイグ・ワッソン)は、撮影中に閉所恐怖症になり帰宅すると、同棲中の女性(バーバラ・クランプトン)が他の男性とセックスをしているのでした。 落ち込んだジェイクは次の仕事のためのオーディションに行き、サム(グレッグ・ヘンリー)と知り合い、サムが公演旅行の間の留守番を頼まれるのでした。 豪華な家で、しかも望遠鏡で覗くと遥か彼方の家の窓からゴージャスな美女の姿を見ることが出来ると教えてもらったのです。 その女性グロリア(デボラ・シェルトン)に魅せられたジェイクは毎晩のように彼女を観察するようになるのですが、グロリアが男性と喧嘩しているのを見たり、彼女をつけまわしている男の存在を知るのでした。 心配になったジェイクは、グロリアを尾行します。 するとグロリアを付回していた男が彼女のハンドバッグを盗んだのでジェイクは追いかけて取り戻すのですが、その男はバッグから何かを抜き取って逃げてしまいました。 その晩、昼間の男がグロリアの家に忍び込み、グロリアが殺されそうになったのを覗き見た時には、大急ぎで助けに行くのですが既に彼女は殺されていたのでした。 

警察に通報し、グロリアが大金持ちなのだということを知るジェイク。 警察は彼女の夫が彼女の財産を目当てに殺したのではと思ったようなのですが、ジェイクが昼間見たことや今まで望遠鏡で覗き見たことを話すと、昼間の男が持ち去ったのはカードキーだと言い、警察は犯人は夫ではないと確信したようでした。
警察の捜査が難航している中、ジェイクはポルノビデオを見ていて、その中の一つホリー(メラニー・グリフィス)というポルノ女優の踊りが、望遠鏡で覗き見たグロリアの踊りとそっくりなのに驚きます。 ホリーの出演するビデオに出演したいと言ってポルノ映画のオーディションに行き、ポルノ業界では有名なホリーに近づくのでした。 そして彼女が知らない男にグロリアの部屋で踊るようにと頼まれていたことを突き止めるのでした。 警察に電話をしてからホリーを追うのですが、ホリーは謎の男に連れ去られ貯水池の近くに埋められようとしていました。 必死で助けようとして自分も土の中に埋められそうになりますがやっとのことでホリーを助けることが出来たジェイク。 この夢を見ている間に、ジェイクの閉所恐怖症が完治し、映画はクランクアップするのでした。

アルフレッド・ヒッチコック監督に強い影響を受けたというブライアン・デ・パルマ監督が、ヒッチコックにオマージュを捧げ、ヒッチコック映画で使われた技法を駆使して作ったというエロチック度満点な娯楽サスペンスです。
どうしようもない映画で、主人公はあまりピンと来ないですが、メラニー・グリフィスやデボラ・シェルトンが魅力的でしたし、劇中で使われていたフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「リラックス」が良かったです。
C B

<レディ・チャタレー> 

2006年 フランス・ベルギー・イギリス 135分 
原題 Lady Chatterley
監督 パスカル・フェラン
原作 D・H・ロレンス「チャタレイ夫人の恋人」
脚本 パスカル・フェラン  ロジェ・ボーボ  ピエール・トリヴィディク
撮影 ジュリアン・ハーシュ
音楽 ベアトリス・ティリエ
出演 マリナ・ハンズ  ジャン=ルイ・クロック  イポリット・ジラルド
   エレーヌ・アレクサンドリディス  エレーヌ・フィリエール

第一次大戦から数年経った1921年、結婚4年目のクリフォード・チャタレー卿(イポリット・ジラルド)と妻のコンスタンス(マリナ・ハンズ)は、イギリス中部の炭鉱地帯の村の邸宅に住んでいました。 夫のクリフォードが戦争で下半身不随になってしまってから、コンスタンスは夫の世話に追われる日々を過ごし、体調を崩してしまい、コンスタンスの姉の知り合いのボルトン夫人(エレーヌ・アレクサンドリディス)に夫の看護を頼むようになるのでした。 ある日夫に頼まれて森に行き、森番のパーキン(ジャン=ルイ・クロック)に夫の伝言をしたコンスタンスは、思いがけずパーキンの健康的な肉体を見てドキドキしてしまい、その後度々気晴らしにと言って森を訪れるようになるのでした。 そして言葉を交わすうち、次第に互いに惹かれていき、逢瀬を重ねるようになるのでした。

この映画は現在一般的に読まれている第三稿ではなく、第二稿を基にしたものなのだそうです。 第三稿が野生的なのに対し、二稿は人物を繊細に描いているのだとか…。 学生の頃原文で読もうとして途中で諦めてしまった本が何稿目だったのかは分からないのですが、昔はこの本を読むの流行っていたな~と懐かしく思います。
コンスタンスと森番のパーキンとの出会いや恋に落ちる過程が丁寧に綴られていて、美しい森の中での二人の純粋な恋がロマンティックに感じられました。 でも少し長すぎて退屈でした。
C C

<ライラの冒険 黄金の羅針盤> 

2007年 アメリカ 112分
原題 The Golden Compass
監督 クリス・ワイツ
原作 フィリップ・プルマン「黄金の羅針盤」
脚本 クリス・ワイツ
撮影 ヘンリー・ブラハム
音楽 アレクサンドル・デプラ
出演 ニコール・キッドマン  ダコタ・ブルー・リチャーズ  サム・エリオット
   ダニエル・クレイグ  エヴァ・グリーン  クリストファー・リー
声の出演 イアン・マッケラン  フレディ・ハイモア

フィリップ・プルマン原作の「ライラの冒険」三部作の第一作“黄金の羅針盤”の映画化です。
私たちの住んでいる世界と似ているが異なった点の多い異世界、パラレルワールドの英国オックスフォードでは、人々は皆それぞれにダイモンと呼ばれている動物の形をした守護精霊と共に生きているのでした。 幼い頃両親を亡くしたと聞かされているお転婆な12歳のライラ・ベラクア(ダコタ・ブルー・リチャーズ)は、オックスフォード大学のジョーダン学寮で、パンタライモンことパン(フレディ・ハイモア)というダイモンと元気いっぱいに暮らしていました。 ライラの叔父のアスリエル卿(ダニエル・クレイグ)は“ダスト”と呼ばれる謎の粒子について調べていることで、この世を支配している教権(の一部の人たち?)によって命を狙われているのですが、その謎を明かそうと北の大地へと旅立つのでした。 アスリエル卿と違った立場に立ち、教権に強い影響力を持つコールター夫人(ニコール・キッドマン)は、真の狙いを隠し、ライラに優しく近づき支配しようとするのでした。 その頃、子供が行方不明になる事件が多発していたのですが、ライラの親友のロジャー(ベン・ウォーカー)が突然姿を晦ましたのでした。 ライラは学寮長(ジャック・シェパード)に渡された黄金の羅針盤“真理計”を持って、ロジャーを救うため流浪の部族ジプシャンや、気球乗りのリー・スコーズビー(サム・エリオット)、元王子だったという白熊のイオレク・バーニソン(声:イアン・マッケラン)と共に北の地に向って過酷な旅を始めるのでした。     

誰もが守護精霊のダイモンと一緒に生活しているなんて夢があって面白いし、自分だったらどんな動物の守護精霊に守られるのだろうかと考えるだけで楽しくなります。 ダイモンは人の心の奥底にあるものが形になって現れるものなので、大人になると守護精霊の形が一定になるのですが、子供の頃は守護精霊の姿がその時々によって変化するのだとか…。 ライラのダイモンのパンも普通の時はオコジョですが、その時々により猫になったりもする分身のようなもののようです。 
因みに美しく力強いがずる賢いコールター夫人のダイモンはゴールデン・モンキー、気品と風格のあるアスリエル卿のダイモンはユキヒョウ、優しく力強いスコーズビーのダイモンは野ウサギ、美しくて知的で優しい魔女の女王セラフィナ(エヴァ・グリーン)は白い雁です。 そのダイモンによって人物の性格が分かるのです。 
真理計も、ただの羅針盤ではなく、知りたいことを念じると4つの針が36ある絵文字のいずれかを示して、真実を伝えるのですが、まだライラは真理計の読み方に精通できていません。 
というような何だかワクワクする内容なのに、時間が短すぎて次々に駆け足で進行するので、分からない事がたくさんあって困りました。
ダイモンと離れていてもOKの人や、ダイモンがいない人がいるのは? 全ての真理計を壊したはずなのに(何で壊したの?)、ライラのだけ壊さなかったのは? コールター夫人はいつまでも純真な心を持ち続けることができるようにと子供とその子のダイモンを引き離そうとする実験の首謀者ですが、ライラが実験されそうになるとまだ実験が完成していないと言って取り止め、自分が貴女の母親でアスリエル卿が実はライラの父親だなんて言って、ライラから真理計を取り上げようとするのはどうしてなのか?(その真理計を使えるのはライラだけらしいのに)とか、もし本当に自分がライラの母なら父親であるアスリエル卿を殺そうとしているのって大問題!?などと、数々の疑問が湧いてきます。 
でもテンポ良く進行するので、子供向けという感じは否めませんがそれなりに楽しめました。 

