<死の棘> 

1990年 松竹 小栗康平監督 115分 
出演:ミホ:松坂慶子
   シマオ:岸部一徳
   シマオの愛人:木内みどり

鳥尾敏雄の1960年から1976年に亘り書き続けられた自伝的同名小説の映画化。 
夫シマオの浮気により、精神の均衡を崩していく妻ミホ。 
シマオとミホが出会ったのは、奄美大島。 ミホは島の娘で、シマオは特攻隊として島に滞在し、訓練をしていた。 
8月13日に出撃命令を受け、発進命令がでないまま、8月15日終戦。 
その後、シマオとミホは結婚し、シンイチとマヤという子供に恵まれるが、ミホはシマオが浮気をしていることを知ってしまう。 

見ていて途中までミホの小言のあまりのしつこさに閉口し、ミホに同情するというより、とても思いつかないような表現に感心すると共に、吹き出していました。 ずっと笑ってばかりいたのですが、途中で病気なんだと気がつき、何ものかに取り付かれてしまったのだと気付かされます。 

ミホは、シマオが死んだら、自分も死のうと覚悟していたのです…たぶん。 
シマオを自分の一部と考え、死を免れ、結婚して子供が出来るが、夫には別の女性が居たことから、夫と自分の考えがかけ離れていることを知り、どうしたら良いのか、混乱に陥ってしまったのです。

《島》で育ったというのを、俗なものが入っていない、清純無垢なものとして捉え、それを壊されたことによって発生した狂気を描いているのだと思いました。 
死が来るまで抜けることのない棘が、夫に刺さってしまったという、宗教の根源に触れた作品です。 
テーマは《憑依》で、“生霊”“もののけ”が人間の人格を乗っ取った“憑き物について”描いています。 「源氏物語」の“もののけ”“生霊”と同じなのですね! 
<エクソシスト>(1973年)は、キリスト教の憑依現象をテーマにしていますが、東洋と西洋では、表現のしかたが違い面白いと思いました。 
だから、カンヌ映画祭で審査員特別賞や国際批評家賞を受賞したのかも知れません。 
C D 

"<死の棘> " へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント