<ヴェラ・ドレイク> 

2004年 フランス・イギリス・ニュージーランド マイク・リー監督 125分 
出演 ヴェラ:イメルダ・スタウントン
   スタン(ヴェラの夫):フィル・デービス
   ウェブスター警部:ピーター・ワイト
   フランク(スタンの弟):エイドリアン・スカーボロー
   ジョイス(フランクの妻):ヘザー・クラニー
   シド(息子):ダニエル・メイズ
   エセル(娘):アレックス・ケリー
   ヴェラに判決を下す裁判長:ジム・ブロードベント
   エセルにプロポーズするレジー:エディ・マーサン
   ヴェラに仲介するリリー:ルース・シーン

マイク・リー監督の<人生は、時々晴れ><秘密と嘘>は、地味な作品だけど、生きていくことの哀歓を描いていて、とても好きな作品です。 だからこの作品も公開されるのを楽しみにしていました。
 
《公開時のコピー》 すべてを赦す。 それが、愛。
          ヴェラ・ドレイク、彼女には誰にも言えない秘密があった。
このコピーって、ミステリアスで惹かれると思いませんか? 
でも想像とは違った秘密! というより、全然想像していなかった内容だったので、知った時には思わず息を呑んでしまいます。 
 
1950年頃のイギリス、冬のロンドン。 ヴェラは、夫スタンと息子シド、娘エセルと四人で狭い集合住宅に暮らしている。 ヴェラは家政婦として、何軒かの家を掛け持ちで働き、その合間に一人暮らしの母親を介護したり、困っている人の見舞いをしたりと、毎日忙しい日々を送っている。 とにかくスゴイ頑張り屋さんで、いつも明るく鼻歌を口ずさみながら、働き者で人のよさがあふれているような感じの人で、困った人を放っておけない。 夫は弟の経営する自動車修理工場で働いている堅実で実直な人。 同じアパートに住む青年レジーが、ろくな物を食べていないと知り、夕食に招きもてなし、おとなしくて地味な印象のするエセルに引き合わせ、二人はいつしか心を通わせあうようになり…。 貧しいながらも幸せで立派な人達なのです。 しかしヴェラの人助けの中に、大きな秘密、望まない妊娠をしてしまった女性のために、中絶の手助けをしているということがありました。 このことが幸せな家庭に試練を与え、絆を揺るがすこととなります。 
 
映画から戻り、よくわからなかったので調べてみると、医療目的でも堕胎は許されない行為だったらしい(1861年に制定された法律)。 1929年に改正され、母体の生命に危険があると医師が診断した場合のみ合法となったが、手術は高額で貧しい人々は非合法の堕胎に頼るしかなかったらしい。 そういえば、このドラマにも裕福な女性がレイプされ、旅行に行くと母親に嘘をつき、医者のところに手術に行き、たいそうな金額を請求されている場面がありました。 
 
この映画を見終わってすぐは、かなりショックで、いくら人助けでも如何してそんな恐ろしいことをと、嫌悪感でいっぱいだったのです。 でもそのことは別にして考えてみると、作り方が巧妙です。 このドラマは朝の挨拶、お茶、仕事、家族の食卓で、主人公の生き方や性格を感じさせ、そしてヴェラのような庶民というのか労働者階級と、裕福で贅沢に暮らしている中産階級とを対比させ、それぞれの生活をリアルに描いています。 だからドラマに深みがあるし、現実感があるのだと思いました。 堕胎についても徐々に明かされ、お湯を沸かして、固形石鹸とチーズおろし器と消毒液?なんて、なんだかクイズのようで、日常生活の延長として描かれているので、はじめは何をしているのか全然解らなかったし…サスペンスフルに描いているのが、スタイリッシュな感じさえして(ドロドロ感がなくて)よかったと思います。 
最後はお気の毒だと思いますが、レジーがヴェラに言った感謝の言葉は感動的で優しさに溢れ…涙です。 
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この記事へのコメント

2005年10月30日 01:18
こぶたのベイブウさん、トラックバック有難うございます。
そちらにコメントを入れようとしたのですが、出来ませんでした。
わたしは、まだいろいろ慣れてないのですが、宜しくお願いいたします。

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