ちょっと太ってしまいましたが相変わらず美しいニコール・キッドマン、007以来何だか色っぽくなったダニエル・クレイグ、神秘的な美しさを感じさせるエヴァ・グリーン、包み込むような大人の魅力のサム・エリオット、声だけだけど力強い感じのイアン・マッケランなどそれぞれに魅力的でした。
また、ダイモンの仕草が可愛らしく表情豊かだったり、クライマックスの白熊同士の闘い、イオニクとイオレクの父王を毒殺して王の座についたイオファー・ラクニソンとの闘いや、その後のジプシャンたちやスコーズビー、セラフィナなど、あい乱れての戦いは迫力ありましたが、最後の終わり方が釈然とせず、こんな終わり方で良いのかとちょっと物足りない感じを受けました。  
原作を知らないので、「ハリー・ポッター」の女の子版で、「ロード・オブ・ザ・リング」の小型版かなと感じました。
C B

<レミーのおいしいレストラン> 

2007年 アメリカ 110分
原題 Ratatouille
監督 ブラッド・バード
原案 ブラッド・バード  ヤン・ピンカヴァ
脚本 ブラッド・バード
撮影 シャロン・カラハン
音楽 マイケル・ジアッキーノ
声の出演 パットン・オズワルト  ブライアン・デネヒー ジャンゴ  ブラッド・ギャレット
   ジャニーン・ガロファロー  イアン・ホルム  ピーター・オトゥール
   ルー・ロマノ  ジョン・ラッツェンバーガー

今は亡き天才シェフ、グストー(ブラッド・ギャレット)に憧れているネズミのレミー(パットン・オズワルト)は、天才的な味覚と臭覚の持ち主で、いつかグストーのようになりたいとグストーのレシピを読んで勉強していました。 ある雨の日、家族とはぐれてしまったレミーは、霊となったグストーの導きでパリのグストーのレストランの前に辿り着きます。 その厨房に入ってみると、見習いシェフのリングイニ(ルー・ロマノ)が、出来上がったスープをこぼして、こぼした分を水増しして味付けをしていました。 その覚束なさを見て心配になったレミーは、このスープの味を付け直すのでした。 手違いでそのスープが出されてしまいますが、飲んだ辛口の批評家はそのスープを褒め称えるのでした。 そのスープを作ったのがリングイニだと思った料理長のスキナー(イアン・ホルム)は、リングイニに厨房をうろついていたネズミの駆除を命じ、明日もう一度同じスープを作るようにと命じます。 レミーの味付けを目撃していたリングイニは、レミーと取り引きして二人で力を合わせて料理をすることになるのですが…。

料理の天才のネズミと、料理の才能のない天才シェフの落し子だなんて面白い発想を持ったものだと感心してしまいます。 だけど、ドブネズミが作ったお料理なんて食べたくないな~という先入感があるので、レミーが厨房でお皿やおなべに触れるだけで気持ち悪いな~と思いながら見てしまいました。 
原題がラタトゥイユってどうしてなのかと思っていたら、食べる死神と呼ばれる批評家アントン・イーゴ(ピーター・オトゥール)を唸らせたお料理だったとは…。 よりにもよって野菜煮込みのような庶民的な料理を出すなんて天才は違うんですね。
レミーがリングイニの髪の毛を引っ張って合図し操る様子が楽しかったのと、頼りなさそうなリングイニをサポートし、愛し合うようになるシェフ、しっかりもののコレット(ジャニーン・ガロファロー)がステキでしたが、リングイニはこれから先もずっとお料理上手になれないのかな~と心配なラストでした。 日本語吹き替え版での佐藤隆太さんのリングイニ役、楽しかったです。
B C

<夜顔> 

2006年 フランス・ポルトガル 69分
原題 Belle Toujours
監督 マノエル・ド・オリヴェイラ
脚本 マノエル・ド・オリヴェイラ
撮影 サビーヌ・ランスラン
出演 ミシェル・ピコリ  ビュル・オジエ  リカルド・トレパ
   レオノール・バルダック  ジュリア・ブイゼル  ブノワ・グルレ

ルイス・ブニュエル監督の<昼顔>のアンリ・ユッソン(ミシェル・ピコリ)とセヴリーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)の38年後を綴ったドラマです。
ある日アンリ(ミシェル・ピコリ)は、コンサート会場で思いがけない女性を発見します。 彼女はかつての親友ピエールの妻セヴリーヌ(ビュル・オジエ)でしたが、彼女はコンサートが終わるとすぐにその場を去ってしまうのでした。 アンリはセヴリーヌの後を必死で追うのですが、見失ってしまうのでした。 その後何度かすれ違った挙句、アンリは遂にセヴリーヌとディナーの約束をし、ディナーの席で彼女にいろいろと昔のことを話そうとするのですが…。

<昼顔>でアンリを演じていたミシェル・ピッコリが、再び38年後のアンリを演じているのがステキでしたが、セヴリーヌはビュル・オジエも良いですが、カトリーヌ・ドヌーヴが演じたらなんて思ってしまいました。
それにしてもストーリーなどというものは全く無く、過去に付いて互いに知りたかったことがあったものの、知りたいことがお互いに違い、イライラしてセヴリーヌが帰ってしまったというだけのことのように思えました。
38年前のアンリはニヒルな感じだと思っていましたが、38年後は優しくて感じの良さそうなおじいちゃまのように見えるのに、嫌がる人を無理矢理食事に誘い出し、過去の事をネチネチ聞きだそうとするというのは意外でした。  
<昼顔>の後日譚と思って期待するとガッカリな作品で、あまり見ていて楽しいというものではありません。
C D

<昼顔> 

1967年 フランス 100分
原題 Belle de Jour
監督 ルイス・ブニュエル
原作 ジョゼフ・ケッセル「昼顔」
脚本 ルイス・ブニュエル  ジャン=クロード・カリエール
撮影 サッシャ・ヴィエルニー
出演 カトリーヌ・ドヌーヴ  ジャン・ソレル  ミシェル・ピコリ
   ジュヌヴィエーヴ・パージュ  ピエール・クレマンティ  フランシスコ・ラバル

セヴリーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、夫で外科医のピエール(ジャン・ソレル)と互いに愛し合い、しあわせな毎日を送っていましたが、幼い時の出来事がトラウマとなって潜在意識の中で異常な性的な妄想に取り憑かれるのでした。 そんな状況を見抜いたピエールの友人のアンリ(ミシェル・ピコリ)は、何気なく良家の夫人が夫に秘密にして売春をする家の話をするのでした。 セヴリーヌは興味からその家を訪ねると、その家のアナイス夫人(ジュヌヴィエーヴ・パージュ)に気に入られ、昼の時間帯に昼顔という名で客をとるようになるのでした。 しかしある日マルセル(ピエール・クレマンティ)というチンピラが客になり、昼顔を気に入って何度も訪れるようになり、夫と別れて自分と結婚しろとセヴリーヌを威すようになるのでした。 セヴリーヌが思うようにならないと知るとピエールを殺そうとするのでした。 ピエールは命は取り留めたものの、歩くことが出来なくなり、廃人のようになってしまうのでした。 献身的に看病するセヴリーヌは、もうかつてのような忌まわしい妄想を見ることはなく、平穏な日々を送るようになるのでした。 

昔に観た時は内容がよく分からなくて、カトリーヌ・ドヌーヴが綺麗だったのと、どうしてあんな夢を見るのかとか、何で娼婦になったのかが不思議で仕方ありませんでした。
久しぶりに見てみると、やっぱり訳が分からないのですが、不感症の女性が愛する夫に対して罪悪感を抱き、昼間の時間帯に娼婦として働くことで病気を治そうとするのだが…といった内容のようでした。 音楽が無いのに、音楽を感じるというのも、不思議なものだと思いましたし、最後まで張り詰めた感じのする作品でした。 イヴ・サンローランの衣装もステキでした。
B B

