楽蜻庵別館

アクセスカウンタ

help RSS <血と骨> 

<<   作成日時 : 2006/01/12 10:07   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 4 / コメント 2

2004年 「血と骨」製作委員会 145分
監督 崔洋一
脚本 鄭義信/崔洋一
撮影 浜田毅
音楽 岩代太郎
出演 金俊平:ビートたけし
   李英姫:鈴木京香
   朴武:オダギリジョー
   金正雄:新井浩文
   金花子:田畑智子
   高信義:松重豊
   鳥谷定子:濱田マリ
   その他:中村優子  唯野未歩子  柏原収史
       塩見三省  塩見三省  國村隼
       寺島進

自分の父をモデルに書いた梁石日の同名小説の映画化。
1923年済州島から大阪に渡ってきた金俊平。 
子連れの女性李英姫を無理矢理レイプし結婚、二人の子供を儲けますが、すぐ隣に若い愛人を囲い、その愛人が病気になると新しい愛人に病気の愛人の世話をさせます。
仕事面では蒲鉾工場を起業し、軌道に乗りますが、従業員の人権など考えず、暴力で恐怖心を煽り、強引に働かせます。
そして儲かったお金を元手に高利で金貸しを創め、借り手から搾取し、借り手を自殺に追い込みます。

はじめから終わりまで、登場人物たちが、暴力的で醜い言葉を吐き捨て、女性や弱い人たちは殴られるは蹴られるはで、見ていてもギャグをしているのかと思えるほどで、笑えるといえば笑えるのですが、気分が滅入って来ます。
でもこれは見た瞬間に感じること…。

済州島から大阪に渡る船の中にいた希望に燃えた若者が、如何してこんな風になってしまったのでしょうか。
どうしてなのかが全然描かれてなくて、いきなり何年か過ぎ、小汚く鬱陶しい中年男になってしまったので、それまでの過程を想像するしかないので、解り難かったと思います。
過去の歴史、現在までも続いている差別的な実情を行間で読みとることができなければ、暴力的でエゴイスティックで、因業な在日朝鮮人の主人公の生き様としか捉えることができずに、本当の意味でこの作品の訴えているテーマを理解することができないのだと感じました。

小説を読んでないので解らないのですが、原作者の父という人は、もっと力強く魅力的な人物ではないかと想像します。
生命力が強くて、才覚があって…、そうでなければ、いくらなんでも周囲の人達を巻き込んであんな風に生きられる筈がないと思いますし…。
女性や子供達の描き方も何故逃げないのかが(逃げられない理由があると思うのですが)いまひとつ解りませんでした。
だってドメスティックバイオレンスなんてものでは済まされないような内容です。  

いずれにしても過酷で差別的な時代に、懸命に生きる金俊平の壮絶な生き様は、力強く感じられました。
最後のところで、主人公の金俊平が、年老いて生まれ故郷に帰るところが描かれていましたが、あれは日本に対する絶望だったのでしょうか。
とんでもない位のお金持ちになったのに、八百屋さんの捨てた野菜を拾ってきて料理したりする場面には、胸が詰まりました。

主演のビートたけしさんですが、暴力的で鬱陶しい感じは表現できていましたが、これでは上辺だけで、どうしてこんな風にしか生きられなかったのかを表現することができれば、もっと金俊平という人物を膨らませ魅力的にできたのに…と残念に思いました。
松重豊さん、オダギリジョーさん、濱田マリさんなど、脇役の人たちはとても存在感がありました。
このドラマは、金俊平の生き様を描いているようでありますが、彼のファミリーの物語でもあり、彼等の置かれている社会の問題でもありで、登場人物の一人ひとりの存在がこの映画にとってとても重要なのだと感じます。
皆、それぞれ登場する場面では、主役なのだと…、どの場面を切り取ってもそこからドラマが感じられます。
B C

テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(4件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
映画『血と骨』
1923年、大阪へと向かう船上には一旗揚げようと、済州島を後にした若き日の金俊平(ビートたけし)、そのバイオレンスと哀しみに満ちた物語。 ...続きを見る
茸茶の想い ∞ 〜祇園精舎の鐘の声 諸行...
2006/01/13 01:33
映画評「血と骨」
☆☆☆★(7点/10点満点中) 2004年日本映画 監督・崔洋一 ネタバレあり ...続きを見る
プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
2006/01/13 14:15
「血と骨」 催洋一監督
梁石日(ヤン・ソギル)の原作を読了しての劇場鑑賞。催監督作ならではの期待もするし、豪華キャストにもそれぞれのキャラを被せてさらに希望も膨らんだ。 原作の活字の世界から思い描く自分の映像思考力はいかがなものか?そんな不安もなきにしもあらず・・・。 様々な自.... ...続きを見る
雑板屋
2006/01/13 16:34
堂々たる在日版昭和ホームドラマ /「血と骨」評
『血と骨』(2004 / 日本 / 崔洋一) Text By 仙道 勇人  戦後の混乱期という未曾有の時代、往々にして混乱を制するのは法ではなく"力"の方が圧倒的に多く、また容易であったのかもしれない。本作「血と骨」は、1920年代に済州島から大阪に渡り、圧倒的な力の誇示と行使とによって戦後の混乱期... ...続きを見る
I N T R O+blog
2006/01/23 12:30

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
TB致しました。
みのりさんのご指摘は正しいと思いますが、崔監督によりますと、若い時代を描くと3時間半を超えてしまいどうにもならない。20年前なら前後編仕立てにでも仕立てて映画化できたが、今はそれが許されない、と仰っています。そんなに焦ってどうするんでしょうね、最近の日本人は?

一方、彼が何故あのように屈折した人物になったか考えるのも一興なので、この省略を前向きに捉えたいと思います。
オカピー
2006/01/13 15:10
う〜ん、そうでしたか。
実は、私もこの感想文を書き終わってから、急に中年になるのもいいか〜と、思い始めたところです。
オカピーさんのように前向きに捉えると、見ている人に想像させることができるし…。
でも、主人公を演じる役者さんはもっと演技派がいいのに…というのは変わりません。
私が希望する主演男優は、ジャーン!國村隼さんで〜す。
でも観客を動員するには、たけしさんなのかな〜。 残念!

みのり
2006/01/13 18:09

コメントする help

ニックネーム
本 文
<血と骨>  楽蜻庵別館/BIGLOBEウェブリブログ
[ ]