<大統領の理髪師> 

2004年 韓国 117分
原題 The President's Barber
監督 イム・チャンサン
脚本 イム・チャンサン
撮影 チョ・ヨンギュ
音楽 パク・キホン
出演 ソン・ハンモ:ソン・ガンホ
   キム・ミンジャ:ムン・ソリ
   大統領:チョ・ヨンジン
   チンギ:リュ・スンス
   ソン・ナガン:イ・ジェウン  ノ・ヒョンウク(青年になってから)
   パク・ジョンマン(中央情報部長):パク・ヨンス
   チャン・ヒョクス(大統領府警護室長):ソ・ビョンホ

1960年代から70年代にかけての韓国を舞台に偶然に大統領の理髪師になってしまった主人公と庶民の様子を描いたコメディです。
朴正熙大統領の独裁政権の時代ですが、このドラマに登場する大統領は朴正熙大統領とはかなり違った印象、始めは時代を借りただけなのかと思いましたが、どうも巧みにフィクションとノンフィクションを織り交ぜた物のようです。

ソン・ハンモは“豆腐一丁”とあだ名されている素朴で気の良い町の理髪師。
大統領官邸“青瓦台”の近くにある孝子洞(ヒョジャドン)で理髪店を営んでいます。
1960年4月19日反政府デモの中、妻キム・ミンジャが息子ナガンを生みます。
翌年のクーデターの後、新大統領誕生。
それから数年経ち、ナガンが小学生になった頃のある日、見知らぬ男(大統領警護室長チャン)が立ち寄り、ハンモは大統領官邸での大統領の理髪師に抜擢されるのでした。

大統領の理髪師に任命される前に書類を交わす部分も可笑しいやら信じられないやら。
ハンモ自身も、嬉しい反面、緊張のあまりグッタリしてしまうなど、見ていて変な可笑しさを感じました。
大統領官邸のお膝元ということで何が何でも政府を妄信的に支持し、町ぐるみの不正選挙をするというのにも驚きです。
共産主義の取締りが厳しくなった頃、下痢をしただけで共産スパイと接触したと疑われ、“マルクス病”だなんていわれて収容されて処刑された人がたくさんいるというのには驚き。
でもこの時お腹をこわしていたナガンは、当局に捕まり収容所で脚を悪くして歩けなくなってしまうのでした。

鍼治療、漢方などあらゆることをしても治らなくて、幽霊を退治することのできる、山奥に住んでいる達人といわれる医者のところで見てもらうのでした。
体の病気は私が治すから、心の病気はハンモに治せという達人。
龍になった大蛇が、ナガンの体に乗り移っているのだといいます。
数年後龍が死んだら葬儀が行われ、菊の御輿が運ばれるから、龍の眼を削り菊の茶に入れて飲ませなさいと言われます。
大統領の遺影(油絵のようですから、毒ではないかと心配になりましたが)の眼を削り取って菊の茶を煎じてナガンに飲ませると治癒しました。 自転車に乗れるようになったのだから凄い!

良いような悪いようなで(何処までが真実で何処からが作ってあるかの境目が不明なので)なかなかどう楽しんで良いのか悩んでしまいました。
激動の時代の庶民感情を描いていますが、ちょっと庶民をバカにしすぎているような感じも受け、笑えない所もあります。
でもこれって、ブラックユーモアとか皮肉のようでもあるとも感じてしまったので…。 よく分かりませんでした。
ソン・ハンモはこの時代の韓国人の一般的な姿だったのでしょう。
何よりも家族を愛しているのに、お人よしで国を守るためには、自分の息子まで密告してしまうトンチンカン振り。
大統領の独裁体制を如何思っていたにせよ、側近として仕えているうちに、親愛を感じてしまうというのはありそうなことですし…。
そんなことを考えると、笑うに笑えなくなってしまいます。
このドラマが息子の視点から描かれていたというのが、愛情があって良かったのだと思いました。
C D


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この記事へのコメント

2006年05月19日 15:26
TB致しました。
朴正熙が好人物のように描かれたのは、主人公が小市民の立場で素直に彼を尊敬したことの反映でしょう。その代わり周囲の人物は食えない印象がありますし、事件などを通してその暗黒を表現しています。
一部で言われるほど凄みを感じませんでしたが、新人監督でここまでやるとは大したものだとは思いますね。
「チャップリンの独裁者」とも重なる風刺劇でした。
みのり
2006年05月19日 21:49
オカピーさん、TBありがとうございます。 
あまりにもかけ離れた朴正熙像に、全然別の事柄なのかと思ったほどです。 
韓国映画は優れたものが多い割りに、どう捉えて良いものか考え込んで楽しめないものもあります。
kimion20002000
2006年05月31日 23:42
TBありがとう。
馬鹿にしているんではなくて、僕は、庶民の反応は、こういうものなんだと思いました。政治なんて、雲上の人がやっているもので、その権力は、自分達と無関係なんだと。民衆闘争的には、光州闘争から、変化してきたように思います。学生運動は、申し訳ないが、インテリ闘争ですからね。庶民の運動とは、ずっと、位相が異なっていましたね。

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