<夜顔>

<ダイナソー> 

2000年 アメリカ 82分
原題 Dinosaur
監督 ラルフ・ゾンダグ  エリック・レイト
脚本 ジョン・ハリソン  ロバート・ネルソン・ジェイコブス
音楽 ジェームズ・ニュートン・ハワード
声の出演 D・B・スウィーニー ジュリアナ・マーグリーズ ジョーン・プロウライト
   オシー・デイヴィス マックス・カセラ アルフレ・ウッダード サミュエル・E・ライト
日本語版 袴田吉彦 江角マキコ 島美弥子 渡部猛 中尾隆聖 高島雅羅

6500万年前の白亜紀の地球。 広大な緑の台地が広がり、様々な恐竜たちが伸びやかに生活していましたが、突然巨大な隕石が落下してきて、野山は焼きつくされ、川や湖はカラカラに干上がって、環境が著しく変化してしまいました。 
生き残った恐竜たちは、“生命の大地”という伝説の楽園を求めて移動し始めるのでした。 
イグアナドンのアラダー(D・B・スウィーニー)は、キツネザルのプリオ(アルフレ・ウッダード)たちと海を渡り、荒れ果てた大地を進むうち、リーダーのクローン(サミュエル・E・ライト)率いる草食恐竜の群れに出会い、合流します。 しかし、弱いものを切り捨てていくクローンのやり方が気に入らないアラダーは、ブラキオザウルスのベイリーンおばあさん(ジョーン・プローライト)たちと共に群れを離れることにします。 肉食恐竜たちの攻撃をかわしながらの、過酷な旅となるのですが…。

生き生きとした恐竜も、背景となる自然もとてもリアルな感じがしたのですが、背景は実写映像とCGの映像を組み合わせたものなのだそうです。 隕石の落下は迫力ありましたし、恐竜はホンモノみたいなのですがとても魅力的に描かれていました。 伝説の楽園を目指して旅をし、数々の危険を乗り越え仲間たちと絆を深めと、ステキなファンタジーだと思いました。 でも手書き風が無くなって、だんだんこんな感じになっていくのって寂しいような気もします。
B C

<アラジン完結編/盗賊王の伝説> 

1996年 アメリカ 82分
原題 Aladdin and the King of Thieves
監督 タッド・ストーンズ
脚本 マーク・マッコークル  ロバート・スクーリー
音楽 マーク・ワッターズ  カール・ジョンソン
声の出演 スコット・ウェインガー ジェリー・オーバック ロビン・ウィリアムズ
   ギルバート・ゴットフリード リンダ・ラーキン ジョン・リス=デイヴィス
   CCH・パウンダー
日本語版 三木眞一郎 麻生かほ里 山寺宏一 神谷明 池田勝 石井一孝

アラジンとジャスミンの結婚式が行われているアグラバーの都。 二人が誓いの言葉を交わそうとしている時、盗賊王カシームが式を台無しにしてしまいます。 盗賊団は幻の秘宝“ミダスの手”を探すために必要な、王宮に保管されている“お告げの杖”を奪いに来たのでした。 盗賊団に立ち向かうアラジンは、やがてカシームが幼い頃生き別れになった父だと知るのですが…。

カシームの探している秘宝ミダスの手とは何なのか? カシームは果たして信頼できる人なのか? ランプの精ジニーのギャグやパロディも楽しく展開します。 でもこの作品は、父と息子の物語が中心になっているため、せっかくのジニーが面白く感じられなかったし、ジャスミンに到っては完全に脇に追いやられてしまった感じでした。
C C

<アラジン> 

1992年 アメリカ 90分
原題 Aladdin
監督 ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ
脚本 ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ、テッド・エリオット、テリー・ロッシオ
音楽 アラン・メンケン
美術 ビル・パーキンス
声の出演 スコット・ウェインガー リンダ・ラーキン ロビン・ウィリアムズ
   ギルバート・ゴットフリード ジョナサン・フリーマン フランク・ウェルカー
日本語版 山寺宏一 三木眞一郎 麻生かほ里 神谷明
   あずさ欣平 宝田明 松尾貴史

砂漠の都アグラバーで、貧しい青年アラジン(スコット・ウェインガー)は、美しい娘ジャスミン(リンダ・ラーキン)に一目惚れします。 実はジャスミンはアグラバー国王サルタン(ダグラス・シール)の娘だったのですが、アラジンは盗みをしていたとして果物屋に捕まっていたジャスミンを助け出したものの、アラジンは役人に捕まってしまうのでした。  
牢に入れられたアラジンは、老人に化けた右大臣のジャファー(ジョナサン・フリーマン)に、逃がしてやるかわりに砂漠の洞窟から魔法のランプを探してくるようにと命じられ、ペットの猿アブーと魔法のランプを探す旅に出発するのでした。 
途中で空飛ぶ絨毯と出会い、絨毯に道案内されランプを手に入れますが、外で待っていたジャファーがランプを取り上げ、アラジンを崖から突き落とすのでした。 しかしアブール(フランク・ウェルカー)は、アラジンが突き落とされる寸前にランプを取り戻し、一緒に崖下に落ちたのです。 
アラジンは見てくれはただの中古のランプにしか見えないランプを、綺麗に磨こうとこすってみると、ランプの精ジニー(ロビン・ウィリアムズ)が現れ、ランプを持つご主人の願いを3つ叶えると言うのでした。    

素晴らしい映像で、ロマンティックでステキな音楽。 魔法のランプの力を借りて、国を乗っ取ろうとするジャファーをやっつけ、ジーニーをランプから解放し、王女のジャスミンと結婚というハッピーな物語。 誰が見ても楽しめる冒険物語でした。 以前、字幕で観てとても楽しかったのですが、今回の日本語吹き替え版も楽しかったです。 
アラジンとジャスミンが魔法の絨毯で空を飛びながら歌う“ア・ホール・ニュー・ワールド”がステキでした。
B B

<華麗なる殺人> 

1965年 イタリア 89分
原題 La Decima Vittima
監督 エリオ・ペトリ
原作 ロバート・シェクリイ「七番目の犠牲者」
脚本 トニーノ・グエッラ  ジョルジオ・サルヴィオーニ  エリオ・ペトリ  エンニオ・フライアーノ
撮影 ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
音楽 ピエロ・ピッチオーニ
出演 マルチェロ・マストロヤンニ  ウルスラ・アンドレス  エルザ・マルティネッリ
   マッシモ・セラート  サルヴォ・ランドーネ  ルーチェ・ボニファッシ  

人間の闘争本能を満たさなければ平和が保てないとして、殺人がスポーツとして合法化された21世紀の近未来、各地で競技が盛んになっていました。 ルールは会員に登録したものは誰でも参加でき、狩をする側として、標的としてそれぞれ5回、交互に10回成し遂げると、100万ドルの賞金が与えられ、その他にも多大な権利を持つことができるというものでした。 狩をする側には標的のあらゆる情報を与えますが、標的は狙われていることは知らされるものの相手に付いては教えてもらえません。 自分を狙っている相手を殺すことができれば、殺されずに済むのですが、間違って違う人を殺してしまうと罪になります。
アメリカ人のキャロリン・メレディス(ウルスラ・アンドレス)は、華麗な殺し方が話題で、次の10人目の殺人をTVのCMに使いたいと、ミン紅茶会社から打診され、これを請けることにするのでした。 キャロリンの標的はイタリア人のマルチェロ・ポレッティ(マルチェロ・マストロヤンニ)。 彼もまた今度殺しに来た人を返り討ちにすれば10人目なのでした。
キャロリンはTVCM作りのチームと共にローマに渡り、華麗な舞台を作りマルチェロに近づくのですが、マルチェロもこれに気付き、コカ70のCMを撮らせようとしていました。 互いに近づき相手を観察していくうち、二人の間に愛が芽生えてしまうのですが、CMスタッフの前で殺人をしなければならなくなり…。

華麗なファッションに身を包む、お洒落な殺人者たちのラブコメでした。 出演者たちも楽しそうに殺人者を演じているので、緊迫感が全然無くコミカルな雰囲気。 殺人を犯しているというのに、観ていてこちらまで楽しくなってしまいました。
C B

