<ファイナル・カット> 

2004年 カナダ・ドイツ 95分
原題 The Final Cut
監督 オマー・ナイーム
脚本 オマー・ナイーム
撮影 タク・フジモト
音楽 ブライアン・タイラー
出演 ロビン・ウィリアムズ  ミラ・ソルヴィノ  ジム・カヴィーゼル
   ミミ・カジク  ステファニー・ロマノフ  トム・ビショップス

胎児の時に脳内にチップを埋め込み、死ぬまでの記憶すべてを記録することが出来るという製品ゾーイ・チップが商品化され、20人に一人はこのチップを埋め込んでいて、死後ゾーイ・チップを脳から取り出して、カッターと呼ばれる編集者によって、生涯の美しい記憶だけを残して映像を編集してもらい、追悼上映会で上映するというのがこの近未来では流行っているという設定です。 

主人公のアラン・ハックマン(ロビン・ウィリアムズ)は、生前どんなに悪い行いや酷いことをした人でも、その人の人生を美しいものに仕上げるという評判の人気カッターでした。 
ある日、記憶チップを製造販売管理しているアイテック社の顧問弁護士バニスターが亡くなり、アランのところにバニスター氏の編集の依頼が未亡人から入ります。 その一方で、かつてアランと同じようにゾーイ・チップのカッターをしていたフレッチャー(ジム・カヴィーゼル)が、仲間と共に記憶を管理するのは問題だとして、アイテック社の不正を糾弾しようとして、バニスターのチップを狙っていました。 

アランはバニスターのゾーイ・チップの編集はやめてもいいと思っていたのですが、編集している最中に、その映像の中に少年時代に出会った少年とそっくりな人物を発見してしまったのです。 
数十年前、少年の頃ルイルという同い年の少年と廃工場で遊んでいて、ルイスが高所から落ちて死んでしまったという忌まわしい出来事が今でも頭の中を離れることがなく、トラウマのようになっていて、今でもその時のルイスのペンダントを大切にしていました。 
アランは、未亡人と娘に話を聞いていくうちに、そのそっくりな人物がルイス本人だと知って、数十年前に死んだのではと思い、一年前に亡くなったというルイスのゾーイ・チップを探そうと、アイテック社の資料室に入り込みます。 しかしルイスのチップは無く、アランは自分の両親がアランの脳にゾーイ・チップを埋め込んだという記録を発見するのでした。 
生きているうちにでも5分間だけならチップを取り出して過去の出来事を知ることが出来るので、仲間に協力してもらい命がけで過去のその時の記憶を見直します。 ルイスは死んだのではなく気を失っていたのだと分かり、安堵するのでした。 
しかし、アランの恋人(ミラ・ソルヴィノ)がアランの仕事を理解できず、バニスターのチップを壊してしまい、バニスターの編集が出来なくなってしまったのです。 アランの脳にチップが埋め込まれているから、バニスターのチップが壊れたとしてもアランのチップにバニスターの記憶が記録されているとして、アランは殺されてしまいます。 君の死を無駄にはしないといって、フレッチャーはアランのチップを編集するのでした。  

人の脳に移植すると、生涯に経験したことをすべて記録するだなんて、よくも思いついたものだと感心してしまいました。 人間って必要なことと不必要なことを区別して記憶したり忘れてたりしているのだといいますが、これとは別に覚えていないものまでも記録しているというのは、かなり恐ろしいことでもあります。 死んだ後で自分の犯した失敗を人に知られてしまうと思うとゾッとしますし、このバニスターの未亡人にしても夫のチップを編集して美しいものにしたいというのは分かりますが、チップさえなければ夫が娘のジェニファーにしたおぞましい行為は知られなくてもすむのになんて思ってしまいます。 それとチップが入っていると知っていたらいつも正しくあらねばと思って生きるのが辛くなりそうだなどと思いながら(映画の中でも自殺した例があるといってましたが)見ていましたが、見えているものが真実とは限らないというのも事実で…など、いろいろ考えていくと混乱してしまいそうです。
ニュースの取り上げ方でも、映画の編集の仕方でもそうなのでしょうが、編集次第で印象がどうにでもなるというのは危険なことだと警告をしたかったのかもしれません。 ニュースなど一番知りたいことがごっそり抜けていて、よく分からないと感じることがありますので…。 
この作品は、近未来だというのに現在みたいな感じがするのですが、かえってそれがリアルに感じられたのが不思議です。 面白い発想から始まったサスペンスだと印象的でした。 
C B 

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    Excerpt: ☆☆☆(6点/10点満点中) 2004年カナダ=ドイツ映画 監督オマール・ナイーム ネタバレあり Weblog: プロフェッサー・オカピーの部屋[別館] racked: 2008-03-28 20:16