<ゾンビーノ> 

2006年 カナダ 92分
原題 Fido
監督 アンドリュー・カリー
原案 デニス・ヒートン
脚本 アンドリュー・カリー  ロバート・チョミアック  デニス・ヒートン
撮影 ジャン・キーサー
特殊メイク トッド・マスターズ
音楽 ドン・マクドナルド
出演 キャリー=アン・モス  ビリー・コノリー  ディラン・ベイカー
   クサン・レイ  ティム・ブレイク・ネルソン  ヘンリー・ツァーニー

かつて宇宙からの放射能により死体がすべてゾンビになってしまったため、ゾンビが大量発生して人間を襲い、地球規模のゾンビ戦争が繰り広げられましたが、ゾムコン社の研究によりゾンビの脳を破壊することでゾンビを退治できることが分かり、人類は勝利しました。 その後、ゾンビを従順にする首輪が開発され、死んでからもゾンビとして人類に貢献できるようになったのです。 そしてゾンビ戦争後は、ゾンビと人間の共存する世界では、ゾンビに首輪をつけてペットにする家庭が一般的になっているのでした。 
平和な田舎町ウィラードに住む少年ティミー(クサン・レイ)の家でも、父のビル(ディラン・ベイカー)は反対したものの、母へレン(キャリー=アン・モス)は、お隣にティミーのクラスメイトになったシンディのお父さんで、ゾムコン社の警備主任のミスター・ボトムズ(ヘンリー・ツァーニー)が引っ越してきたことをきっかけに、ゾンビをペットにするのでした。 
ティミーはゾンビがペットというのをうざったく思っていたのですが、苛められているところをペットのゾンビに助けられてからは、そのペットのゾンビをファイド(ビリー・コノリー)と名付け可愛がり、無二の親友になっていくのでした。 
ヘレンもファイドに恋心を抱くようになるのですが、以前ファイドがご近所の口煩い老婆に殴られ、首輪を壊されたため凶暴になって老婆に噛み付いてしまい、ティミーが懸命に隠していたのですが、その事件が明るみに出てしまい、ファイドはゾムコン社に連れ去られてしまうのでした。 
ティミーは隣人で元ゾムコン社社員だったのに、美女のゾンビ、タミーと愛し合ったため解雇されたミスター・シアポリス(ティム・ブレイク・ネルソン)に協力してもらい、ファイドを取り戻しに行きます。 
警備主任のミスター・ボトムズがティミーを見つけ、ゾンビ・ゾーン(野生ゾンビが暮らしている場所で、ゾムコン社の裏手にある第三世界)にティミーを押し込んだのですが、両親とファイドによってティミーは助けられ、ミスター・シアポリスが逃走を助けてくれるのでした。
ティミーの父ビルはミスター・ボトムズに殺されてしまったので、ファイドはミスター・ボトムズに噛み付いてゾンビにしてしまいました。 ビルのお葬式の後、ヘレンはティミーの弟を出産し、ファイドと新たな生活を。 シンディは父のゾンビをペットにして可愛がるのでした。

一見、<パパは何でも知っている>や<うちのママは世界一>といった50年代のアメリカTVドラマのような、古きよき時代を感じさせるのにゾンビが登場するという、あんまり怖くなくて、ブラック・ファンタジーのような不思議な感覚のドラマでした。 ゾンビをペットにするのって<ショーン・オブ・ザ・デッド>のラストで親友をペットにするのを思い出し、そちらも面白かったな~と思い出しました。 
ティミーの父ビルはゾンビになった自分の父親に食べられそうになったというトラウマがあったり、貧乏閑なしで息子と遊んであげる時間もないのに、良い父親になろうと息子の分までお葬式のローンを組もうとしています。 完全に頭を切り離さないと完全に死ねない(放射能によりゾンビになってしまう)のでお葬式はお金が掛かるらしいのです。 それなのに、息子も妻もゾンビの方が好きになってしまうのですから、ペットのワンちゃんやネコちゃんの方が愛されている何処かの国の家庭のようで可哀想でした。 
C A 

<ロバート・アルトマンのヘルス> 

1980年 アメリカ 100分
原題 HealtH
監督 ロバート・アルトマン
脚本 ロバート・アルトマン  フランク・バーハイト  ポール・ドゥーリー
撮影 エドモンド・L・クーンズ
音楽 ジョゼフ・バード
出演 キャロル・バーネット  グレンダ・ジャクソン  ジェームズ・ガーナー
   ローレン・バコール  ポール・ドゥーリー  ヘンリー・ギブソン

フロリダの豪華なホテルで、健康食と長寿を考える健康団体“HEALTH”の年次総会が行われ、次期会長を選ぶ選挙が行われようとしていました。 候補者は話が面倒になるとすぐに手を上げたまま眠ってしまう病気をひた隠しにする83歳とはとても思えない美貌のエスター・ブリル(ローレン・バコール)と、理知的で改革を唱えているものの本当は男性なのだと噂されているイザベラ・ガーネル(グレンダ・ジャクソン)でした。 政府から派遣されたという健康問題担当顧問のグロリア・バーバンク(キャロル・バーネット)がプールに沈んでいる男(ポール・ドゥーリー)を発見して大騒ぎになったり、コーディ大佐(ドナルド・モファット)がイザベラを推しているグロリアを脅したりする中、TVの取材カメラが様々なイベントで盛り上がる様子を映し出すのでした。

今もそうですが、この映画製作当時、健康食ブームが盛り上がっていたらしく、そのことを皮肉ったり、健康団体の会長選挙を、アメリカ大統領選挙と重ね合わせて風刺した作品なのだといいます。 そんなこともあるのでしょうが、私としては、アルトマン監督の作品らしく、生き生きとしたたくさんの人物が登場するし、エキセントリックでふざけた感じの人など、それぞれの醸し出す雰囲気が面白く、コメディとして楽しんでしまいました。 会長に選ばれたのは、対立候補に変な噂を出した不健康な女性というのが皮肉でした。
B B

<腑抜けども、悲しみの愛を見せろ> 

2007年 日本 112分
監督 吉田大八
原作 本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
脚本 吉田大八
撮影 阿藤正一  尾澤篤史
音楽 鈴木惣一朗
出演 佐藤江梨子  永作博美  永瀬正敏  佐津川愛美
   山本浩司  土佐信道  上田耕一

北陸の山間部の田舎町に住む両親が交通事故死し、後妻の連れ子の和合宍道(永瀬正敏)とその妻の待子(永作博美)と先妻の産んだ次女の清深(佐津川愛美)がお葬式を執り行っている時、4年前に東京に出て女優をしていた先妻の産んだ長女の澄伽(佐藤江梨子)が帰って来ます。 女優としてなかなか芽が出ず所属事務所からも契約打ち切りを言われた澄伽ですが、相変わらず気が強く我儘な性格は直りません。 4年前、清深が自分を題材に描いてホラー・コミックに掲載された漫画が地元で評判になり、それが元で女優になっても役に打ち込めないので、女優としての実力を発揮しきれないのだと思い込み、清深に辛く当たるのでした。 そんな澄伽を注意するでもなく、そのまま受け入れている宍道を見て待子は不思議に思うのですが…。

ずいぶん威勢の良い題名なので、どんな映画なのかと思っていたのですが、ちょっとホラーで、変わった雰囲気のホームドラマでした。 性格が分裂気味で自意識過剰で自分本位な澄伽を演じていた佐藤江梨子さんの妹や兄に対する接し方が怖かったですが、それにも増して夫にどんなに暴力を振るわれてもニコニコと笑い、明るく振舞う嫁役の永作博美さんが気持ち悪かったし、姉に怯えながらもジッと冷静に姉を観察し、再び姉を題材にホラー・コミックを書き上げ、グランプリに輝いてしまい、“やっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ。”と言う妹が凄くホラーでした。
C B

<夕凪の街 桜の国> 

2007年 日本 118分
監督 佐々部清
原作 こうの史代「夕凪の街 桜の国」
脚本 国井桂  佐々部清
撮影 坂江正明
音楽 村松崇継
出演 田中麗奈  麻生久美子  吉沢悠  伊崎充則  藤村志保
   中越典子  金井勇太  堺正章  粟田麗  田山涼成

“夕凪の街” 原爆が投下されてから13年後の昭和33年の広島。 原爆で父と妹を失った26歳の平野皆実(麻生久美子)は、母フジミ(藤村志保)とひっそり暮らしていましたが、ある日職場で同僚の打越豊(吉沢悠)に愛を告白されます。 被爆者ということで恋愛も結婚も諦めていた皆実は、しあわせを感じたものの、打越に、自分が生き残ってしまったことに罪悪感を持って暮らしていることや、父や妹が原爆で亡くなったこと、自分も被爆したことを話すのでした。 そんな時、皆実を原爆の後遺症が襲うのでした。 戦争中疎開していて原爆を免れた弟の石川旭(伊崎充則)は、水戸のおば夫婦の養子になっていたのですが、夏休みに広島に帰ってきて、姉や打越と楽しいひとときを過ごしますが、ある日皆実は後遺症で気を失ってしまいます。
“桜の国” 現在の東京。 石川旭(堺正章)は定年退職し、28歳の娘七波(田中麗奈)と弟で研修医の凪生(金井勇太)と三人暮らしをしていましたが、ある日ぶらりと家を出て行きます。 父の様子がおかしいと思った七波は父を尾行し、途中で出会った幼馴染の利根東子(中越典子)と共に、広島まで行ってしまいます。 広島で色々な場所に行き、人に会う様子を見ているうちに七波は子供の頃のことを思い出していくのでした。

現在と過去の物語を通して原爆のもたらした悲劇を浮き彫りにし、押し付けがましくなく、静かに反戦や反核を捉えた素晴らしい作品でした。 以前、黒木和雄監督の<父と暮せば>の宮沢りえさんの演じた女性が、幸せになったらいけないと感じているようなので、どういうことなのか分からないな~と思っていたのですが、この映画でも被爆した皆実が、死ななかったことに後ろめたさを感じていて、幸せになったらいけないと思いながら生きているというのには、自分の尺度でしか物事を考えることの出来ない自分の理解力の足りなさを実感しました。 
打越が皆実に“生きとってくれて ありがとう”と言ったというのにどんなに力をもらえたかと思うと感動し、“原爆は落ちたのではなく、落とされたんよ”と言った皆実の言葉も強く印象に残りました。 
麻生久美子さんの儚く消え入りそうな感じの皆実と、田中麗奈さんの現代的な女性との対比もよかったと思います。
B B

<スコルピオ> 

1973年 アメリカ 114分
原題 Scorpio
監督 マイケル・ウィナー
脚本 デヴィッド・W・リンテルズ  ジェラルド・ウィルソン
撮影 ロバート・ペインター
音楽 ジェリー・フィールディング
出演 バート・ランカスター  アラン・ドロン  ポール・スコフィールド
   ジョン・コリコス  J・D・キャノン  ゲイル・ハニカット

東西冷戦時代、CIA諜報部員クロス(バート・ランカスター)は、長年の相棒で殺し屋のローリエことスコルピオ(アラン・ドロン)と、中近東某国の首相を暗殺し、アメリカに帰国。 実はスコルピオはこの任務に乗じ、ソ連にCIAの極秘秘密を流している二重スパイ、クロスの暗殺を命じられていたのでした。 しかしクロスに友情を感じていたスコルピオはクロス暗殺を実行することが出来なかったことをCIAのフィルチョック(J・D・キャノン)に強く責められるのでした。 クロスはそんなCIAの動きを察知し、妻のサラ(ジョアン・リンヴィル)と別行動をし逃亡をはじめます。 スコルピオは恋人のスーザン(ゲイル・ハニカット)としあわせなひとときを過ごしている所に突然CIAに踏み込まれ、全く身に覚えの無い麻薬の不法所持で逮捕され、CIAと取引してクロス暗殺を請け負わざるを得なくなるのでした。 

バート・ランカスターとアラン・ドロンの豪華な共演が魅力の作品ですが、国家組織に利用され棄てられる非情さが重苦しくやるせなさを感じさせるので、そういった作品が好きな人にはよいでしょうが、わたしは楽しくはなれませんでした。 
主演の二人はなかなか色っぽかったですし、スリリングではありましたが、雰囲気を楽しませるだけで、人間をきちんと描けていないので、友情や愛情、戸惑いなどをあまり感じることが出来ませんでした。 クロスは妻を殺されてしまうし、スコルピオの恋人はクロスの手先だったなんてホントに大変なことなのに全然感情が伝わってこないのですから、観ていて置いてけぼりにされた気分になります。 最後は全員殺されてしまうのですから溜息しか残りませんでした。
B C

<ファンタスティック・フォー:銀河の危機> 

2007年 アメリカ 92分
原題 4: Rise of the Silver Surfer
監督 ティム・ストーリー
脚本 マーク・フロスト  ドン・ペイン
撮影 ラリー・ブランフォード
音楽 ジョン・オットマン
出演 ヨアン・グリフィズ  ジェシカ・アルバ  クリス・エヴァンス
   マイケル・チクリス  ダグ・ジョーンズ   ジュリアン・マクマホン
   ケリー・ワシントン  アンドレ・ブラウアー

一作目で、宇宙の放射線を多量に浴びたことで特殊な能力を持つことになったファンタスティック・フォーのリード・リチャーズ/Mr.ファンタスティック(ヨアン・グリフィズ)、スーザン・ストーム/インビジブル・ウーマン(ジェシカ・アルバ)、スーザンの弟のジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチ(クリス・エヴァンス)、ベン・グリム/ザ・シング(マイケル・チクリス)の活躍を描く第二弾です。

リードとスーザンの結婚式がもうじき行われようとしている頃、謎のエネルギー体が地球に飛来し、世界各地で異常現象が起こっているのでした。 二人の結婚式の当日、二人が誓いの言葉を交わしている時、その閃光シルバーサーファー(ダグ・ジョーンズ)が出現し、結婚式はメチャクチャになってしまいます。 ファンタスティック・フォーはヘイガー将軍(アンドレ・ブラウアー)の要請を受け入れ、謎の閃光を解明しようとするのですが、この調査にはかつて因縁のあるビクター・バン・ドゥーム(ジュリアン・マクマホン)も調査に加わっていると知るのでした。 そして、シルバーサーファーが現れた惑星は、八日以内に滅亡することが判明するのですが…。  

子供向けかも知れませんが、前作よりスケールが大きくなり、アクションも迫力ありますし、なかなか楽しめる娯楽作品です。 一度見たらもう観なくていい感じですが、途中で眠くなってもきちんとストーリーが把握できそうなのもステキ。 軽く観るのにはご機嫌だと思います。 ファンタスティック・フォーの乗る宇宙カーが分離して活躍するのが楽しかったですが、ヘイガー将軍の最期が気の毒過ぎるのではと思いました。 シルバーサーファーの形ちょっと違和感かな。
C C

<フレディVSジェイソン> 

2003年 アメリカ 97分
原題 Freddy Vs. Jason
監督 ロニー・ユー
脚本 デヴィッド・S・ゴイヤー  ダミアン・シャノン  マーク・スウィフト
撮影 フレッド・マーフィ
音楽 グレアム・リーヴェル  コーリー・テイラー
出演 ロバート・イングランド  ケン・カージンガー  モニカ・キーナ
   ジェーソン・リッター  キャサリン・イザベル  ブレンダン・フレッチャー
   ケリー・ローランド  ロックリン・マンロー  クリス・マークエット

ホラー界の二大スター、人の夢に入り込んで支配する鋭いナイフ爪を持った<エルム街の悪夢>のフレディ・クルーガー(ロバート・イングランド)と、ホッケーマスクを被った殺人鬼<13日の金曜日>のジェイソン・ボーヒーズ(ケン・カージンガー)が登場するアクション・ホラーです。
フレディがエルム街の人々の夢に入り込んで起こした惨劇から10年経ち、昔を知る人々はフレディの復活を恐れ、夢を見ないように努めていました。 フレディの存在すら知らない若者もいることを快く思っていないフレディは、殺人鬼で不死身のジェイソンの存在を知り、ジェイソンを操って人々を襲わせ、エルム街に恐怖をもたらす事で人々に自分を思い出させ、復活しようとするのでした。 

フレディにもジェイソンにもあまり興味がないのですが、それぞれのキャラクターが生きていてそれなりに楽しめました。 関係ないものを無理矢理共演させるのですから、フレディの弱点は火で、ジェイソンは水のはずなのにとか、最初はミステリアスで面白そうと思っていたローリのお父さんも真実が分かると置いてけぼりになってしまったのが惜しいなど、ストーリーの破綻は感じましたが、最後のフレディVSジェイソンの不死身通しの闘いが迫力あったので、そんなことは全て吹き飛んでしまいました。  
C C

<ラブ★コン> 

2006年 日本 100分
監督 石川北二
原作 中原アヤ「ラブ★コン」
脚本 鈴木おさむ
撮影 藤本信成
音楽 川口大輔
出演 藤澤恵麻  小池徹平  谷原章介  玉置成実
   山崎雄介  工藤里紗  水嶋ヒロ  温水洋一  山崎静代

少女コミックの映画化です。 関西の高校生の小泉リサ(藤澤恵麻)は、背が高いことでフラれたことがあるので、自分の身長にコンプレックスを持っています。 同級生の大谷敦士(小池徹平)は、逆に背が低いことでフラれたことがあるので、身長が伸びるようにとバスケをしているのでした。 互いに身長で悩む二人でしたが、クラスメイトからは“学園のオール阪神・巨人”と呼ばれ、掛け合い漫才のような名コンビ振りを発揮し、クラスの人気者でした。 はじめはただの友人としか思っていなかったのですが、クラスメートたちが二人が仲良しなのを冷やかすので、リサは次第に敦士を意識し始め、ある事件をきっかけに恋に落ちてしまったのです。 今さら告白など出来ないと悩んだ末、意を決して告白するのですが、鈍感な敦士は冗談だとしか捉えず、リサはますます恋に苦しみ…。

ストーリー自体は何ということもないのですが、話の合間にアニメーションや英語での説明が入り、恋の解説者(畑正憲)まで登場して、明るくポップな雰囲気でテンポの良い進行でした。
主演の藤澤恵麻さんが表情豊かで可愛らしかったし、敦士の鈍感さ、かつらを地毛のように見せたいといろいろなかつらに凝っている臼井先生(温水洋一)、変なリサのお姉ちゃん(山崎静代)、二人の恋の応援をするクラスメートたち、学級副主任として赴任した舞竹国海先生(谷原章介)、修学旅行の時の人力車のアニキ(田中要次)など登場人物だけでも楽しめました。
だけど身長で悩むというので、もっとスゴイ身長差があるのかと思いましたが、リサがそんなに身長が高そうにも思えなかったし、敦士もそれほど低そうにも感じませんでした。
C B 

<ブレイブ ワン> 

2007年 アメリカ 122分
原題:The Brave One
監督 ニール・ジョーダン
脚本 ロデリック・テイラー  ブルース・A・テイラー  シンシア・モート
撮影 フィリップ・ルースロ
音楽 ダリオ・マリアネッリ
出演 ジョディ・フォスター  テレンス・ハワード  ナヴィーン・アンドリュース
   メアリー・スティーンバージェン  ニッキー・カット  ジェーン・アダムス

ニューヨークのラジオ番組で、街の息遣いと共に詩のようなメッセージを詠むパーソナリティのエリカ・ベイン(ジョディ・フォスター)。 ある夜、エリカは婚約者のデヴィッド(ナヴィーン・アンドリュース)と、愛犬を連れてセントラルパークを散歩中、3人組の暴漢に襲われ、デヴィッドは殺され、エリカは瀕死の重傷を負い生死を彷徨ってしまうのでした。 快復後、警察に事件の進展について聞きに行くのですが、警察の対応にガッカリし絶望を感じるのでした。 自分で身を守るしかないと感じたエリカはヤミで銃を手に入れ、携帯するようになるのですが、ある日コンビニに買い物に行きそこで殺人を目撃してしまいます。 自分の身に危険を感じたエリカは、思わず銃の引き金を引いてしまうのでした。 この時はとっさで手の震えが止まらなかったものの、その後地下鉄で2人組に襲われた時には何の躊躇いもなく二人を撃ち殺してしまうのでした。 

犯罪の被害者になってしまった女性が自らを守るために手に入れたはずの銃。 最初はコンビニで巻き込まれ怖くなって発砲してしまうが、次は絡まれたら何も躊躇せずに殺し、次は相手が悪い人と知ると自ら殺意を持って近づいて殺し、最後は自分の恋人を殺した3人組を捜し出し追い詰めて殺すことになります。 ショーン・マーサー刑事(テレンス・ハワード)は、エリカの犯罪にいち早く気付いたものの、今までの犯罪全てを3人組の成した事とし、仲間割れから起こった殺人として収め、3人組の最後の一人は正当防衛で自分が殺したとして解決するのでした。

何てことないドラマでしたが、主人公の女性が4~50代だと思うので、もう若くない人がこんなことをしてしまうということが、可哀想で心を締め付けられましたし、悪の制裁なんて大仰な事とは思うものの、この女性は立ち直るためにはこれしか方法が無かったのかもと思わせられ、演じる人が演じると見せられるものなのだと感じさせられました。
エリカに助けられた娼婦クロエが、一緒に居たのは誰でもない人、誰もいなかったと言ったのに感動しました。 マーサー刑事もまた、銃は合法なものを使わないとダメだと言って、自分の銃をエリカに差し出すことで殺人に加担してしまいます。 エリカは最後に正当防衛にするためにマーサー刑事の肩を撃たされましたが、この時にはエリカはもう普通の神経に立ち直れたようですね。 最後に主人公が復讐を遂げたことも良かったですが、それ以上にエリカが精神的に立ち直れたかのように描かれていたのが嬉しかったですし、マーサー刑事の穏便な取り計らいは見ていてすっきり出来ました。 とはいえ、3人組の最後の一人の手に硝煙反応を残せたのかどうかは気になるところです。 ところでこの物語の中のブレイブワンて誰なのでしょう。 
C B

<人のセックスを笑うな> 

2008年 日本 137分
監督 井口奈己
原作 山崎ナオコーラ「人のセックスを笑うな」
脚本 本調有香  井口奈己
撮影 鈴木昭彦
音楽 HAKASE-SUN
出演 永作博美  松山ケンイチ  蒼井優  忍成修吾
   市川実和子  あがた森魚  温水洋一  桂春團治

地方の美術学校に通う19歳のみるめ(松山ケンイチ)は、新任の39歳の版画講師ユリ(永作博美)に惹かれます。 ある日みるめはユリにモデルを頼まれ、ユリのアトリエに行き、関係を持ってしまいます。 それ以来みるめはユリに夢中になるのですが、みるめを好きだった同級生のえんちゃん(蒼井優)は、そんな二人の関係を知ってショックを受けるのでした。 そんなある日、みるめはユリが猪熊(あがた森魚)と結婚していることを知って愕然とし、ユリと別れようとするのですが…。

ユリとみるめの関係が恋愛というよりは、年上の女性に翻弄されている感じで、ユリのような人いるな~と思いつつ見てしまいました。 みるめの戸惑いやオドロキが可愛らしく、彼に嫉妬するえんちゃん、同級生の堂本(忍成修吾)なども自然な感じに描かれていましたし、ユリの同級生だったという山田先生(温水洋一)、夫でカメラマンの猪熊さんなど、個性的で面白いと思いました。 ちょっと長くてダラダラしたドラマでしたが、この位の長さがないと雰囲気が出せないのかもと思います。 
B B
 

<パリの大泥棒> 

1967年 フランス 120分
原題 Le Voleur
監督 ルイ・マル
原作 ジャン・ジャック・ポヴェール
脚本 ルイ・マル  ジャン=クロード・カリエール
撮影 アンリ・ドカエ
音楽 アンリ・ラノエ
出演 ジャン=ポール・ベルモンド  ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド  マリー・デュボワ
   フランソワーズ・ファビアン  クリスチャン・ルド  ジュリアン・ギオマール

20世紀初頭のパリ。 ジョルジュ・ランダル(ジャン=ポール・ベルモンド)は、12歳で両親を失い、以来伯父ユルバン(クリスチャン・ルド)に引き取られ育てられました。 成長したジョルジュは伯父には馴染めないものの、従妹シャルロット(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)とは惹かれ合っていました。 しかし伯父は、ジョルジュの父親の残した財産を不当に横領したばかりでなく、シャルロットを無理矢理富豪の息子と婚約させてしまうのでした。 これに怒ったジョルジュは、婚約者の家で行われた披露パーティの夜、その家の主人が大切にしている宝石を盗んでしまいます。 ジョルジュはこれで気が済んだと、パリを離れブリュッセルへ向う途中、馴染みのラマルジェル神父(ジュリアン・ギオマール)に出会い声を掛けられるのでした。 ところが実は神父は盗賊の首領で、ジョルジュの腕のよさを褒め称え、腕のよい盗賊たちを紹介してくれるのでした。 盗賊たちに指導を受けメキメキ腕を上げたジョルジュは、ロンドンでシャルロットに再会します。 伯父は若い女性を次々に囲い、今の同棲しているジュヌヴィエーヴ(マリー・デュボワ)に入れ揚げ、シャルロットは追い出されてしまったというのです。 伯父が危篤になり、家に戻ったジョルジュとシャルロット。 全てを寄付することになっている伯父の遺言書を見て、ジョルジュはラマルジェル神父の教会ヘ寄付金をし、シャルロットに財産の殆どが行くようにと遺言を書き換えるのでした。 シャルロットはジョルジュに盗賊を辞めるようにと頼むのですが、ジョルジュは盗む時のスリルと快感が忘れられないからと、これからも盗みを続けるというのでした。

もっとカッコ良く泥棒をするのかと思っていたのですが、今どきのアクションコメディとは違って、計画性も感じられないし、たくさん証拠を残していそうな長閑で手際の悪い盗みぶりに驚きました。 パリだとか、大泥棒というのでもっと華麗でオシャレな雰囲気を期待していたので、ちょっとハズレでしたが、女優さんたちが美しかったのが良かったです。 
C C

<鉄板英雄伝説> 

2007年 アメリカ 92分
原題 Epic Movie
監督 ジェーソン・フリードバーグ  アーロン・セルツァー
脚本 ジェーソン・フリードバーグ  アーロン・セルツァー
撮影 ショーン・マウラー
音楽 エド・シアマー
出演 カル・ペン  アダム・キャンベル  ジェイマ・メイズ  フォーン・A・チェンバース
   ジェニファー・クーリッジ  クリスピン・グローヴァー  カーメン・エレクトラ

<チャーリーとチョコレート工場>に向け、主要登場人物4人を様々な映画のパロディを使って紹介していき、<ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女>をストーリーの基本にして展開していく、パロディてんこ盛りの作品です。

ルーヴル美術館の館長(デヴィッド・キャラダイン)暗殺の現場から命からがら逃げ出してきたルーシー(ジェイマ・メイズ)、メキシコのルチャリブレから逃げ出したエドワード(カル・ペン)、飛行機の中で蛇の大群に襲われたスーザン(フォーン・A・チェンバース)、ミュータントのコミュニティで苛められていたピーター(アダム・キャンベル)たちは、孤児として育ちましたが、彼らはそれぞれに黄金のチケットを手にしてエポックな冒険が待っているというウォンカ(クリスピン・グローヴァー)のチョコレート工場を見学に行き、偶然出会うのでした。 しかし工場でお菓子の材料にされそうになった4人は、ウォンカから逃げて箪笥の中に隠れると、ナルニア国という氷の世界に入り込んでしまうのでした。 そこで4人は兄弟であることが分かり、両親は自称ナルニア国の女王ホワイト・ビッチ(ジェニファー・クーリッジ)に殺されたのだと知るのでした。 両親の仇とナルニア国の存亡のためホワイト・ビッチと戦うことを決心するのですが、エドワードが浚われてしまい…。 

これでもかこれでもかと最近の映画のパロディを詰め込んでいるのには恐れ入った感じです。 しかも演じ手が何気に本家の俳優さんと似ているのが、そっくりさん大会のようでもあり面白かったです。 何十年後かのハリポタ3人組も笑えましたが、個人的には<ナチョ・リブレ 覆面の神様>のブラック・ジャック似の人、<ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習>のサシャ・バロン・コーエン似の人、ダレル・ハモンドの演じた<パイレーツ・オブ・カリビアン>のジャック・スワロウなどは、本者よりホンモノっぽかったりしてと思いました。
C B

<シッコ> 

2007年 アメリカ 124分
原題 Sicko
監督 マイケル・ムーア
脚本 マイケル・ムーア
撮影 クリストフ・ヴィット
出演 マイケル・ムーア他

<ボウリング・フォー・コロンバイン>で国民に銃の所持を認めた米国を批判し、<華氏911>でジョージ・W・ブッシュ大統領を批判した監督の今度の作品の題名シッコとは病人のこと。 今回は、アメリカの医療保険問題を取り上げたドキュメンタリーでした。

民間の保険会社に高い保険料が払えなくて、保険に入れない人が4700万人もいるというアメリカ。 保険料が払えないと、治療を受けられないで自分で治療したり、病院に行っても治療を拒否されてしまう様子。 保険料が支払えるからと保険に入ろうとしても、保険会社の健康審査ではねられ保険に入れない人たちがいること。 高い保険料を払っていて安心と思っていても、実際に事故に遭ったり病気に罹ると、保険会社は保険金を出し渋り、救急車で運ばれる前に届け出をしないと保険が下りないとか、過去の病歴を調べるなどして病歴の届け出をしていなかったとして支払われなかったり、保険会社の管轄の病院でなければ治療をしてもらえないとか、必要な治療なのに不必要と診断され保険会社に治療を拒否されたりなど、信じられないような事例を次々にレポートし、他の国との比較などもして、アメリカの医療制度の問題点、公的な国民の保険制度を持っていないことによる弊害を鋭く描いています。 

<ドクター>や<ジョンQ-最後の決断->でも、アメリカでの保険の問題を取り上げていましたが、これ程理不尽なものとは想像も出来ませんでした。 アメリカは豊かな国で他所の国にちょっかいばかり出しているというのに、自国民の健康問題を大切にしないなんてと思ったり、アメリカに住んでいなくて良かったと思いました。
9.11でWTCで救助に当たった消防士の人たちや、何か力になりたいと駆けつけたボランティアの人々が、呼吸器障害に苦しんでいるにも拘らず、政府職員ではないからとか、消防士でも管轄の違う所からだと自己責任だとして治療費が出ないようで、治療費が高くて思うような治療が受けられなかったり、仕事を解雇されてしまったというのには、オドロキでした。
中でも最も驚いたのは、営利優先の民間保険会社が、不払いにするための専門家を雇って、申告の間違いや漏れを無理矢理捜し出していることや、その専門家が支給したお金を取り戻した額に応じて出来高で給与が決められているということ…。 これでは保険に入った意味がないのではと、他人事ながら腹が立ってしまいます。 他の国の医療問題についても取り上げていましたが、本当に医療費が無料の国があるのかとか、イギリスの医者は回復した患者が多いほど給料が高くなるなど本当かな~と、よく分からない点もありましたが、結構長いのに厭きることなく観られたし、なかなか面白く作られた作品だと思いました。
B B

<ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習> 

2006年 アメリカ 84分
原題 Borat:Cultural Learnings Of America For Make Benefit Glorious Nation Of Kazakhstan
監督 ラリー・チャールズ
原案 サシャ・バロン・コーエン  トッド・フィリップス  アンソニー・ハインズ  ピーター・ベイナム
脚本 サシャ・バロン・コーエン  ピーター・ベイナム  アンソニー・ハインズ  ダン・メイザー
撮影 アンソニー・ハードウィック  ルーク・ガイスビューラー
音楽 エラン・バロン・コーエン
出演 サシャ・バロン・コーエン  ケン・ダヴィティアン  パメラ・アンダーソン  ルネル

カザフスタン国営テレビのリポーターのボラット・サカディエフ(サシャ・バロン・コーエン)は、祖国カザフスタンの発展のためにアメリカ文化を学びカザフスタンに報道しようと、プロデューサーのアザマート・バガトフ(ケン・ダヴィティアン)と共にアメリカを訪れます。 ニューヨークではアメリカのジョークを専門家に学んだり、フェミニストの女性と会ったり、テーブルマナーを学んだりしますが、ポラットはテレビに出演しているセクシー女優のパメラ・アンダーソン(パメラ・アンダーソン)に一目惚れしてしまい、彼女に会うためポンコツ車を買って西海岸へと向かい、途中で出会った人々に突撃インタビューでゲリラ取材し、行く先々で珍騒動を起こしていくのでした。

主演のサシャ・バロン・コーエン演じる、主人公のボラットというのは、彼のTVショーで演じているカザフスタン国営テレビの看板レポーターなのだとか。 冒頭でのカザフスタン村の“ユダヤ人追い祭り”やユダヤの悪魔が来たには驚きましたが、サシャ・バロン・コーエン自身がユダヤ人の血を引いているから出来たのかもしれません。 
とにかくビックリの連続で、ここまでするなんてどうなってるの? 国際問題にならないの? と、見ていてハラハラさせられましたが、ハラハラしながらもポラットの頭の良さに感心させられもしました。 
ロデオ大会でのアメリカ国家の替え歌やキリスト教原理主義の集会などでの反応が興味深かったですが、ちょっと控えておいた方が良さそうに感じた過激な事も多々あります。 趣味が悪いとは思いますが、忘れられない強烈なモキュメンタリーでした。
B B

<遠くの空に消えた> 

2007年 日本 145分
監督 行定勲
脚本 行定勲
撮影 福本淳
音楽 めいなCo.
出演 神木隆之介  大後寿々花  ささの友間  小日向文世  鈴木砂羽  
   長塚圭史  伊藤歩  田中哲司  石橋蓮司  大竹しのぶ  

一面に麦畑が広がる美しい馬酔村に、都会から楠木亮介(神木隆之介)が父雄一郎(三浦友和)に連れられ遣って来ます。
空港建設を巡り、地元住民の反対運動が激化している中、雄一郎は空港建設の責任者として赴いたのでした。 亮介は転校して早速ガキ大将の土田公平(ささの友間)と取っ組み合いのケンカをしますが、ケンカが高じて二人は大の仲良しになるのでした。 そして二人は父親がUFOに浚われたというヒハル(大後寿々花)と出会い、窒息死させてしまった弟が天から戻ってくると信じて鳩を飼っている知的障害者の赤星(長塚圭史)と一緒に、UFOと交信する秘密基地を作って、ヒハルの父が迎えに来るのを待ちながら時を過ごすようになるのでした。 しかしそんな中、政府側の仕掛けた買収工作が村の人たちに様々な思惑を広げていき、子供たちはある夜大人たちを驚かすべく計画を実行するのでした。

降り立った空港で懐かしい足跡を見つけた青年(柏原崇)が、見知らぬキャビン・アテンダントに、回想を語るという形で描かれています。 子役の3人がなかなか良かったですが、特にささの友間君や彼の両親を演じた小日向文世さん、鈴木砂羽さんが存在感があってステキでした。 あんなに美しい風景の中で、ミステリーサークルを作るのなんて、勿体ないけど、あんなことしてみたいな~と思ってしまいました。 子供時代が懐かしくなる作品でしたが、ストーリーのまとめ方が散漫で長過ぎるのがイマイチかな~と思います。
C C

<ショコラの見た世界> 

2007年 日本 48分
監督 行定勲
脚本 伊藤ちひろ
撮影 中山光一
音楽 寺嶋民哉
出演 竹内結子  大塚ちひろ  和田聰宏  藤本七海

携帯電話のCMに使われたいくつかの映像を基に作った作品なのだそうです。
ある雨の日、19歳で予備校に通っているテンコ(大塚ちひろ)は、7年前に亡くなった姉のショコラ(竹内結子)の恋人だったジダン(和田聰宏)と再会します。 二人は雨が止むまでお茶でもしようと喫茶店に入り、旅が好きだった姉の思い出話を語り合うのでした。 

初子がショコラ、典子がテンコ、治男がジダンだなんて同じ名前でも読み方によって全然違った雰囲気がするものだな~と楽しかったですし、月夜の砂丘で光る夜光虫、風に揺れる竹林、無数の鳥が飛び立って織り成す虹など、詩的で幻想的なおとぎの世界のような映像が美しかったです。 作品がもっと長かったら、途中で厭きてしまうだろうと思いましたが、短かかったのでフワ~っとした気持ちで見ることが出来、楽しめました。
C B 

<ブラック・スネーク・モーン> 

2006年 アメリカ 115分
原題 Black Snake Moan
監督 クレイグ・ブリュワー
脚本 クレイグ・ブリュワー
撮影 エイミー・ヴィンセント
音楽 スコット・ボマー
出演 ジャクソン  クリスティナ・リッチ  ジャスティン・ティンバーレイク
   S・エパサ・マーカーソン  ジョン・コスラン・ジュニア

アメリカ南部の田舎町に住んでいるラザラス(サミュエル・L・ジャクソン)は、元ブルース・ミュージシャンでしたが、妻に逃げられ孤独に暮らしていました。 ある日ラザルスは道で死んだように横たわっている白人の女性を見つけ、自宅に連れ帰って介抱するのでした。 その女性の名はレイ(クリスティナ・リッチ)。 レイは幼い頃母の恋人に乱暴され、それを知っていた母も知らぬ振りをしていたため、そのことが心の傷となり、セックス依存症になってしまったのでした。 ラザルスに助けられる前の日にも、恋人のロニー(ジャスティン・ティンバーレイク)が軍隊に入隊したことで寂しくなり、男性と関係を持った挙句暴力を振るわれて道に棄てられていたのでした。 意識を取り戻したレイの心の奥に潜んだ孤独を感じたラザルスは、彼女を鎖で縛り自分の家に監禁し、彼女を更正させて苦しみを救おうと治療を始めるのでした。 

映画を見る前に番組の宣伝で、敬虔なクリスチャンである初老の男性がセックス依存症の女性を鎖に繋いで監禁!?というので、どうなるのだろうかと見るのを躊躇ったのですが、なかなか面白い映画でした。  
生まれた環境も年齢も違うラザルスとレイ。 ラザルスは自分も傷ついているからこそレイを思いやり手を差し伸べたのでしょうが、二人の心のふれあいが感動的でした。 ラザルスと薬剤師のアンジェラ(S・エパサ・マーカーソン)との初老の男女の穏やかな愛のはじまり、互いに心に傷を持ったもの同士のレイとロニー、ラザルスの親友の牧師RL(ジョン・コスラン・ジュニア)やラザルスを慕うリンカーン少年との物語なども魅力的でした。 レイが母親と会話する場面は、あんなに残酷なことを言う親もいるのかと泣けてきました。 
ブルース・ミュージックの使い方が素晴らしく、サミュエル・L・ジャクソンのギターや歌が聞けたというのも嬉しかったです。
B B

<幸せのレシピ> 

2007年 アメリカ 104分
原題 No Reservations
監督 スコット・ヒックス
脚本 キャロル・フックス
撮影 スチュアート・ドライバラ
音楽 フィリップ・グラス
出演 キャサリン・ゼタ=ジョーンズ  アーロン・エッカート  アビゲイル・ブレスリン
   パトリシア・クラークソン  ボブ・バラバン

ドイツ映画<マーサの幸せレシピ>のリメイクです。
ニューヨークの人気高級レストラン“22ブリーカー”の料理長のケイト・アームストロング(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、料理の腕は一流なのですが、人付き合いが苦手で何事にも妥協しないため、時にはお客様と衝突することなどもあるのでした。 そんなある日、姉が交通事故死したため、姉の9歳になる娘ゾーイ(アビゲイル・ブレスリン)を引き取って一緒に暮らすことになります。 ゾーイはなかなか心を開こうとせず、子供との接し方が分かないケイトは、オロオロし苦悩していきます。 そしてそんな時、ケイトの知らないうちにオーナー(パトリシア・クラークソン)が副料理長としてニック・パーマー(アーロン・エッカート)を雇い入れてしまうのでした。 陽気で明るくマイペースなニックに、厨房で働く人たちの様子も変化し、ケイトは今までのペースを乱されたことで、イライラを募らせるのでした。

<マーサの幸せレシピ>は大好きな映画の一つですが、この映画もなかなか楽しい作品でした。 オリジナルはドイツ人シェフのマーサ(マルティナ・ゲデック)とイタリア人シェフのマリオ(セルジオ・カステリット)の性格の対比と惹かれあっていく過程や、マーサと姪リナ(マクシメ・フェルステ)との辛辣な関係が次第に打ち溶け合っていく様子が面白かったのですが、リメイクの方はケイトが自己主張が強く傲慢でかなり嫌な女だったのと、ニックがオリジナルのセルジオ・カステリットほどの陽気さを感じられなかったので、物足りない感じは受けました。 でもセラピスト役のボブ・バラバンが面白かったのと、少し大人っぽくなったアビゲイル・ブレスリンが可愛らしかったです。 最後にケイトとニックとゾーイの三人のお店を開くというのはステキでした。
C B


タラララさんの記事